「貴婦人て何?」パリ、テキサス りかさんの映画レビュー(感想・評価)
貴婦人て何?
息子ハンターが会いたいと願っていた母ジェーンに迎えに来てもらい今後ずっと一緒に暮らせるような終わり方でハッピー•エンドで良かった、
とはなったが。
気になるのは、ハンターの実父トラビスではなく、弟のウォルター&アン夫婦のこと。
約4年前にトラビス&ジェーン夫婦が破綻して、
突然ハリーがやって来たので、今までわが子のように大切に育てて来たのである。
ウォルターは、ハンターにお前の父親はトラビスだ、とずっと言い続けて来たように可愛がりながらも一歩引いている。だが、アンはどうか。
子供がいないアンにとってわが子のように可愛がり大事にして来ていて手離したくないのだ。
また、ウォルターは、やっと兄トラビスの情報を得て直ぐに向かい広大なところから探し当て、
車に乗せ逃げられながらまた連れ戻し、シャワーを浴びさせ買って来た衣類を着せ髭も剃りこざっぱりとさせ、身の回りの世話を焼いている。帰りの飛行機にどうしても不安があると言うトラビスの言い分通り一旦搭乗した機体から降りて2日かけて車で帰って来てもいる。
何と兄思いの弟なんだろうと思った。
当たり前のように自分の家で暮らすよう促し、8mビデオの映像で楽しかった4年前の家族の様子も思い起こさせていた。居なくなったジェーンとの日々が思い出される。
日が経ち落ち着いてハンターとも心通わすようになったトラビスは、ハンターの行く末を考え、アンの情報をもとにジェーンを探そうと決意する。
ウォルターに打ち明け、トラックとカードと現金を借りたりもらったりして出発しようとする。
途中ハンターの学校に寄りハンターに声かけすると、迷うことなく行くと言いついて来る。なぜ、ここでアンに連絡しないのか。止められるとわかっていても、言うべきだった。
ジェーンは若さゆえ夫に耐えきれなくなりハリーを置いていなくなり、トラビスもハンターをほって行く。
この夫婦に振り回された被害者、
息子ハンター、ウォルター&アン夫婦。
ハンターの健気な心がいじらしい、
テキサス州のパリという地名は、トラビス家族が幸せいっぱいの頃に土地を買ったところで、
家族そろった幸せの象徴。