「サイコ・サスペンスの金字塔」羊たちの沈黙 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
サイコ・サスペンスの金字塔
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新米、というより研修生のFBI分析官クラリス(ジョディ・フォスター)に猟奇殺人鬼レクター博士(アンソニー・ホプキンス)、狂人と天才は紙一重、精神分析能力を買ったのか蛇の道は蛇に聞けということか、意見を聞きたいFBI、だが普通に頼んで答える相手ではない、そこで若い女性を餌にした訳だ。もうひとつ、主人公が頼りない設定の方がハラハラさせられるのは間違いない、訓練で失敗するカットは伏線だ。
心憎いほどの計算された演出、アップの多用は観客との距離感を縮める、名優が迫真の演技で囁きかけてくるから思わずのけ反る、ドア開けつなぎの編集も意表をつく、暗い映画館の中だから闇の演出は効果倍増、迫りくる殺人鬼は観客しか分からないヒチコックばりのシーケンス、蛾が出てくるのは「コレクター」へのオマージュか。犯人像に偏見だとホモ団体のデモが起きたらしいがタマタマだろう。
何が怖いと言って手口のモデルになった殺人鬼が大勢実在することの方が怖いかもしれない。謎解きもわかってみれば単純明解、最初の犯行に鍵あり、これならレクター博士でなくとも推理可能な気がしないでもない、邪魔が入らなければすんなり逮捕だったがもう一人の化けものを檻から放つ相乗効果と続編狙いには大事なプロットだから致し方ない。久しぶりの再鑑賞だが楽しめるのは演出のうまさだろう。昨今のアカデミー賞には疑問だが主要5部門総なめの快挙、文句なしの傑作サスペンスでした。
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