左利きの女のレビュー・感想・評価
全3件を表示
眠くなる傑作かなぁ?
流石に脚本家の映画だけに主題ははっきりしている。でも、意図があっての事なのだろうが、ショートコントの寄せ集めの様になって、それが妙に分かりにくくしている。勿論、直ぐにこの女性が左利きではないと気付く。
絵画的に遠近法の消失点を色々な場所に作ってその中を主人公達に動いてもらう。その試みは良いのだが、今一、稚拙。まぁ、小津安二郎監督の構図を利用した事も理解できるが、割とワンパターン。と言うよりも、自宅の中だけだと思う。勿論、セリフごとにカットを入れて、二人の会話を映すと言った手間のかかる事はしていない。つまり、大胆なカメラ目線は数カ所のみ。従って、肖像画の様な場面はあまり出てこない。それが主題の一つで敢えてそうしたのかもしれない。
絵画的はハンマースホイやフュルメールを意識したライティングになっている。だから、寧ろ、白黒で撮るべきだったんじゃないかなぁ?
脚本家の映画だけに、時たま気になるセリフが飛び出す。時間があれば数回見るのも良いかも。その中で笑えたセリフ
「アメリカ映画は演技しなくとも・・」実に嫌味な語りで笑えたが、逆にヨーロッパの映画は役者が良いから、脚本家や演出家が駄目と言う事なのかなぁとも思った。
まァ、日本の映画はどうなんだろう。だから、日本にはアニメーションなんだね。
実に眠くなる映画で、うとうと見ていると夢を見る。例えば、老人とあって密会を重ねる。「そして、老人は女の乳房を揉む」
はっと、気付き「僕自身の夢」と気付く。もう一度見直し。「年配の男の隣に座っている自分を、私に吐き気を催すに違いない」ってセリフだけだった。
まさか、セリフによるサブリミナル効果?
最後に、ネタバレをしなけりゃならないい。
全く、問題はないと思うが、
それが嫌な人もいるので、
映画を鑑賞してから、
読んで頂くとありがたい。
では
ネタバレ。
「今ここにいるのに、ふさわしい場所がないなどと嘆くべきでない」
タルコフスキーも入ってるね。
通過していく電車(騒音)と、その端で生きる私
生活の中で"ぼーとしてる"その時間は、
自身の人生にとって、何の価値、意味があったのか(あるのか)?
仕事、家事、育児、デート、遊び、食事、
友人との会話、読書、・・・・
ではない、
何もしてない、考えてない時間は
自分にとって、どういう時間なのか?
孤独、孤立していなくても
私たちは、毎日
「無」に近い時間の中に、いる。
この、時間が、毎日の中で、締める割合が
増えた時を、意識せざるをえない
時が、いつか来る(ようだ)。
小津安二郎の映画は
この世界観、だったのかなあー。
と、映画の場面から、
改めて、考えさせられた。
映画は
画面構成が、素敵で、飽きない。
不思議な面白さ
ブツブツぶった切るように話が進み、その話といっても起伏のようなものがほぼない。さらにヨーロッパの映画特有の、何を悩んでいるのかいまいち具体的に伝わってこない感じで、体調によっては爆睡必至なタイプの映画。しかし意外とのめり込んで見ることができた。主人公の心の「病み」自体は勝手にしろよ、と言いたくなる部分もある。そばにいる息子に与える影響を考えると、ヒリヒリといたたまれない。全編、彼の所在なさげな佇まいから目が離せなかった。パリ郊外の町が舞台だが、日本のどこか北の方の地方都市、といっても通るような、ありふれた春先の景色。ロビー・ミュラーが切り取るスタンダードサイズの画面がものすごく良くて、眼福。正直、今作の魅力のかなり大きな部分ではないか。あと脇の人物でお父ちゃんと、俳優のお兄ちゃんが良かった。
全3件を表示


