ブラック・レインのレビュー・感想・評価
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ブレードランナー
大阪の街を、まるでブレードランナーのセットのような近未来に見せる撮影が素晴らしい。知らない人に続編だと教えたら信じてしまうのではないか。
こんな風景が普通に存在していた当時の大阪もすごいが、だれもこんな風に大阪を撮影した人が日本にはいなかったし、今もっていない。『ブレードランナー』と並んで、全盛期のリドリー・スコットの美的センスを堪能できる1本だ。
ちなみに撮影監督は後年『スピード』で名を馳せたヤン・デ・ボン。
異国文化の衝突を刑事の友情を軸に描いた犯罪ドラマだが、当時の作品としてはまだ日本への理解がある方ではないか。日本経済好調の反動のジャパンバッシングなどもあり、奇異な文化を見下すような作品も見受けられたが、少なくとも悪役含め、日本人を非常に力強く描いている点は評価されるべき。
知られている通り松田優作の遺作だが、本作を観ると本当に惜しい役者を亡くしたものだと思う。
日本が元気だった頃
随分前に、TVで見たことは覚えている。いよいよ日本では最期になるようなので、見に行ってきました。
混沌とした日本の風景の中にも、活力が溢れている日本が画面の至る所に現れていました。日本の役者達も若くて元気、こんな時代があったのだと、久しぶりに画面の隅々まで見てしまいました。
それにしても、高倉健・若山富三郎・内田裕也・すべての日本の俳優を喰っていたのは、松田優作だった。マイケルダグラスとガチンコ勝負出来ていたのは、オーディションで役を勝ち取った松田優作だった。
なんか、昨今の日本を見ると、コジャレタ町並みになり、澄ました風景が鼻につく、ちっとも元気がない。こんな未来を私たちは望んだのだろうか?破天荒な若い世代を押し殺したのは誰なのだ?学生運動の1つもない、労働紛争の1つもない、こんなお行儀のいい国にしたのは誰なのか?
『未明の砦』(太田愛)をちょうど読み終えたところなので、そんな感想を持った。
それにしても、リドリースコットはうどんが好きみたいだ。
製鉄工場のアクションシーンが素晴らしい
名匠リドリー・スコットが監督し、古き良き大阪を舞台にして日米の映画スターが共演した豪華な作品でした。日米の刑事と日本のヤクザのドンパチを描いたお話自体は漫画チックで、余りリアリティは感じませんでしたが、アクションシーンは中々でした。また最も良かったのは大阪の街の描き方。妖しく光るネオン街や、淀川沿いの工業地帯など、かなりデフォルメされた感はありましたが、暗黒街的な雰囲気が画面全体に漂っており、非常に味わい深かったです。
そんな世界観の大阪に、高倉健、松田優作、若山富三郎という日本映画史に残る3人の名優が登場するのだから、そりゃあワクワク感は半端ありませんでした。健さんに関しては、英語を話しても健さんの口調で、また武骨で一本気な性格は本作でも踏襲されていて、ある意味安心しました。本作が遺作となった松田優作の演技は狂気そのもので、こちらも観客が望む優作像そのもの。若山富三郎のヤクザの親分もド迫力で、期待通りでした。
アクションシーンやバイクチェイスも息つく暇もなく、特に製鉄工場の中の銃撃戦は、あり得ない場所での銃撃戦と思いつつも、燃え盛る溶鉱炉を背景にした画像が素晴らしかったです。ただ殺風景な謎の山小屋周辺で繰り広げられた最後のアクションシーンは、大阪感どころか日本ぽさも感じられず、製鉄工場内のアクションシーンに比べるとちょっと残念な感じでした。
そんな訳で、健さんをはじめとする日本の名優の演技を楽しめた本作の評価は、★4.2とします。
バブルの日米合作!
日本がバブル絶頂の頃、ハリウッドの巨匠、リドリー・スコット監督作品に、日本の
高倉健が出るには「このタイミングしかない!!」と、満を持して
制作した映画
しかしながら、この作品の見どころは、高倉健でもハリウッドスター俳優でもなく
一般オーディションから選考された、松田優作の怪演である
よって、松田の狂気が遺憾なく発揮されているオープニングが、
一番気合が入っている…
映画が進むごとに勢いが衰えるのは、1本の映画を制作する上で、色々な
やむを得ない事情が有っての事か…?
だが、それにしても松田優作一人だけでも、この映画の完成度を充分
高めることは出来た!!
彼の映画出演は、何故これが最後かは、別の方の説明を参照して下さい…
日本(大阪)で撮影されたリドリー・スコット監督のハリウッド超大作以上にバディ映画としても不朽の名作ですね。
劇場公開から35年周年の『ブラック・レイン』国内上映権が25年1月末をもって終了するとのことで、シネマート新宿さんへ。335席のスクリーンは満席。すごい熱気のなかでの鑑賞。
『ブラック・レイン』(1989)
今では隔世の感がありますが、公開当時(1989年)は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」日本経済黄金期で『ガン・ホー』(1986)、『ロボコップ』(1987)、『ダイ・ハード』(1988)などハリウッド大作でもアメリカを脅かす<経済大国・日本>が頻繁に描かれていましたね。確か『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場する車や家電もほぼほぼ「メイド・イン・ジャパン」でした。当時はそれが当たり前、今思えば実にいい時代でした…。
そのような時代背景なかで『ブレードランナー』で近未来の日本(歌舞伎町)を創出したリドリー・スコット監督が実際に日本(大阪)で新作を撮影されると聞いて胸を躍らせましたね。
キャストも当時『ロマンシング・ストーン』『危険な情事』『ウォール街』とヒットを連続したマイケル・ダグラス。
日本からは高倉健氏、松田優作氏、神山繫氏、若山富三郎氏と豪華な布陣。
個人的には『アンタッチャブル』のジョージ・ストーンでブレイクしたアンディ・ガルシアの新作が観られることが当時は一番嬉しかったですね。
約20年ぶりに鑑賞しましたが、こちらが歳を取ったせいか作品印象ががらりと変わりましたね。
まず一つ目は当時ありがちな<可笑しな国・日本>ではなく、当時の日本の風景や文化を一切誇張せず、ありのままに切り撮り、<幻想的で不思議な異国・日本>を見事描いた撮影監督のヤン・デ・ホンは流石。
今ではすっかり様変わりしましたが阪急梅田駅や心斎橋、十三などが当時のまま撮影され歴史的価値も高いですね。
日本側のキャスティングも高倉健氏、松田優作氏をはじめ、刑事部長役の神山繫氏、関西ヤクザの首領役の若山富三郎氏、子分役の内田裕也氏、ガッツ石松氏と適役でしたね。
松田優作氏の全身から狂気が漲り鬼気迫る演技は最大のみどころですが、180㎝の体躯の良さもありますが、国際スターのマイケル・ダグラスに一歩も引けを取らない高倉健氏の圧倒的存在感は今回の鑑賞で一番驚いたところですね。ガンアクションも『野生の証明』で実証済、痺れました。もっと別のハリウッド大作も観てみたかったですね。
大阪府警察本部刑事部長役の神山繫氏の実に日本らしい官僚的上役も実にリアル。
脚本段階で日本の実情をしっかりと研究していましたね。
ストーリーも『夜の大捜査線』(1967)、『ゴリラ』(1986)、『ミッドナイト・ラン』(1988)同様、互いに立場や状況、文化が違う者同士の事件を通じたバディ映画、熱い友情譚ですが、本作は特に文化違いや障壁が明確で困難を乗り越えた上での互いの理解と友情の芽生え、それを凝縮したラストの空港での別れがグッときますね。
日本(大阪)で撮影されたリドリー・スコット監督のハリウッド超大作以上にバディ映画としても不朽の名作ですね。
0283 ここホンマに大阪か?
1989年公開
松田優作レストランに音もなく入店。
煙草を吸うがアメリカ産は不味い、と捨てる。
目ひんむいて「おとなしくしてろ」
冒頭からシブい!
偽警察にて脱出する松田優作お祈りのポーズもイイ。
阪急32番街
道頓堀グリコ橋
見慣れた街なのに異国情緒満載
リドリースコット魔術最高。
誰か英語のわかるやつはいないのか?とイラつく
マイケルダグラス。
オーライジェントルマン 神山繁が即答。
私がお供します、と高倉健。
脚本の濃さが目立つ。
レイチャールズ「マサヒロマツモト!」と紹介し
洒落たネクタイをつけろと高倉健にプレゼントする
アンディガルシア
ガッツ石松「こらアメ公!」
大人の風情ケイトキャプショー
一つ一つが印象的。
あー国村隼もチンピラ役で出てました。
ドスが地面と交差し火花を散らすアイデアは抜群
製錬所(新日鉄堺?)で銃撃寸前を妨げるキンキラキンの
トラックなど日常すべてがリドリースコットの手にかかると
すべて異世界へ様変わりする。
90点
初鑑賞 1989年11月29日 梅田スカラ座
パンフ購入¥400(税込み)
配給 UIP/パラマウント映画
日本が舞台でこんなにちゃんとした映画があったことに驚き アウトロー...
日本が舞台でこんなにちゃんとした映画があったことに驚き
アウトローなメリケンポリ公が頭固いジャップポリスと絆を深めつつジャパニーズヤクザと戦うだけで物語としては大したことないのだが
ロケ地や日本への敬意、そして俳優で素晴らしい作品になっていた
ロケ地はネオジャパンではなく、当時の日本そのもの
日本と言ったらこれだよねという軽率な物は置いたりせず普通の街中
屋内だけでなく実際の街中のシーンも多く
日本でこんな映画撮れたんだなと感動した
警察の気質やヤクザはリアルというと語弊があるが敬意を感じた
アメリカンイメージヤクザではなく極道物から飛び出てきたヤクザ
そして俳優達の演技の素晴らしさ
日本の昔の俳優は凄まじかったんだなと
メインの俳優だけてなく脇役達も良かった
チンピラ感出まくってたし、銃を撃っても違和感なかった
アクションや爆破もあり古臭さを感じない
むしろ昔だからこそ作れた作品
アメリカのデカと日本のデカのバディがアツい!松田優作が!!かっけぇ!
いや〜総じて渋かったっすね〜!!
松田優作の、まっっっすぐで迷いのない目に凄く惹き付けられました!迷いなくナイフを突き立ててくるあの迫力すごい…!
あまり日本の古い映画は見たことなかったので、高倉健が演じているところを初めて見たんだけど、いや〜渋い!!かっこいいわぁ〜
賄賂を受け取ったりと割と不真面目刑事だった主人公が、成長していくのがよい!あと、結構口も態度も悪いのも好き!真面目すぎる漢、高倉健との対比が面白かった!クラブ?でカラオケするシーンすき!
ラストの偽札の原本?を渡すシーンすき!
高倉健の「私のことも、チャーリーのことも裏切るということだ」ってセリフも(ちとうろ覚えだけど)よかった〜
あとは、タイトルにもなってる「ブラックレイン」、「あーやっぱりそのブラックレインなんだ」って思った。笑
急に、ww2の話がでてきてビックリしたけど、ちょっと鳥肌ものなシーンでした!
私はこの時代の日本には生まれてないけど、ちゃんと日本で日本人が日本人の役をやっていて、地に足着いた日本だったのが良かったです!
滑稽さや低俗さも楽しんじゃおう!
「午前十時の映画祭」で鑑賞。
僕が大学生のころ、当時住んでいた家の近く、神戸大丸の前で高倉健を見た。
大勢のエキストラに囲まれて横断歩道を渡るという、ただそれだけのシーンを6回も7回も繰り返しリハーサルしていた。
それが本作の撮影だった。
やはりナマで見る健さんは、背が高くスマートで、とてもカッコよかった――とはっきり書きたいところだが、実をいうと健さんのことはあんまり覚えていなくて、前述の周到なリハーサルに感心したことのほうが記憶に残っているのであった。
この神戸での撮影は映画の中盤に登場するが、残念ながら僕が目にした横断歩道を渡るシーンはカットされていた(ちなみに、このロケでは小野みゆきさんも目撃した)。
そんな思い出のある映画『ブラック・レイン』を30数年ぶりに鑑賞した。
いや~、オモロイなぁ。公開当時に観たときよりも、おもしろく感じたかもしれない。たぶんそれは、いろいろな懐かしさが加わったことによる結果かもしれないな、と自己分析している(ああ、懐かしのキリンプラザ大阪!)。
正直にいってしまえば、本作はそれほど優れた作品ではないと僕は思う。ツッコミどころがたくさんあるし、タイトルの由来もとって付けたようで、いまひとつ説得力に欠ける。全体的に見ると滑稽ささえ感じる、そしていささか低俗な作品でもある。
それでもいいのだ。何しろ、この豪華キャストである。とにかく画面の強度がハンパない。それだけでも観る価値アリである。仮にアメリカ側の俳優たちを除いて考えても、じゅうぶんにすごい面々である。おそらく、これだけの強い画面をつくり出せる俳優陣はいまの日本映画界には存在しないだろう。だから多少のことは許しちゃう、少しくらい内容が滑稽でも低俗でも、もういいやという気になるのである。そういうことも楽しんじゃおう!と。
優作さんの狂気、健さんの哀愁漂う絶妙な首の傾きに、今回も魅了された。
チャーリーと松本がレイ・チャールズの曲を歌うシーンにはグッときた。
そして30数年前に観たときと同じく、今回も健さんの息子役に違和感をおぼえました(笑)
追記
健さんの息子役の俳優さん。調べてみたら、けっこうすごい人なんですね。
リドリー・スコット監督ありがとう‼️
レストランで偶然ヤクザの殺人に出くわしたニック(マイケル・ダグラス)とチャーリー(アンディ・ガルシア)。
2人のNY市警の刑事は、その犯人佐藤(松田優作)を日本に護送するが、
大阪空港で逃げられてしまう。
大阪府警の松本(高倉健)の監視下、警官としての権限のないまま捜査を
見守る彼らだったが、佐藤はそれを嘲笑うように、
自らが刺客となって2人の前に現れる。
リドリー・スコット監督が大阪を舞台にした犯罪映画を日本で撮った
(撮ってくれた)だけでも大感激です。
日本のスターの高倉健に黒豹のような松田優作。
大型バイクに跨る勇作は迫力満点。
(ハリウッド行きも視野にあったのに早逝が本当に悔しい)
マイケル・ダグラスがうどんを屋台で食べる不器用な箸捌き。
雨の降り頻る大阪はさながら「ブレードランナー」の
世界観と良く似ている。
まるで続編みたいです。
不器用な健さんと汚職刑事のダグラスさんの心の変化が面白かった。
優作さんもドスの効いた最高演技でしたが、寡黙な高倉健さんは、
やっぱり心に尾を引きますね。
全部持って行かれました。
黒い雨のことだったんだ
敗戦の予感
脚本が割とザルで、ご都合的な場面が多く、まあ気持ちはわかるけど、雰囲気で乗り切ってる場面が少なくない。
とはいえ撮影、ロケーション、音楽などその雰囲気の部分がばっちりなのでまあ楽しめるけど。
お堅い高倉健が変わる話かな? と思わせてからのラストににっこり。
今となってはおよそ現実だとは思えないAs No.1のジャパン。その象徴である高倉健(妖精)に影響され心を入れ替えるマイケル・ダグラス。
また若山富三郎が語る敗戦の記憶。それはアメリカ人に今度こそ負ける覚悟をしとけよと言ってるみたいだった。
今見ると良くできた名作というより、珍味のブロマンスという印象。
ただこの映画について、人が松田優作の話ばっかりしたくなる気持ちはわかります。「ダークナイト」のジョーカーばりの存在感。
カンカンヘッドは男のロマン
言葉が通じないときの切実さ
松田優作の遺作であり、過去観たことあったけれど、アマプラ配信見つけたので、もう一度みてみた。全体的にカメラワークが自然で、また、深みのある映像美があって、監督のセンスを感じた。脚本もリズムあって、抑揚も効いていたので飽きさせない展開だった。
マイケル・ダグラス演じる破天荒なアメリカ人の刑事が日本にやってきて、言葉が通じないもどかしさを重ねて、クラブに居るアメリカ人女性に、”言葉が通じないとどうにもならない、たすけてほしい”といった旨のことを書いていて、切実さが伝わってきて、あのシーンが実はすごく印象に残った。
高倉健も英語のセリフはあっても、朴訥さはにじみでていて、しゃべる言葉が違っても雰囲気は同じなんだなと思った。マイケル・ダグラスは終始、悲壮さ、思い詰めた感じだったけれど、最後に笑顔になって帰っていくときの清々しさが印象に残った。
松田優作は顔の表情や立ち振る舞いだけで伝わるものがあって、このとき身体の調子もあまり良くなかったのにと思うと役者魂をみせられた思いがした。
俳優陣のアンサンブル、というよりバトル
相容れない刑事同士、ヤクザと言った単なる役の関係性を超えた、バトルの様な演技だった。
特にマイケルダグラスと松田優作。
『ブレードランナー』のような大阪。大阪っぽさ、日本っぽさは無い。外国人から見た日本だなあ、という印象。
ゲイシャって芸者じゃなくてホステスなのか?
若山富三郎はドスが効いてた。
優作が素晴らしい
よく言われることですが、優作が主役を食ってます。
ここまでの個性を演じられるのは、やはり天才だからでしょうか?
アメリカと日本の刑事の質の違いもクローズアップされており、
その中で手を組んで悪と戦う。その悪にも感情移入してしまう。
みんなかっこいいです。ラストも最高。
日本がアメリカを買おうとしていた時
映画館で観たのが高校生の時。ブレードランナーはビデオ鑑賞だったのでワクワクしたのをうっすら覚えている。今回の「午前10時の映画祭」で久々に鑑賞するにあたって、作品の概要読んでビックリ。音楽はハンス・ジマーじゃないですか。と、改めて聴くと「確かに♪確かに♪」でございました。そして「バックドラフト」→「グラディエーター」へと繋がっていくのですねぇ。感慨ひとしおでございます。
冒頭の「引き渡し」と日本パートでニックが「大使館いくど!」とごねた時のパワーバランスの違いに当時の日本が垣間見えて面白いですね。戦後のピークに差し掛かっている時の日本。アメリカ人に「日本がアメリカを買おうとしてる」なんて嫌われつつも怯えられてた感じが、端々に感じられますよね。あんな無軌道なパワーはいらないけれども、「さすが日本🇯🇵」再び!と思わずにはいられません。
アンディ・ガルシアがとにかくイケメン(中身含む)。そして巻き込まれ型の高倉健さんが可愛い笑
やっと見れた
見逃したまま、ずーっっとそのまま来てしまった作品のうちの一つ。近年は、4K版、レストア版などが上映されるのでありがたい。なので今年は数本、旧作を見ることができました。ケーブルやネット配信等サブスクなどでも見られるが、やはり映画館が良いです。
ナポレオンを見たばかりですが、これもリドリー・スコット監督作品だったんですね。
マイケル・ダグラス&松田優作だけが頭に残っていましたが、高倉健さんも出てましたね、そういえば。英語セリフが多くて健さんかっこ良かったです。ストーリーも映像もこの時代に作ったなーという感じですが(結構突っ込みどころあり)、一癖あるアメリカの刑事と日本のヤクザの対決。アンディ・ガルシアが殺られてからが面白くなっていきました。
優作の早逝は残念でしたが、スクリーンでこうして会えるのがうれしいですね。
小野みゆき、この時も美人でしたね~。内田裕也やガッツ石松など懐かしい面々。ガッツさん演技も良かったです。
1989年製作、思えば遠くへ来たもんだ
今回TOHOの朝一リバイバルで久しぶりに見た。初見は1989年10月末、英国Bristol の少々ショボいCliftonモールの映画館で、上映まで1時間近く続く予告編とTVCM放映、近所の企業の広告を長々と見せられた後だった。
キリの良いラストのお陰か観劇後印象は悪くなかったが、やはりチグハグな展開のような気がして海外では非常に珍しい「日本語(中心)映画」なのに大喜びしなかったような。ただ覚えているシーンの多くは今回の観劇でも出色の箇所だった。
・松田優作のトレードマークと成り得た無表情→サイコ顔の鮮やかな怪演
・マイケルとアンディの妙に気持ちの良い刑事コンビ
・ガッツさん「英語分かんねーんだよ!」、内田裕也、神山繁「You’re civilians here!」、力也さんらの物凄い緊張感あるかつ滑らかな演技(みな普段の邦画よりカッコよかった)
・若山富三郎の、要求された演技をちゃんと引き出す役者魂、健さんもこれに同じ
でもやっぱり、当時批評で言われていたように健さんの英語はイマイチっぽく聞こえたし(神山・刑事部長は上手かった)、若山・親分が俄かに「Black rain〜」言い出すのは随分と唐突に感じた(声はアテレコかしらん英語完璧だった)。
最後の山場の農園や屋内調度も「どここれ、これが日本?」と反応してしまったし(撮影地韓国)、あり得ない数のデコトラと自転車とか違和感だった。当時日本でもヒットはしたが、松田優作を惜しむ声以外あまり評価は高くなかったと聞いた。
しかし!三十数年を経た今この「ニューヨーク・大阪ロケ敢行のアクションクライム・異文化バディ映画」を見たら、
これひょっとして物凄い傑作じゃないですか!!
こんな意欲的なNY→大阪下町での主要キャストロケなんて今でもなかなかちゃんとは出来ませんよ。ラストのアクション銃撃シーンが日本で撮れなかった(製作陣は西日本で撮りたかったらしい)のは当時として無理もない。上述した過剰な日本風景設定も、今時を経て見ればあれくらい異文化強調した方が異国での場面状況が分かりやすいし、サイコな犯人集団が跋扈するクライム世界観に入りやすい。
すみません、既に海外に居ながら自分のアタマの中が開国していなかった若い私には、映画のなかの「本当の日本と違うところ」探しに心が向いてしまい心ならずも先ずアラ探ししながら観劇していたようです。今なら(私に限らず)「外国人監督が日本で娯楽作を作って視点が異なる、極端になるのは寧ろ当然。その上での映像、演出の面白さ、共有・共感できる点を楽しもう」という風に見られるでしょう。そうするとこの映画はかなり良く出来ています。
健さんの英語も、寧ろブレイク直後のケン・ワタナビの「インセプション」などよりも滑舌の抑えどころが分かっている(小生恥ずかしながら英語が仕事ゆえ、上から偉そうに言います)。
そして松田優作は、単独カットでは切れ味の良い悪役をちゃーんと押し出しし、マイケルとの絡みでは半歩抑えて主役を一層引き立てている(ラスト・サムライで真田広之はカッコ良さを出し過ぎたかトムに?出演カット秒を削られたらしい)。
若山富三郎親分の「黒い雨」セリフシーンも、改めて聞いたら言わんとする理屈展開(旧古の日本→近代戦争→ヤンキーの物量と技術の暴力、空襲、原爆でコテンパン→放射能と西洋価値観の『黒い雨』を浴び、戦後の新世代日本人は歪んで育った)は比較的無理がなく感じた。これらを米国人のリドリー・スコットと製作陣が構想して日本人俳優に語らせ、1989年に一国際犯罪映画として纏めたのは多分に偉業ではないだろうか。
浮かれた極論かもしれないが、今本作を(ほぼ)このまま改編して80年代日本が主舞台の新作映画として全国や国際ストリーミングに出してもそれなり現代人の鑑賞に堪えるのではないかとさえ思ってしまったほどです。
文化的誤解や理解の限界さえお互い一般化し、怯まずテーマを伝え合おうとするようになってきた今の日本(と米国の日本コンテンツ好き層)なら、今や本作程度の“変な”日本など全く気にならず、寧ろ本作品・監督の言いたい見せたい点により注目できるでしょう。
そして松田優作… 当時も映画公開を追うように英国まで伝わってきた訃報は現地の日本人仲間皆に衝撃だったけど、今もその早逝を惜しむとしか言葉がない。第二脇役として抑制もする演技ではなく、ハリウッド名監督作品の主役か準主役として思いっきりキレた演技を魅せて欲しかった。
とまれ、良い作品の良い劇場再上映でした。ありがとう。
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