「とても繊細だけれどもじんわり温かい」パリ、テキサス Qooさんの映画レビュー(感想・評価)
とても繊細だけれどもじんわり温かい
いい映画でしたね。
きっと何回も観たくなる。
荒野を歩き続ける男が何故何のために歩き続け、そして倒れ、そしてだんまり。
不思議極まりなくさっぱり分からないオープニングだが、音楽とトラヴィスなるその男の表情に釘付けになる。
トラヴィスが倒れ運び込まれた病院から連絡を受け、弟のウォルトがはるばる迎えに来るが、記憶が曖昧で、だどたどしいトラヴィスを連れ帰るのに苦労する。
それだってトラヴィスが飛行機を嫌がったから、2日かけてテキサスからロスに車で帰ることになったのだから。
なんだよ、何があってトラヴィスそうなったんだよ
でもやっぱり ストーリーに入り込む。
ウォルトが優しい。そしてアンもすごく優しい。トラヴィスの失踪後、トラヴィスの子供ハンターを我が子のように愛情を注いで育てた2人。7歳のハンターも素直に育ち、ハッキリと覚えていない父親トラヴィスとの再会も、最初こそぎこちなかったが、だんだんと打ち解けていく。
アンから妻の消息について打ち明けられたトラヴィスは、妻のジェーンを探すことに。そしてそれを聞いたハンターも、もちろん行きたい。それまで父親としての記憶も曖昧だったが、行くか行かないかもハンターに決めさせて、家への電話にも責任を持たせるためにハンター自身に電話させる。
トラヴィス自身も父親らしく成長を遂げていっていたのだ。
だが、突然いなくなったハンターを心配するウォルトとアン。ハンターからの電話に、頬に一筋の涙をつたわせながら安否を確認するアンの気持ちが切なすぎた。ついに私まで泪してしまった。
そしてトラヴィスとハンターの、ママを探す旅が始まるのだ。2人の、前からそうだったかのような仲のいい父子のやり取りが、空白の4年間を感じさせない。
そしてとうとうジェーンを探し出すが、そこで何故トラヴィスが、さまよい歩き続ける程に、心が壊れ記憶をなくしてしまったのか露になる。
そしてジェーンもトラヴィスを愛してはいたが、不安定な夫と小さな子供を支えるには若すぎたのだ。
トラヴィス、ジェーン、ウォルト、アン
の演技がすごく良くて、表情だけでものすごくいろんな感情が伝わってきたが、何よりもハンターの純真な演技が響いて素晴らしかった。
コメントありがとうございます。
ロス→ヒューストン、同じアメリカでも陽光の感じは違うみたいですね。
「アイアンクロー」の舞台はダラスと近所。ヒューストンは別な会社でしたが、またプロレス史を思い出してしまいました。