ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのレビュー・感想・評価
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ノスタルジー!
1999年製作、ヴィム・ヴェンダース監督のドキュメンタリーはカルト的人気を博した。それが25年の時を経て蘇る。
永遠のノスタルジック・キューバ。
戦前、ハバナに存在したキューバ音楽とダンスのメッカ、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのかつての出演者たちが、1990年代の終りに数十年ぶりにライ・クーダーによって集められ、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブという名を冠したバンドユニットとしてCDを発売。これが大当たりし一躍有名に。
世界的に無名、かつ埋もれたと思われていた老ミュージシャンたちが、生き生きとサルサを奏でる。
アムステルダムでの2日間のライブと、NYカーネギーホールでのたった1日のライブ。
それはまるで、キューバの街なかを行き交う1950~60年代のクラシックなアメ車のようだ。カストロの革命を経て、彼らの時は凍結されていたんだろう。
ライ・クーダーとわずかなメンバー以外は、2025年時点ですべて鬼籍に入っている。
それを考えると、この映画は本当に貴重な記録、アーカイブになった。
エンドロールを見ながら、余韻に浸りきった。
ああ、俺も歳を取ったものだ。
25年ぶりにあなた達に会いに来たよ!
本作を鑑賞したのは、忘れもしない2000年1月の渋谷シネマライズででした。キューバのミュージシャンの佇まいと奏でるリズムにベタ惚れしてしまい、1年後にキューバに旅をしてしまったほどです。
そして、2025年6月。約25年ぶりにブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブに会いに劇場まで足を運びました。25年前に感じた彼らの熱量・哲学・色気・かっこよさ。25年後も当時と同じ様に感じることができて安心しました。私の感性は死んでなかった。
久しぶりに作品を観たら、キューバを旅した時のワクワク感が蘇ってきました。世界一美しい海カリブ海。街中にサルサが流れ、太陽が燦々と降り注ぐ島。キューバ人は路上で葉巻を吸いながらトランプをしてる。働かなくても高い目標がなくても別にいいんだ。ヘミングウェイ御用達のバーでモヒートを飲みながら話しかけてきたおじいちゃん。ハバナで常に流れているサルサは、カリブ海にめちゃくちゃ合うサウンドなんです。
なぜだか、新宿武蔵野館のスクリーンからふわっと葉巻の香りがしてきました。
私はあなた達と出逢えてなかったら、キューバを旅することもなかったし、サルサを好きになることもなかった。ライ・クーダーが出会い、ヴェンダースが映画にしなかったら、彼らを知ることもなかった。
本作に関わった全ての人達。
本当にありがとう!
Muchas gracias♪
“生きている実感。これぞ人生だ。”
曲目は一つしか、わからなかったが、
Perfect daysで、再びわたしたちの目の前に現れたヴィム・ヴェンダースの快作(99年)!パートナーは「パリ、テキサス」で音楽を担当したライ・クーダー。著名なギタリストであるライが96年3月、キューバを旅行した際に出会ったオールド・ミュージシャンたちと制作し、97年秋リリース、世界中で大ヒットした映画と同名のアルバムがきっかけ。
2年後の98年春、セカンド・アルバムを制作するライに密着して、ヴェンダースはハバナに行く。初めてのデジタルを用いた撮影だったと言う。
本作品では、最初に、98年4月、15人のメンバーによるアムステルダム公演の映像が出てきて、同年7月、ニューヨークのカーネギーホールでのコンサートで終わるが、二つを結ぶようにして、録音セッションと共に、オールド・ミュージシャンたちが、どの様に育ち、音楽と触れ合ってきたかが語られる。何と言ってもすごいのは、彼らの途轍もないエネルギー。
特に、ライがグループの中心に据えたイブライム・フェレールは72歳、家族を養うために音楽を離れて靴磨きをしていた。しかし、その伸びやかな美声には魅せられる。92歳にして子作りに励んでいたギタリスト、コンパイ・セグンド。引退して家に籠っていたピアニストのルベーン・ゴンザレス80歳。彼らの鍛え抜かれた音楽性、飾らぬ人間性がこの映画の根本を成していた。
ライとヨアキムのクーダー親子を入れて15人のビッグバンドだが、ツアーは大変だったと思う。キューバは、カストロやチェ・ゲバラによる革命の後、62年、ケネディとフルシチョフの抗争に伴う海上封鎖があって、米国とは断交、しかも援助してくれたソ連は91年崩壊しているから、経済的にも苦しかったに違いない。彼らは、よくヴィザがとれたものだが、ライたちのチームも大変だったろう。その分、撮影フィルムで見ても、発展を止めたようなハバナの街路、ボンネットの大きな旧式のアメ車が目立つ。ただ、音楽には奇跡をもたらしてくれた。過ぎ去り日のキューバのラテン音楽を保持していたオールド・ミュージシャンたちが甦る。
日本でも50~60年代、ラテン音楽の繁栄はすごかった。アルゼンチンのタンゴ、ブラジルのサンバと並んでキューバのラテン、ルンバ、マンボ、チャチャチャ、日本でできたドドンパなど。
この映画で、私にとって一番良かった音楽シーンは何だったろう。ルベーン・ゴンザレスの枯れたピアノに寄り添うように聞こえたライのスライドギターの演奏。ハワイアンでなじみのスティール・ギターにも似るが、音色はクラシック初の電子楽器テルミンを思わせた。
流れた曲の中で、それと知れたのはカーネギーホール終盤の「Quizas, Quizas, Quizas」だけだった。高校生の頃か、ディスク・ジョッキー(あの頃の言い方)の女性が「キサス、Perhaps、たぶん」と教えてくれたっけ。
オールド・ミュージシャンたちを再発見してくれたライ・クーダーと映像化してくれたヴィム・ヴェンダースに感謝。傑作である。
この映画を観るのと観ないのとでは、人生の価値が変わってしまうような...
音楽を愛し、音楽で愛される老人たち
2023年末に私の心を揺さぶったPERFECT DAYSのビム・ベンダース監督作を観てみようと思い、最初に選んだ作品。(2024年鑑賞4作目。U-NEXTで視聴)
キューバの老ミュージシャン達の人生とハバナの日常風景、そしてレコーディング風景やステージでのショーを織り交ぜたドキュメンタリー映画。
ドキュメンタリーでも、編集次第でドラマティックにもエモーショナルにも仕上げることが出来るはずだが、一人一人のミュージシャンのインタビューとプレイを紹介しながら淡々と進む。特別な編集テクニックを駆使しているようには感じない。誰でも撮れそうである。
いやしかし、この監督でなければ、この映画は撮れなかったのではないか。
何を撮るか、という題材選びで既に1歩抜けている。そしてカメラワーク、映像と音楽の組み合わせ。特に、ビム・ベンダース監督の音楽センスは尋常ではない。上手く表現できないのだが、音楽の使い方、切り取り方が素敵すぎる!
監督の話ばかり書きすぎた。
ミュージシャン達は一人一人それぞれ貧しかった。彼らが生きた時代、国も貧しかった。しかし、音楽を愛し、老いてもなおステージに立ち、気負いなく、プロの演奏と歌を披露して心から音楽を愛する姿を観客に見せてくれる。その姿にコンサートの観客は魅了される。そして映画を観る観客も魅了される。
ラストのNYカーネギーホールでの晴れ舞台。ミュージシャン達の最高のパフォーマンスと誇らしげで楽しそうな姿は、輝いて見えた。
音楽好きは是非。人生に彷徨っている人も是非。
サルサ「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」すきにはたまらない映画
おどろいたのは監督。
「ビム・ベンダース」は、ある意味伝説のひとでもある。
ぼくはなぜか「CUBAN SALSA」すきだ。その音楽には光の湿った影がない。きっとそんなことはないんだろうけど、貧しくとも、アメリカから経済閉鎖されても、彼らはキューバで音楽を生きている。彼らの「誇り」と思いたい。
ヘミングウェイはその海で椅子を置き新聞読みバーでダイキリを飲んで過ごした。そんな写真の彼がすきだ。アフリカの狩猟写真や戦争の写真よりもずっとずっと、すきだ。
あるときキューバがすきになった。葉巻を吸って「ハバナクラブ」を飲んで過ごした。「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」曲はその自分のすべてを思い出せる。。スペイン語が分からないのに、その質感がずっといまでも残っている。
日本人のぼくはキューバで暮らすことも彼らになることもできない。その意味で日本人としての国家の「自由と義務」を信じている。国家を失った民の「自由」はイスラエルやいまはウクライナ(毎日涙をながしている)を見れば理解できる。
彼らの「自由」に過去もいまも、祝福を願っている。
自由は、戦ってやっと得られる金貨だ。頭を下げて得られるわけがない。
キューバでの音楽と人生
1999年の公開当時はキューバ音楽のブームだったように思う。
老練のミュージシャン達が、必ずしも音楽一筋では来られなかった各々の人生を振り返る、その語り口が淡々としていたことと、バンドを組んで再び音楽を奏でる喜びに浸る姿が印象的だった。
ふと懐かしくなって再見したのだが、カーネギーホールでの演奏はやはり味わい深かった。
2000年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️✨
『ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ ROAD MOVIES/夢の涯てまでも』にて鑑賞。
今回のヴェンダース特集の中で、この作品は唯一何度か観た事がある作品。直近でいつ観たかは忘れてしまったけど、もう観なくても良いかなと思ってたけど…やっぱり観て良かった!(笑)
ラストのカーネギー・ホールのシーンは、何度観ても感動してしまう!
イブライム・フェレールがステージに佇んで、観衆の万雷の喝采を浴び、ちょっと涙ぐむシーンはやはり涙なしでは観られない(泣)
この作品に出演している歌手やミュージシャンの多くは、この作品が世に出るまで忘れ去られ、正当な評価を得られずに来た。それに大きなスポットライトを当て、世に知らしめたライ・クーダーの功績はあまりにも大きいと思う。
普段、好んでキューバ音楽を聴いたりすることはほとんど無いが、この映像作品だけは例外だ。
超オススメ!!!笑
*ライ・クーダーのこの作品における貢献度はあまりにも大きいのは確かだが、正直キューバのミュージシャンと共演する彼の演奏は今ひとついただけない(笑)
特にあのスライド・ギターに代表される彼のエレキ・ギターのサウンドが、このキューバの音楽に合っている様には到底思えない。変な効果音ぐらいにしか聞こえないのだ。
特にルベーン・ゴンザレスとの共演シーンでは、彼のピアノの音の邪魔になっているし、そのピアノが生み出すリズムさえも損なっている。
この音源がもしリミックスされる事があったら、ライのギターは是非ともオミットしていただきたい(笑)
【音楽と共に歩む人生の豊饒さを見事に切り取った、キューバ音楽ドキュメンタリー作品。】
今作を鑑賞したのは、2000年頃であろうか。
ヴィム・ベンダース監督が、キューバ音楽のドキュメンタリー作品を作ったと聞いて、半信半疑で観に行った。
結論から言うと、ヴィム・ベンダース監督よりも、当時平均年齢60歳越えの、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのメンバーの方々の人柄、顔に刻まれた深い皺と、インタビューに引き込まれた。
彼らの多くは、10代(人によってはそれ以下)から、貧しい中でも、楽器を奏でていたというコメントを、嬉しそうに述べていた。
50年以上、人生の傍に、自らが奏でる音楽が有ったという事である。
何より、彼ら、彼女らのステージで楽しそうに演奏する姿は印象的であった。
そして、98年の、NYのカーネギーホールでの彼らの晴れ姿には、天晴とさえ思ったモノだ。
<今作の18年後、「ブエノ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス」が劇場公開された時は、驚きと嬉しさでイソイソと劇場に足を運んだモノである。
物故者も多かったが、彼らの映像や当時も第一線でヴォーカルを担当していたオマーラ・ポルトゥオンドさんの元気そうな姿を含めて、音楽を奏で続ける人生とは良いモノであるな、と思った記憶がある。
そして、今作鑑賞時には購入しなかった(出来なかった・・)、「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」を購入し、車中でブリティッシュ・ロックンロールを掛ける中で、偶に流している。
お気に入りは勿論、”Chan Chan"である。
玉に瑕は、「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」を掛けると、ノンビリ運転になる事であろうか・・。>
【音楽の原点への旅】
この作品は、キューバの老ミュージシャンや人々へのインタビュー、そして、老ミュージシャンの演奏を見せながら、キューバ人のアイデンティティとは何かを見せているのだと思う。
この作品は、キューバの老ミュージシャンにスポットライトを再び当てることになったミュージシャンのライ・クーダーが、ヴィム・ヴェンダースの友人だったことがきっかけて撮影されることになる。
序盤に、今でも敬愛されているカストロや、チェ・ゲバラの写真が写されるが、キューバ人のアイデンティティは、力を誇示するような独立の逸話では決してないし、特定の民族や人種が拠り所とする宗教や神話、当然、民族や人種主義者の与太話でもないし、銃や軍隊の保持手もないことは明らかだ。
きっと、この国に住む人々が、貧しくとも支えあい、平等で穏やかに暮らし、そして、音楽とともにあるという極めてシンプルな事こそが、彼らのアイデンティティなのだ。
それを侵されることには単純に抵抗して闘うのだ。
だから、トランプは、この人たちをきっと恐れ、オバマが開いた対話の窓口を閉ざしたのだ。
でも、キューバの人々はとても率直だ。
カーネギーホールでのコンサートのために訪れたニューヨークで、老ミュージシャンのフェレールが、「ニューヨークはずっと憧れの地だった」と、「80歳を過ぎて、これから英語は勉強するよ」と話す。
彼らのアイデンティティは、イデオロギーとは異なるところにあるのだ。
近年、アイデンティティと称して、イデオロギーを振りかざす連中が散見されるが、この人たちの自由さは、本来の人の在り方ではないのか。
そして、こうした明るさや自由さは、あの悲しくも優しい、リズミカルなキューバ・ミュージック「ソン」の源泉なのだ。
老ミュージシャンとは云え、歌声も演奏も瑞々しく、太陽が輝くようだ。
彼らの多様性は、年齢も関係ないのだ。
最後に映されるいくつかの看板「この革命は永遠だ」、「カール・マルクス」。
この地だからこそ、ソ連共産主義や中国共産主義とは全く別物の、多様で平等な人々の間にカール・マルクスの本来の思想が根付いたのかもしれない。
「夢よ、いつまでも」
多様性が前提の公平な社会、人を選ばない音楽。
この二つは、然るべくして、この国でアイデンティティとなったのだ。
レジェンド
キューバ音楽とご老人のドキュメンタリーというのも相当地味ですから頭だけで考えたら世に出なかった企画かもしれませんね、何より作り手が心動かされて撮っているから良いものができました。
キューバ音楽と言うとペレスプラード楽団のマンボなどの印象が強いのでちょっと違うなという感じ、もちろん悪いわけではないが歌詞などはまるで歌謡曲、それだけ大衆に親しまれたのだろう。ただブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブはキューバ革命で閉鎖された、以前の共和制の時代の首都ハバナの会員制高級社交場だから民族音楽よりは洗練されているし演奏などにもジャズの影響が伺える。
バンドを復活させたライ・クーダー氏はスライド・ギターの名手だがレコード・プロデューサーとして予てよりアフリカやインド音楽とアメリカンミュージックのクロスオーバー企画に意欲的でアルバムはグラミー賞をとっていました。
その延長でアフリカンとキューバンミュージックのクロスオーバー録音に臨みましたがアフリカのミュージシャンが参加できなくなった為、キューバのレガシーなミュージシャンでの企画に変更、これが大ヒットし本作に繋がります。
映画音楽も手掛けていて長年コンビを組んでいるビム・ベンダース監督にテープを聴かせたところ大うけ、ドキュメンタリーを作ろうと意気投合し予算も決まらないのに直ぐにキューバに飛んだという。
撮影はソニーの小型DVカムとテレビのロケ並みで簡便、それでもベンダース監督らしく堅苦しいインタビューではなく街角を歩きながら鼻歌を歌わせたり、バレリーナの卵たちに囲まれてにこやかにピアノを弾く様子とか簡単な演出を交えているところが素晴らしい。
ライ・クーダーさんはギタリストとして12弦ギターのような民族楽器ラウーにも興味を惹かれたのかもしれませんね、息子のヨアキム・クーダーさんもパーカショニストとして共に演奏に参加していました。
肝心の演奏もさすがレジェンド、歳を感じさせないどころか味合いが深まって聴こえます。
音楽やる者、やらざる者
──人生でステキなものは金じゃない。女と花とロマンスだ
ラテン音楽好きな人向け
総合50点 ( ストーリー:10点|キャスト:50点|演出:50点|ビジュアル:70点|音楽:80点 )
それほどラテン音楽を聞かない自分にとって、このような音楽を演奏者のことを知りながら聞く良い機会になった。華やかで完成度が高い音が楽しめる。こういう音楽が好きな人にはいいだろうし、そうでなければ退屈な作品。
まずはライ・クーダーに敬服
最高かよ!
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