劇場公開日 2002年

「【”君はもう、独りじゃない。この世の全てを君に捧げたい”社会的弱者の男女の恋心の機微を抑制したトーンで描いた作品。】」パラダイスの夕暮れ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”君はもう、独りじゃない。この世の全てを君に捧げたい”社会的弱者の男女の恋心の機微を抑制したトーンで描いた作品。】

2023年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■ごみ収集車の運転手のニカンデル(マッティ・ペロンパー)は、スーパーのレジ係の仕事をする怪我の手当てをしてくれたイロナ(カティ・オウティネン)に好意を抱く。
 ニカンデルはイロナをデートに誘うが、巧く行かずギクシャクした空気が流れる。
 ところが、仕事をクビになったイロナがニカンデルのもとを訪れ、彼女と一緒に暮らすことになるが、イロナはスーパーの売上金を入れた小さな金庫を腹いせに盗んでいた。

◆感想

・相変わらずの、アキ・カウリスマキ監督節、全開作である。

・無表情に近い、ごみ収集係のニカンデルとスーパーを首になったイロナとの恋を実に淡々と描いている。

・ニカンデルが、デートに失敗し、自棄になってしまい刑務所に入れられた時に出会った無職の男に、ニカンデルは、突如亡くなってしまった起業を誓った男の代わりに職を与え、男もニカンデルがデートの際にお金を借りに来ても、すんなりと貸してあげる。

<アキ・カウリスマキ監督の弱者の視点から見た、善性溢れる人間の描き方が好きである。
 ニカンデルとイロナの新たなる人生の希望が、仄かに見えるラストが良い作品である。>

NOBU