「一人で突撃はしないだろ」羊たちの沈黙 shadow-81さんの映画レビュー(感想・評価)
一人で突撃はしないだろ
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15年ぶりくらいに改めて観ての突っ込みと、
本作品の批評に対して一言。
まず通常、犯人が分かった時点で応援を呼ぶ。
学生捜査官が一人で連続殺人犯を相手に
地下に下りてくことはあり得ない。
ここであまりに映画的で一気に冷めた。
次に作品のタイトルとテーマだが、
「クラリスは養女時代に義父に犯されており、
それを本人が無意識に押し込めてる」という
批評が多いが、映画を見る限りそう思えない。
劇中でレクターのその質問をクラリスは
あっさりと否定している。
原作からはそう解釈できるのかも知れないが、
映画は映画で解釈すべきだ。
あと、クラリスはセックスできないとか、
死んだ父親にしか心を開いてないとか、
どこのシーンから読めるのか理解できない。
同僚の女性と協力しているし、
そんな演出はされていない。
つまり、劣等感と嫉妬心が強い批評家の
思い込みである。
ジョディ・フォスターが完璧過ぎるから
そう思い込みたいのかも知れない。
作品全体としては、犯人の動機が薄っぺらい、
クラリスの羊のトラウマとリンクする訳でも
ない、単なる一つの事件を解決し、
父親の様な存在のクロフォードに認められて
良かったという話。
アメリカ人って本当に父と子の話が好きだ。
しかしクロフォード自体が大して賢く
なさそうに見えるから、それもどうでも良く、
クラリスにも感情移入できず終わってしまう。
公開当時は心理分析を取り入れた刑事ものが
新しかったのだろうが、それだけである。
映画史に残る様な作品ではない。
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