劇場公開日 1994年4月23日

「あからさまな結審までの裁判の推移に寄り過ぎた結果…」フィラデルフィア KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0あからさまな結審までの裁判の推移に寄り過ぎた結果…

2024年6月16日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

今は余り聞かなくなったが、
以前は性的接触以外でも
輸血がエイズ感染源として問題になっていた
ことが思い出される。
現在はそれほど心配するほどの
状況では無いのだろうか。

この作品、監督は「羊たちの沈黙」の
ジョナサン・デミで、
トム・ハンクスにアカデミー主演男優賞を
もたらした作品ではあるが、
「羊…」と比較すると、
何ともポイントを絞り切れていない、
前回の鑑賞と同じような印象が残った。

エイズ裁判を通じての
友情に昇華した2人の弁護士の裁判劇なのか、
或いは裁判劇を媒体として
エイズ感染者と周りの方々の心模様を
描いたものなのか、
裁判の争点が、
法律事務所が主人公を解雇したのが
彼の能力への判断だったのか、
或いは感染を理由としたものだったのか、
というあからさまさからすると、
多分に後者にウエイトを置いた作品
なのだろうが、
その割には、本来はシンプルなはずの結審
までの裁判が余りにも寄り道のし過ぎで、
特異な病気の主人公を取り巻く人々の描写を
戸惑い~共感のレベルで、
上手く整理しないままに
完成させてしまったような作品に感じた。

テーマこそは若干異なるが、
例えば、尊厳死問題に迫った「海を飛ぶ夢」が、登場人物の想いへの寄り添いが
容易だったのに比べて、
この作品では、
トム・ハンクスの熱演にも係わらず、
登場人物に寄り添うための演出と構成が
弱いのが残念に思えた。

KENZO一級建築士事務所