羊たちの沈黙のレビュー・感想・評価
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境界線の越え方は、解剖学者であったダ・ヴィンチのデッサンノート「解剖手稿」のように、どこか芸術的でさえある
FBIアカデミーの優秀な訓練生クラリスは連続誘拐殺人事件の捜査スタッフに組み込まれ、犯罪者として収監されているレクター博士と面会する。それは、天才的な精神科医でありながら、自らの患者を次々と死に追いやったレクターこそ事件の謎を解く鍵になると見込んでのことだった。レクターはクラリスに興味を示し、捜査の手がかりを与える。ふたりが次第に心を通わせていく一方、新たな誘拐事件が。そしてレクターは脱獄を図り……(映画.comより)。
怪獣や猛獣などの暴力が、本能や欲望のままに制御されていない恐怖とするなら、レクター博士のそれは左脳的に完全に制御された恐怖である。彼は、殺人は大罪という普遍的な倫理からかけ離れた、全く独自の理によって思考し創作し発言し、人を殺す。その境界線の越え方は、解剖学者であったダ・ヴィンチのデッサンノート「解剖手稿」のように、どこか芸術的でさえある。
抑圧のきいた音楽と照明、映像がその恐怖をより一層際立たせる。特に、主演ふたりが対峙する場面、レクター博士は揺るぎなくクラリスを凝視するのに対して、クラリスの瞳孔は高速で微動した後、虚空を漂う。この対比的な演出は見事である。
サイコスリラーの原型ともなっている本作では、今さら言うまでもなくアンソニー・ホプキンスの映画史に残る怪演が凄まじいのだが、レクター博士役は当初、ショーン・コネリーで調整されていたそうなので、何がどう転ぶか分からない。ちなみにクラリスもミシェル・ファイファー、メグ・ライアンが候補だったとのこと(ショーン・コネリー同様、両名ともオファーを辞退)。
やっぱり名作
NHKBSを、未見の家人とリアルタイムで視聴
畳み掛けるようなテンポが良い
トマス・ハリスの原作(「レッド・ドラゴン」も)を以前読み、警察・官僚の男社会で奮闘するクラリスの描写がとても多かったのを思い出す
冒頭FBIの訓練校のエレベーター内、周りをぐるりと男性陣に囲まれて、身の置所が無さそうな小柄なジョディ・フォスターのショット
(同じフォスターの「告発の行方」に似てるシーン)
チルトン博士の明らかにクラリスを女性として品定めしている目つきを隠そうともしないふてぶてしさ、そしてそれをガン無視するクラリス
遺体安置所に意味もなくたむろする地元警察官のジジイどもに、声を張り上げて、でも失礼の無いように追いはらうシーン
FBIの上官クロフォードですら、レクター博士にかかると、彼はキミを性的な視線で見てるよと解釈されてしまうが、深読みするとそうかも知れない
無駄に美しくて目を引く故に、しなくて良い苦労をするヒロインの造形が、猟奇殺人犯を捕らえるまでのそこかしこで輝く
プレシャスかわいい
「どうだねクラリス。仔羊の悲鳴はやんだかね?」
原作はトマス・ハリスの同名小説。
主演ジョディ・フォスター。
【ストーリー】
FBIアカデミーの実習生クラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)は、子どものころから悩まされている夢の光景があった。
屠殺される羊たちの鳴き声。
父の死とむすびついたその哀しい記憶は、クラリスの心の奥底によこたわる悲痛なメロディであった。
まだ訓練途中のクラリスだが、FBI行動科学課に呼ばれ、世間をさわがせている連続殺人鬼『バッファロー・ビル』の捜査協力を命じられる。
バッファロー・ビルはこれまでに見つかっているだけでも、5人もの女性を手にかけ、その皮を剥いでいた。
上司のジャック・クロフォードは猟奇殺人鬼にするどい知見をもつ、収監中のハンニバル"カニバル"レクター博士(アンソニー・ホプキンス)に、アドバイスを聞きにゆけと指示をだす。
レクター博士は医師として多くの精神異常者を診断しており、そして人肉食(カニバリズム)の嗜好をもつ、かつてアメリカを恐怖に陥れたおそるべき殺人鬼であった。
自分の患者を9人も殺したレクターは、優秀で野心家のクラリスを気にいり、自身が殺した患者、ベンジャミン・ラスペイルの車を調べろとアドバイスする。
放置されていたラスペイルの車からは、男性の頭部が発見された。
レクターは少しずつバッファロー・ビルの情報をあかし、クラリスをメッセンジャーに、FBIと自分の処遇についての交渉をする。
レクター博士はクラリスへつよい興味を見せ、彼女の悪夢を聞きたがる。
警察官だった亡き父、一時期引きとられた叔父のは羊の牧場を経営し、屠殺されるその鳴き声が、心にこびりついてはなれないこと。
彼女は捜査の見返りとして、自分の子供時代の原風景を語らされる。
着実に進行するバッファロー・ビルの捜査。
——さなか、マーティン上院議員の娘が失踪した。
レクター博士は、進まぬFBIとの交渉に失望し、同じ条件をマーティンにもちかけ、天秤にかける。
サイコサスペンスの先駆者にして金字塔、『レクター博士』を生んだ、トマス・ハリスのシリーズ二作目です。
一作目のレッドドラゴンの主人公だったクロフォードが上司になり、手ごわいレクター博士とわたりあうのは、ジョディ・フォスター演じる若く美しきクラリス・スターリング。
この作品、ホプキンス演じるレクター博士が怖いのなんの。
闇の中からあの色素のうすい目で、まばたきせず見つめてくるんだからたまりません。
ぜったいぼくらを食べにくるよこの人。
フィクションでもこんな根源的な恐怖、なかなかないです。
無害と思っている羊たちの中に、こんなのいた日には、自分なんか両手をあげてマンガ逃げですよ。
トマス・ハリス作品が好きで、このシリーズはとりあえず通読してるんですけど、一番おもしろいのは、やっぱりこの『羊たちの沈黙』ですね。
これだけは読みかえします。
友人もこの作品のファンなんですが、彼は「ひつちん」とひどい略称で呼んでました。
ひつちんて。
レクター博士に切られちゃうよ?
ラストも怖くて、原作はレクター博士がクラリスに手紙を書くところで終わるんですが、映画では直電されて会話するっていう、さらに臨場感のあるものに。
もうやだこの博士(><;こわ。
あんまりに怖いので、アメリカ映画誕生百周年アンケートでは、人気の敵役ベスト1に輝いてます。
いつだか憶えてませんけど、ダークヒーローのランキングにも入っていたような……?
作品、主演男優、女優、監督、脚本と主要五部門でのアカデミー賞受賞した、今なおジャンルを代表する傑作サイコミステリです。
0293 クラリスは日米ともにカワイイ
1991年公開
囚人が獄内から外部、それも公的捜査員をコントロールする。
さらに自分は脱獄していくという
ミステリーを兼ね備えたストーリーが重厚。
一方でトラウマをかかえた女性捜査官が一人でサイコパスを
追い詰めるという当時としては斬新な展開。
最近のというか近年の模倣ドラマのスタイルが
この作品に原点を見出せるような気がする。
この年のアカデミー賞は本命不在といわれ
(日本では)全く話題にならずオスカーを獲得したことで
有名になるもその根拠は見事に映画内で証明している。
アンソニーポプキンスがこんなに怪演できるとは
と驚いた。
何よりジョディフォスターが可愛い!
80点
初鑑賞 レンタルビデオ
今でも文句がつけられない
2000年当時はサスペンスとサイコの組み合わせがなかったのだろうか?
あの「サイコ」は1960年のホラーだったようだ。
つまり当時は、すでに使われた型として考えられていたのか、誰かが使った「モノ」を使わないようにするのが流儀だったのかもしれない。
しかし、ネタが尽き、そして掛け合わせという手法が盛んになった。
これはすべての分野で発生し、少し前には一つのカップ麺の中に別の味を足すことまで起きていた。
映画の世界でも新しい物語作りに四苦八苦で、最近は漫画を映画化にするとヒットするという神話さえ生まれているようだ。
この作品は当時から今でも語られるほどの名作だが、いったい何がそれほどまで人を惹きつけるのだろう?
そのことは、実際数多あるまだ見ていない作品を脇へ追いやり、この作品をチョイスした私自身に問いかけたい。
今までも何度か見てきた。今回目に留まったのはそのタイトルの意味を考えたかったからだ。
この作品のタイトルは意味深だ。
クラリスの幼い頃の体験に登場する羊たち 彼女のトラウマ ビルとの格闘によってそのトラウマが払拭されたようだ。
沈黙する羊は恐怖の象徴 順番に殺されていくにもかかわらず声さえ出せない。父を失ったクラリスの不安と預かり先の牧場で見た光景が重なるのだろう。
不安と恐怖の象徴が羊 しかしタイトルは「羊たちの沈黙」
まるで羊たちが意識的に沈黙しているようだ。
クラリスが幼少期に経験した羊の悲鳴とその後の沈黙は、彼女の心に深い傷を残した。
羊たちが順番に殺されていくにもかかわらず、何もできずにただ見守るしかなかった彼女の無力感と恐怖が、犯人バッファロー・ビルの犠牲者たちに重なったのだろう。
ビルとの対決を通じて、クラリスは自分の恐怖と向き合い、それを乗り越えることで「沈黙する羊たち」を救おうとした。
つまり、彼女のトラウマを克服し、過去の傷を癒すための象徴的な戦い。
タイトルの「羊たちの沈黙」は、クラリスが自分の内なる恐怖を克服し、沈黙を破ることを意味しているとも解釈できるだろう。
彼女がバッファロー・ビルを倒すことで、過去のトラウマから解放される瞬間を象徴していると解釈した。
さて、
この作品には2つの軸がある。
メインである連続猟奇殺人鬼を追う物語と、レクター博士というサイコ精神科医という人物像そして彼の脱走事件だ。
連続殺人鬼を追うのはクラリスの物語だが、どうしてもよりウエイトを感じてしまうのがレクター博士だろう。
FBIが訓練生をレクター博士へと送り込んだことは、レクター博士自身の興味を誘うことに成功した。
この設定は見事だと思った。そこまでの過程を省いているのもよかった。それによって視聴者に考えさせているのだろう。
そして見返りを求めた彼に対し、「嘘だ」とのたもうた精神病院の院長
院長はクラリスの話を盗聴して手柄を横取りした。
更に約束とは違う待遇に、レクターはキレたのだろう。
キレる前に院長のすべてを読み取っていた。
途中から連続殺人犯のことよりもレクター博士の方が気になって仕方なくなる。
ここがこの作品の見せ方というのか、視聴者の嵌め方だろうか。
頭の中にはビルのことはサブになってしまって、あとから「あれって、どうしたんだっけ?」となる。
2度見ても注目はレクター博士へ注がれてしまう。
3度くらい見てようやく理解できた。
なるほど~ そういうことでしたか~
「レクター博士、夕食はいかがでしたでしょうか?」
有名な蝶のポスターの映画やっと見れた映画NO1
期待度○鑑賞後の満足度○ 若い頃のジョディ・フォスターがこんなに綺麗だとは思わなかった。ただ、映画としては原作のダイジェスト版みたいで何故こんなに評価が高いのかよく分からず。
(原作既読)
①原作は後味は悪いけれども(だから初公開時にあんなに話題になったのに観に行かなかったのだが)大変面白い小説であった。
それを原作のエッセンスを失わずに上手くまとめているという点では評価できるかもしれない。
ただ、原作がはらんでいた人間の暗い深層心理みたいなものは薄れている。
題名の元となっているクラリスの心の深層に対する洞察もあまりない。
②レクター博士を造形したアンソニー・ホプキンスの演技というか目の演技は確かに素晴らしいと思う。
③あと性倒錯者を犯人にしているが(そういう性倒錯者による犯罪があるのは否定できないけれど現在の目で見ると)性倒錯者が如何に社会に害を与えている存在であるのような印象を与えている感か強くて多様性を受けいれているようには思えない。
⑤
変身して沈黙を破ることはできるのか クラリスのトラウマと向き合う葛...
配役の妙
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