「テキサスにもパリがあるらしい。」パリ、テキサス きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
テキサスにもパリがあるらしい。
南房総の勝浦市も、
北海道の北広島市も同様のいきさつだ。そして
そもそもアメリカ東部の「NEW〜」という地名は、どれもおしなべてヨーロッパからの入植者たちが名付けた、彼らが元いた故郷の名だ。
帰らない故郷を、遥かに乞い想う名前だ。
テキサスには、かつてはフランス領だった時期があるのだ。
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広告看板を作っている弟が、行き倒れの兄を迎えに行って、
二人で失われた四年間と、兄弟として育った生い立ちを、それぞれ記憶を取り戻しながらの、車の旅をする映画。
お邪魔虫の居候が、放浪癖は治るはずもなく、兄は再び弟の家を出る。
その理由も告げずに。
僕には家族に10年を超える行方不明者がいる。
僕は彼の事を探す心と、彼を諦める心。そしてもしも再会が叶ったときの自分の心の持ちようについて
いつも考えている。
年間8万人の捜索願が出される日本。
出ていくまでの本人の心持ちや、その後の双方に流れる空白の時間を考える。
大都会LAで弟が手掛ける「巨大な広告看板」と、
砂漠の空き地に「ポツリと立つ兄の所有地の立て看板」の対比が 印象に残る。
心の拠り所を、遥か遠い街に残して、人は皆、流浪の人生というものをきょうも生きているのかも知れない。
いつか彼はその土地に到達するのだろうか?
いつかそのふるさとに、人は帰れるのだろうか?
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冒頭でバーブラ・ストライサンドの出演作「愛のイエントル」の看板が映ったことと、ジム・ジャームッシュ映画の常連ジョン・ルーリーの顔が見られたことは、少し嬉しかった。
弟夫婦の優しさと戸惑いが本当に素晴らしい。
そして、子役にやられてしまうのは勿論。
一緒には暮らせないのに、ガラス越しや背中合わせならばようやく語り合える男女の悲しさを魅せる。
パルム・ドール受賞 ✨
コメントありがとうございます。
僕もウマシカな長男ですが、兄妹は他人の始まりって良く言ったものです。今年は法事なのですが、めんどくさいですね。
閑話休題
PARISを日本語ではパリって発音しますが、パリスってなんで言わないんですかね。