「土地を買ったんだ。テキサス州、パリ。」パリ、テキサス 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
土地を買ったんだ。テキサス州、パリ。
クリックして本文を読む
オールナイト三本のうち、2本目。
この夜の興味はこの映画。なにかにつけ、監督の作品の中で名が挙がるのだから。
パリ、テキサス。フランスのパリとアメリカのテキサス州の話かと思ってたら違ってた。映画の中でもそのくだりがあるのだから、僕がそう勘違いしてたとしてもしょうがあるまい。
ハリー・ディーン・スタントンは「LUCKY」しか知らず、ゆえに老いぼれの爺さんの印象しかなかったけど、なるほど若いころはこんな雰囲気なのかという感慨があった。その、トラヴィスが徐々に父親としての自覚が芽生えていく過程は微笑ましい。そしてたぶん、トラヴィスとジェーンの再会の場は、甘く切ない大人の恋が再燃する感動のシーンなのだろう。あのシチュエーションはちょっと萌える。だけど、ひとつ引っかかる。突然の再会だとしても、それが声だけのやり取りだとしても、何年か一緒に暮らした夫の声に気づかないものなのかということだ。どの男の声からもあなたの声が聞こえる、とまで言っておきながら、すぐにわからないの?と焦れてしまった。かつての会話とはトーンが違っていても、愛していた相手なら一言二言で気づくものではないか、愛が足りないのじゃないか、と。
ハンターを連れ出し、女に預けてしまったあとの、弟夫婦の気持ちはどうなるのか?というもやもや。ハンターとの旅は、ハンターの為を思ってことだとしても、ハンターを献身的に育て上げた弟夫婦に対する配慮としてはいただけない。堅苦しいといわれてもその思いが強い。つまり、監督と僕とでは、なにか感情の置き所が違っているのだろう。
コメントする