「製鉄工場のアクションシーンが素晴らしい」ブラック・レイン 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
製鉄工場のアクションシーンが素晴らしい
名匠リドリー・スコットが監督し、古き良き大阪を舞台にして日米の映画スターが共演した豪華な作品でした。日米の刑事と日本のヤクザのドンパチを描いたお話自体は漫画チックで、余りリアリティは感じませんでしたが、アクションシーンは中々でした。また最も良かったのは大阪の街の描き方。妖しく光るネオン街や、淀川沿いの工業地帯など、かなりデフォルメされた感はありましたが、暗黒街的な雰囲気が画面全体に漂っており、非常に味わい深かったです。
そんな世界観の大阪に、高倉健、松田優作、若山富三郎という日本映画史に残る3人の名優が登場するのだから、そりゃあワクワク感は半端ありませんでした。健さんに関しては、英語を話しても健さんの口調で、また武骨で一本気な性格は本作でも踏襲されていて、ある意味安心しました。本作が遺作となった松田優作の演技は狂気そのもので、こちらも観客が望む優作像そのもの。若山富三郎のヤクザの親分もド迫力で、期待通りでした。
アクションシーンやバイクチェイスも息つく暇もなく、特に製鉄工場の中の銃撃戦は、あり得ない場所での銃撃戦と思いつつも、燃え盛る溶鉱炉を背景にした画像が素晴らしかったです。ただ殺風景な謎の山小屋周辺で繰り広げられた最後のアクションシーンは、大阪感どころか日本ぽさも感じられず、製鉄工場内のアクションシーンに比べるとちょっと残念な感じでした。
そんな訳で、健さんをはじめとする日本の名優の演技を楽しめた本作の評価は、★4.2とします。
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