ファーゴのレビュー・感想・評価
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Ages like a Statue
After two decades have passed, we can admit with confidence that Fargo is one of the most all-around completed films in history--a knot made out of a single piece of yarn loop. Its revelations are cinema at its best . The bad guys are stuck in a quicksand rut between evil and hyper-evil, played by silent Swede Stormare. McDormand's acting skills are worth further study after her recent Oscar win.
独特の空気感
雪の白に赤と青
馬鹿馬鹿しさ満点のドタバタ劇。登場人物の大半がXX
笑うべきか? 怒るべきか?
笑うべきか? 怒るべきか?
そのどちらでもないような気も。感情の揺れを
コントロールされているような感覚に陥る掴みどころのないクライムムービー
自動車販売店の部長ランディガードは、裏稼業のコンビに「妻の誘拐」を依頼する
義理の父、そして勤める会社の社長でもある義父から身代金を騙し取るためだ
この狂言誘拐を発端にバタフライエフェクト的に不幸な事件が連鎖していき、出来事だけを見ていくと悲惨な物語なのだが不思議と悲痛な気持ちにはならない
それはやはりキャラクターの発する空気が大きいのだろう
とにかく小悪党すぎるランディガード
裏稼業コンビの片割れで、お喋りすぎる男
義理の息子を全く信用せず、狂言誘拐を成功させてくれない社長
そんな彼らがワチャワチャし続けているなか、コメディとも決められないのは作中一の悪役ゲアの存在によるもの
無口で犯罪に躊躇がない彼の行動は常に不気味で恐ろしい
そんな彼の存在が安易にコメディ映画として笑うことも許してくれないのだ
バッテリィズの漫才じゃないが、
「全部あらすじ分かったのに!」
そんな感覚を味わった
癇癪映画NO1
手が込んだ作品
1996年の作品
実話を実写化したもののようだが、事件は1987年に起きたようだ。
つまり当時見ても時代の差を感じるのだろう。
事件そのものに背景をつけ足していると推測するが、警察署長が妊婦という設定は物語としての演出だと思った。
そして調べてみれば、
実は、
最初に実話とナレーションされているが、実際にはそれはすべて演出だったようで、すべてがフィクションというわけだ。
さすが自由の国だ。
4月1日に訳の分からないニュースをシャレで流したりできる国。
さて、
このようにこの作品は非常に手が込んでいるが、監督が示したいのは「人の思考と判断」という最も大きなミステリーだったような気がした。
この作品のジャンルは、やはりサスペンスとかミステリーとかに分類されると思うが、その根幹にあるのが理解できない「人の思考と出来事に対する判断」だろう。
冒頭
カーキャリアで「シエラ」を運んでくるジェリー
物語の時系列が入れ代わっているのかと思ったが、端然と時系列で進行している。
つまり、
後には戻れないという意味だ。
だから、仲介役のジェブとジェリーの話の詳細は最後にも登場しない。
既に話は着けられてしまった。
もう後戻りなどできないことが示されている。
ここにこの作品の手の込んだ面白さがある。
「悪の法則」と同じ手法
「もうすでに選択は終わってしまっている」
さて、
客観的に見てジェリーは「ダメ男」だ。
様々な人脈に対し体裁を繕いながら自分が優位になる方法を模索しているが、何もかもまったく上手くいかない。
何に使うのか知れないが、大金を手に入れたい。
そのために妻を誘拐して義父に身代金を支払ってもらうというまったくもって無謀な計画を立てる。
その実行犯役を仮釈放中の従業員に仲介させる。
足がつかないと考えたのだろう。
何をするのかはもちろん言わない。
ところがこの素性のしれない彼らは、取り返しのつかないことを仕出かしてしまう。
もうすでにジェリーのコントロールなど及ばないところに来てしまっている。
同時にジェリーは義父に投資話を持ち掛ける。
この話が思いがけず進展したことで早速妻誘拐の計画を中断しようとするが、時すでに遅し。
何もかもがジェリーのコントロールできないことばかりになってしまう。
実際これは視聴者の人生でもあるのだろう。
だからこそ面白い。
そしてジェリーのような思考回路は多くのアメリカ人が持っていると監督は指摘したかったのだと思う。
最後に警察署長のマージが「幸せ」について夫と語るが、ジェリーという男は決して不幸ではないし、むしろ恵まれている。
義父との大きな差と見下されていると感じていることが、彼に余計な思考を与えてしまうのだろう。
加えて義父の相棒のスタンもまた、ジェリーを見下している。
しかし彼ら二人のジェリーに対する扱いは、ジェリーそのものの思考と判断力からきているのがわかる。
頼まないのに車を塗装してクレームになることや、客の想いを考えないまま支払いについて話したりすることは、営業部長としての彼の立場上売り上げを伸ばす方法をあれこれ考えているからだろう。
当時からそんな手法は「ダメなやつ」だったはずだ。
たまたま好きで結婚した相手の父が、会社経営者だったことで彼の立ち位置が決まってしまった。
それさえも、もう後戻りなどできないことだ。
人生とは、実に後戻りができないということをこの作品は言いたいのだろう。
さて、、
妊婦の警察署長マージ
彼女は事件があっても決して慌てずにいる。
見ていて若干のんびりし過ぎているように感じるが、監督はここにもまた罠を仕掛けているのだろう。
ファーゴというのんびりした街
この街の名をタイトルにした意味
忙しなく焦りながらお金を追いかけている人々とは少し対照的だ。
実際映像の大半がミネソタ州で、冒頭のバーがファーゴだった。
雪
血
田舎
そのコントラスト 光と影のようなものだろうか?
何もない雪の積もった場所で、人間の愚かな思考からくる計画と暴力行為が始まる場所。
「お金儲けして何が悪いんですか?」
あの有名ファンド会社の言葉を思い出す。
マージはのんびりしながらも確実に事件の真相に迫ってゆく。
まるで刑事コロンボのようだが、そんな特別な推理は不要で、出てきた事実のみを積み上げていく。
勝手に追い詰められていく犯人たちとジェリー。
まるで車で逃走した犯人を歩いて追いかけているように見える。
それに対し、ジェリーの思考と行動はすべて真逆に着地していく。
このコントラスト
今この作品を見ればほぼコメディだ。
1996年のアメリカにはまだマージのようにお金と幸せを切り離して考える人々がいたのだろう。
3セントの切手の絵が採用された彼女の夫とお腹の子供
この幸せ
1987年アメリカ経済 ブラックマンデー 景気自体は悪くはなかったが、日本がバブルで沸き立ちアメリカを円で購入できると騒いでいたころ。
自動車産業は日本車の勢いがアメリカ車を追い込んでいた。
この背景と設定
そして「マイク・ヤナギタ」という人物設定
彼は学生時代にマージと友人だった。
しかし今彼は極度のノイローゼ 躁鬱状態
彼の妻、学生時代一緒だったリンダが白血病で死んだこと。
今の彼の様子
同じ友人からマイクのことを確認するマージは、本当の彼のことを知る。
運転するマージの表情には、もの悲しさがあった。
有望で血気盛んだった彼の現在
躁鬱病で署長に出世したマージをうらやむことしかできない。
変わってしまった今と、過去の想い出
人というものの不思議さ
日系である彼を選択した設定も当時を鑑みればまた手が込んでいるが、何よりも変わってしまう人の寂しさがあのシーンに溶け込んできた。
ジェリーもまた、強迫観念のようなもので変わってしまったのだろう。
その顛末 成れの果てともいうのがこの作品
なかなか手が込んだ作品だったし、いま見ても悪くない、面白かった。
アカデミー賞受賞も納得の良作
やっぱり好きだ。
おそらくら公開時に映画館で観てない気がする。TSUTAYAでDVDを借りたのかなー?
正直どんな作品だったかあまり記憶がなかったが、面白かったという記憶はある。ただ、また観たいには、今日の今日まで至らなかったのが事実。
そのきっかけになったのが、ツインピークス。当時はやはりTSUTAYAで借りて観て、途中で断念してしまったことを悔やみ、ほぼ、一気見に近いかたちで観終えた。オフビートのコメディサスペンスという、絵も言われぬジャンルに今でも色褪せない面白さと、デビットリンチ十八番の夢や異次元的なシーンが絡み合い、独特のトーンに、あらためて痺れた。
なぜか、この作品を観終わったのち、無性にファーゴが観たくなった。Yeahの独特のリズムと特別な設定ではなく日常を舞台にしたオフビート感が、自分の中でシンクロしたような気もする。
何かに呼ばれて作品を見直す。しばらくこの繋がりを楽しみたい。
※Primeでの配信は10日間以内にで終了とのこと。寂しい限り。
無邪気さと悪意のミックス‼️
このコーエン兄弟の最高傑作で描かれるのは、偽装誘拐、殺人、詐欺、ミネソタ州、雪景色、変な訛りとおかしな人々、妊娠した警察署長‼️しかも一見サスペンス映画のようでありながら、ブラックコメディという調味料が大量にまぶしてあります‼️多額の借金を負った自動車セールスマンのジェリーが、自らの妻を偽装誘拐し、自動車業界の大物である妻の父親から身代金を騙し取ろうとする。知り合いから前科者二人を紹介してもらうが、彼らは誘拐の際、警官と目撃者を撃ち殺して殺人事件に発展させてしまい、事件の責任者として妊娠中の警察署長マージが捜査に当たるが・・・‼️雪の白一色の画面に徐々に車が現れる、しびれるようなオープニングシーンの素晴らしさ‼️登場人物も、どんどんドツボにハマっていくジェリーを始め、前科者コンビもホントにクレイジー、娘を助けたいけど無駄に金は出したくない父親、マージの夫もはじめは変わってるように見えるし、マージの知り合いの日系人が妻に死なれたと嘘をついて、マージを口説こうとする‼️白い雪に囲まれたミネソタ州で人間が狂気に染まり、それを通り越してブラック・ユーモアに浸かっているような世界観ですね‼️白昼堂々に行われる誘拐シーン、夜の雪景色の中で警官と目撃者の殺害シーン、屋上駐車場での身代金受け渡しのシーン、湖畔で前科者が相棒を "処理" してるシーンなど、サスペンスで、ホラーで、グロテスクなシーンもどこかユーモラスで笑ってしまう‼️キャラクターではやはりフランシス・マクドーマンド扮するマージが素晴らしい‼️二人の売春婦の話を聞くシーン、ジェリーにキレられるシーン、知り合いに説かれるシーンに見られる、目を丸くさせた不思議な表情で、作品の根底にある温かさに一役買ってる‼️前科者のピーター・ストーメアを誤送するシーンの「理解できない」と言うセリフが、この狂気な世界観への彼女のダメ出しでしょう‼️そしてラスト、ベッドの上で夫の描いた絵が3セント切手のデザインに採用された事を喜ぶ夫婦の会話シーンが素晴らしく、この狂気でブラック・コメディな世界観に一筋の光を与えてます‼️完璧な映画で、ホント大好きな映画ですね‼️
トレジャーハンター・クミコから来ました
今夜(2024/04/19)、小休止を挟みつつ観ました。
タイトル通り『トレジャーハンター・クミコ』の主人公、クミコが執着した映画が何を隠そう『ファーゴ』で、そこから興味が湧き、加えて憧れの俳優であるスティーヴ・ブシェミも出演していることが、視聴の決め手になりました(笑)
本作は、『ビッグリボウスキ』の監督さんの作品で、そこかしこにその匂いが感じられます。ただ全体を通して今回の映画は空気が重く、よりスリリングです。
短絡的な男が短絡的な計画を立て、想定外のことが起こって収拾がつかなくなる展開で、主演の女性警官の有能さが嫌でも際立ちます。
中盤以降は集中して観られる反面、スロースターター感は否めず、序盤から暫くの間は少し退屈な印象でした。
ただ佳境からクライマックスに掛けてはとてもエキサイトします!
価値ある作品かと思います。クライムサスペンスがお好みの方は特に要チェックです!
説明不可能
20年ぶりに再見、以前同様の摩訶不思議な面白さ。
面白いような、おかしいような、薄気味悪いような、後味が悪いような、人をバカにしたような独特の感覚を的確に表現した批評に出会ったことはありません。
ストーリーとしては単純で振幅があるわけでもなく、映像も凄惨でグロテスクな場面が散見されますが、それらを超越した表現不可能な「クセ」があります。敢えて言えば「ブラック」ですが、それも少し違います。
犯人一味の間の抜けた慌てぶりが際立つ一方、警察も含めた周囲の人々の「他人事ぶり」のアンバランス故でしょうか?
良くも悪くも多分に感覚に訴える作品なので、絶賛の一方けなす人がたくさんいるのも大いにうなずけます。要するに好き嫌いがハッキリ別れる作品ですが、最もコーエン選手らしさが際立つ作品でもあります。
雪一面の道路の向こうからゆっくり姿を現す一台の自動車。
未だかつて最も印象的なファーストシーンです。
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