ファーゴのレビュー・感想・評価
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「嘘の塊」と「人間の愚かさ」
もう何回観ただろう。そして長いこと騙されていた。
そう、この映画は嘘の塊なのだ。
まず冒頭の約束の時間から間違っている。つまりどちらかが嘘を付いている。息子スコティが家族との食事も早々にマクドナルドに行くと言う。これも嘘かもしれない。ディーラー内で塗装料の件も上司に相談すらしない。ローン会社から車体番号を問われても嘘をつき続ける。
序盤だけでも嘘のオンパレードだ。
そして、嘘の象徴マイクヤナギタ。
目の前で涙ながらに身の上話をされて誰が疑える?
映画が始まる前、重厚な音楽と共に「実話に基づいた話、忠実に再現した」と謳われれば信じてしまうだろう。
こんな事件どこかにありそうだよね、と思わせるくらい、世界のどこかで些細なことから始まった悲劇は繰り返されている。そのくらい人間とは愚かなのだ。
そして最後、「普通」「平凡」が一番だよねと訴えてくる。あれだけ凄惨な殺人事件を見せられた後に、小さなことに幸せを感じるシーンにとてもホッとさせられる。
「人生はお金よりも価値がある」
こんなありきたりなセリフが胸に響く。見事な展開、脚本だ。
この映画を名作にしてくれたのは他の誰にも代わりは務まらないと思わせるキャスティング。そして、音楽、撮影地。
どれをとっても完璧である。
白い世界と流血の対比
フランシス・マグドーマン、ジョエルの奥さんなんですね。渋い良い女優さんだ。
キャストよ無口な悪い人…どこかで観たなぁと最後まで思い出せなかったけど調べてスッキリ『アルマゲドン』のレヴだ。
ストーリー的には、冒頭に実話だと表示されながらホントはフィクションだと?そうならコーエン悪趣味だな。
犯人の無感情ぶりが不気味です。
義父から金を引き出すために妻の偽装誘拐を企てる夫。夫が雇った二人組は誘拐には成功するが、逃走中に殺人を犯してしまい・・・というストーリー。
実話を基にした作品のようです。偽装誘拐がいつの間にか連続殺人に発展していきます。犯人の一人の無感情が、とても不気味に描かれていて、そこら辺のホラーより恐怖を感じます。
ただ、実話にある程度忠実のようで、サスペンス映画としては評価し難い映画と感じます。あれだけ証拠を残してしまえば、普通は即日逮捕出来ても不思議ではないですよね。
不幸への雪崩
主人公とその夫以外は、みんな不幸。うまくいけば、簡単にそこそこ幸せになれるはずだった。堰を切ったように、どんどん悪い方向へ転がっていく。
救いは誠実に生きている二人の小さな幸せ。3セント切手は値上げのときに使われる、それで十分だよね、と頷く。
BS朝日吹替版鑑賞。 冒頭、「実話」「死者への敬意」とのテロップ。...
BS朝日吹替版鑑賞。
冒頭、「実話」「死者への敬意」とのテロップ。高鳴る期待。
あんまりパッとしない役者ばかりだな(笑)失礼。そして、なんだ、このちょいちょいほりこんでくる笑いは。「死者への敬意」はどこいった?
こんなアホでできない主人公、小者っぽいくせにやけに大胆に人を殺す犯人、身重の女警察、ほんとにいたの?
もはや予測不能の展開。が、それゆえ面白い。うわー、怖すぎる結末。
ネットで調べてビックリ。
冒頭テロップ、嘘っぱちだったんですね。そんなのあり?(笑)
コーエン兄弟及び変な顔の男の衝撃
劇場公開時シネマライズにて鑑賞したが、テレビシリーズをセカンドシーズンまで観てとても面白かったので、復習のため再鑑賞。いやほぼ関係ないがね。
メイシーの必ずダメな方を選択してしまうダメ男感、変な顔の男の虚勢を張った絶対ヘマしそう感、ストーメアの無口なのが逆に怖い殺し屋感がブラックユーモアたっぷりに描かれる。対照的にほんわかゆったりまったりマクドーマンドの善良さに安心する。
これでコーエン兄弟が好きになり、以後付かず離れず追いかけることになる。
埋められたカバンが…。
なんか本当アホな犯罪者達だなー。 無計画で感情的ですぐ撃っちゃうっ...
なんか本当アホな犯罪者達だなー。
無計画で感情的ですぐ撃っちゃうっていう単細胞で。
まぁだからこそ犯罪者は危ないんだけど。
マヌケがマヌケを呼びマヌケ連鎖で大事に。
何故かちょくちょくコミカルに見える。
ゾディアックとは大違いの犯罪者だけどこれはこれで面白かった。
めちゃくちゃ面白いわけではなく、普通に面白い。
コーエン兄弟にして傑作に出会えました^^。 実話と知って鳥肌ブツブ...
コーエン兄弟にして傑作に出会えました^^。
実話と知って鳥肌ブツブツ作品。
鑑賞日:2015.4.4
衝撃の実話。一定のテンポなのに惹きつけられる不思議。
音楽が良かったです。牧歌的でありながら物悲しい曲調が舞台や内容に合っていて、印象に残りました。
展開はわかりやすく、リアリティがありました。メリハリなく常に一定のテンポで展開していくけれど退屈さはなく、むしろ惹きつけられるような独特の雰囲気を持った作品です。実話らしい、客観的で一歩退いたような画面作りが良かったです。1987年当時の雰囲気を作っている、そこそこ最近の作品かと思っていました。23年前だと知ってびっくり。
警察官に車を止められたあたりからはずっと鬱鬱として胸苦しく、どういう気持ちで観ていたらいいのかわからなくなりました。
鑑賞後にだいぶ気分が沈んだのですが、なんと!本作は本当はフィクションらしいですね!やってくれる…しかし救われました…。冒頭のテロップも含めてフィクションって…そんなのあり?実話でも脚本賞って取れるんだーとか呑気に思っていました。まさに衝撃の「実話」。さてはコーエン兄弟、相当の曲者だな?
ヒントはポールバニヤン(ホラ話の象徴)とマイクヤナギダの話(嘘)にあったんですね。マイクは話の大筋に関係がなく違和感があったので、なるほどな〜と思いました。あとはカールがお金を隠したことは誰が証言したのかも疑問に思っていました。ある意味どんでん返しの作品ですね。おもしろい。
フィクションだとわかるとブラックコメディの見方もできますね。パンケーキ好きな寡黙な大男とか、部下にもらったコーヒー捨てるとか、身代金値切ろうとする父親とか。初見はほぼ真剣な顔で観ていましたが、次からは笑って観られそうです。
荒唐無稽に見えて、悪事が泥沼化していく様は現実でも起こりうるかもしれないと思わせられます。この絶妙なバランス、上手いですね。
ポールバニヤンの像が撮り方によってやけに怖く見えてビビりました。
あと終盤の木材粉破砕機はエグいですね…。また雪に赤が映えること。実際に事故では起こったことがあるらしいです…考えただけで恐ろしい。
演者みなさん表情が良かったですね。特にピーターストーメア扮するゲアのあの何を考えているのかわからない薄気味悪さ、怖さはなかなか出せないと思います。
カールというかスティーヴブシェミが聞き込みの度に「全体的にヘンな顔」と言われていたのは少し笑ってしまいました。特徴的ですよね、好きです。シェプにぶん投げられるところもおもしろかった。『レザボア・ドッグス』のピンクよろしく金にがめついお喋りな小悪党、最高でした。
フランシスマクドーマンドも自然な演技ながら存在感があり、格好良かったです。役作りでミネソタ訛りの英語を習得したそう。ガンダーソン夫妻は素敵な関係でしたね。癒しでした。
ウィリアムメイシーのにっ、と音のしそうな愛想笑いも好きです。情けない役なのですが、その普通の人っぽさに自然と同情して観ていたので展開が辛かったです。
フィクションとはいえ、どんなことでも隠そうとしたり、小細工しようとするのは良くないですね。誠実でいたいと思わせてくれる作品でした。
小心者による狂言誘拐が思いもよらない悪夢へと転がっていく。熱く語る...
小心者による狂言誘拐が思いもよらない悪夢へと転がっていく。熱く語る者がいないのがむしろそら恐ろしく感じられ、目の前の残虐な行為が何故か滑稽に見えてくる不思議な映画だった。
冬のミネソタの 惨劇
小悪党のジェリーの計略が 雪玉を転がすように、
どんどん大きな惨事に なってゆく
冬のミネソタ
庶民の 悪事と転落って こういう風に進むのかも、とも思わせる
沢山、死ぬのに おかしみがある
それぞれの人間の中の、ちょっとした邪悪さと暴走が 拡大してゆくのだが、それを止めるのが 妊婦の警察官
彼女の健全さと 幸福さは「足るを知る」という
ことわざを思い起こさせる
人生の真理は、様の東西を問わないか…
俳優が みんな 一癖あって、おかしい
まともな妊婦警察官マージ(マクドーマンド)が 淡々と仕事を進めていく様子も、アメリカの良心みたいなのだが、おかしみがある
私は 劇中で「変な顔」と、言われ続ける
ブシェミの 笑ってるような、泣いてるような、怒っているような顔(個性)と 小悪党感まるだしの存在感(演技)が、気になった
大男(ストーメア)との 対称も、面白い
潔癖症で 静寂を好む大男が、迷いなく人を殺すのも 病んでる感じがする(ミンチにした!)
車がないと どうしようもないミネソタの(アメリカの)広大さと、たまにすれ違う対向車が怖い
雪の地平線、美しいが 怖い…
雪で閉ざされてしまった 田舎町の住民の、軽い恐怖と狂気が わかるような気が…
(ディーラーのジュリーの元を 訪れる客が、塗装を拒むのも おかしい)
治安は良くて のんびりしてるが、それでも 警察官の苦労と恐怖も 想像できる、冬のミネソタ
面白かった!
ブラックならコーエン
凄惨な事件を扱った映画なのに、雪で覆われた地面の美しさと滑稽でもある人々の平凡な日常を対比させて、不思議な雰囲気を醸し出している。銃社会による狂気的な殺人事件も善良なる市民が生活する平凡との真裏に存在することを痛感した。あるきっかけで平凡が異常に変化するという不可思議な世界をウィリアム・メイシーが妙演してるし、F・マクドーマンドは食ってばかりいるけど事件を解決しようとしてるし、ブシュミは不気味だし、演技は最高。
F・マクドーマンドはジョエル・コーエンの妻で、撮影時には妊娠してたとか、実話と書いてあるが実はフィクションであったりと舞台裏も面白い。しかし、生涯記憶に残るといった映画ではないような気もする。
編集の重要さを感じる
いやー、面白かった!
一つの事柄が大きく広がっていく感じとか、緩急のあるリズムとか、ぐいぐい引き込まれてあっという間でした。
映像も好みだけど、何といっても編集が良いんでしょうね。
編集が誰かを調べたら、コーエン兄弟の変名だそうで、なるほど納得という感じです。
コーエン作品、コンプリートしたくなりました。
レビュー
言わずと知れたコーエン兄弟の傑作。なかなかの人間が死ぬサスペンス?だが、今の作品に多くみられる、不穏な音や叫び声、派手な演出がない。加えて、フランシス・マクドーマンドの絶妙な演技により、ゆるい日常に一部として描かれており、すごく良かったです😊
とても面白かった
大昔に見たっきりで『シンプルプラン』とごっちゃになっていた。
登場人物がクズばっかでとても面白かったし、実際犯罪者はあんな感じのうっかりした人が大半ではないだろうか。主人公は、奥さんが生きていた方がよっぽどひどい地獄を見たはずだ。徹底的になめらていたのだが、彼なら仕方がないだろう。「頼りない」は彼の本質を突いているし、絶対に出資したくない。
妊婦の警察官が単独で捜査していくのだが、コンビが基本ではなかっただろうか。なにしろ妊娠中なので危害を加えられないか心配で仕方がなかった。
(追記)
午前10時の映画祭で初めてスクリーンで見る。4年前に見ているのにほぼ忘れている。ブシェミがやたらと変な顔呼ばわりされているが、主人公のウィリアム・H・メイシーもけっこう変な顔だ。すごく面白かった。
大体忘れているのだけど、ラストの破砕機で人体を粉砕しているところは最初にレンタルビデオで見た時から強く印象に残っている。黙々と作業するピーター・ストーメアが怖い。
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