劇場公開日 1988年12月10日

「新人死者と人間怖がらせ屋」ビートルジュース 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5新人死者と人間怖がらせ屋

2024年9月29日
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ティム・バートン1988年の作品。
監督2作目で、出世作。本作がヒットした事により、人気監督へ。その後の活躍はご存知の通り。

見たのは相当昔に一度だけ。話なんてほとんど忘れてる。
だけど何故か、あの『バナナ・ボート』を踊るシーンは覚えてるんだよねぇ。

のどかな田舎町の丘の上の大きな白い家に暮らすアダムとバーバラの若夫婦。
ある日、交通事故で呆気なく死亡。二人は“新人死者”となり、家に留まっていたが、新たな住人が。夫の金儲けと後妻の訳分からん芸術品でお気に入りの家が滅茶苦茶に…。
追い出そうとするが、新人死者の二人は力不足。あの世のお役所に相談するも、力になってくれず…。
自分たちで何とかしなさい。アイツだけには絶対頼っちゃダメ!
アイツとは…?
自称“バイオ・エクソシスト(人間怖がらせ屋)”。その名は…

決してその名を3回呼んではいけない。
とてもとても恐ろしい事が…否。とてもとても面倒な事が。
本人はプロぶってるけど、実際はドタバタ騒ぎを起こして混乱させるだけのトラブルメーカー。
見た目も言動もへんちくりん。いい加減で、テキトーで、口が悪く、不衛生小汚なく、女癖も悪い。にしても、何故に関西弁…?(吹替担当・西川のりおの影響だとか)
マイケル・キートンのノリノリハイテンション。見てるだけで愉快。キートンにとっても本作が出世作。

36年という歳月。皆、若ッ…!
アレック・ボールドウィンにジーナ・デイヴィス。ちなみに実質、二人が主役です。
引っ越してきた家族の娘。根暗な性格で、ちょっと変わった子。故に、普通の人には見えない幽霊になったアダムとバーバラが見える。二人と親交を。父と継母とは上手くいっておらず…。
本作のキャラの中でバートンが自身を投影したであろう、孤独で風変わりなリディア。
ウィノナ・ライダーが可愛いッッッ! 改めて90年代の人気ぶりも納得。
黒のゴシック風服装が萌える。ラストのダンスがまた萌える。

話自体はそれほど優れたものじゃないんだけど(夫婦が死ぬまでの開幕がタルかったり、アイツが登場するまでも長かったり)、でも愉快で飽きはしない。
バートンは昔からバートンだった。
ファンタジー×ホラー×コメディの世界観。シュールでもある作風。
アイツのメイクは凝っているが(アカデミーメイクアップ受賞)、他のメイクや造形はアナログ感たっぷり。最たるは、あの世の砂漠の大蛇のストップモーションアニメ特撮。『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』の原点がここに…!
あの世のお役所のシステムもユーモアや風刺効いている。
終盤、リディアは“普通の女の子”に。当時はそんなハッピーエンドが望まれたのかもしれないが、今だったら違っていただろう。ありのままに。

アイツはただのトラブルメーカーじゃなかった。
バートンやキートンやウィノナのキャリアアップに貢献。
アニメや舞台ミュージカルにもなり、今やアメリカではハロウィンの名物。
そして、36年ぶりに戻ってくる。
さあ、アイツの名前を言おうではないか。

ベテルギウス!
…じゃなかった。
ビートルジュース!

近大