パラダイスの夕暮れのレビュー・感想・評価
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底辺に生きる人々への光
採点4.2 鬱屈とした毎日の中で出会った、ややこしい男女二人。 その不器用でめんどくさい二人が、ずっとすれ違ってるような物語。 セリフも表情も極端に少なく、その味気ない生活に凄いリアリティに溢れていました。 そこからのいきなりのプロポーズには驚かされましたね。 結局気に入らない毎日を変えるのは、その一歩なんでしょうね。ここら辺にも底辺に生きる人々への光が感じられました。 流れる楽曲も日本の歌謡曲のようで何だか沁みますね。 短い尺にギュッと詰め込まれた、人生の希望を描いた作品でした。
ゴミ収集作業で働く男性、スーパーのレジ打ちの女性。 出会って親しく...
ゴミ収集作業で働く男性、スーパーのレジ打ちの女性。 出会って親しくなりそうなのに、ぎこちなく紆余曲折がある様子。 身分も安定せず、 喜怒哀楽が表情にほぼ現れず、 会話もかみ合わず、 etc. 憎めない可愛らしいお話でした。 街並みや衣装とか、ジャズのBGMなどは、かなりオシャレで、それだけでも楽しい鑑賞でした。
小気味いいリズムで進む希望の物語
アキ・カウリスマキ監督の作品を見たのは今回が初めて。演技に、ためや間がなく余韻もない。短く極めてストレートなセリフとともに、小気味よく話が進んでいく。だんだんとこのリズムが癖になってくる 無表情で愛想もないが、徐々に可笑しさや愛嬌を感じてくるから不思議。どのシーンか忘れたが、ヒロインが微かに笑みを浮かべかけた表情がドキリとするほど美しく見えた。 自分がイメージするフィンランドとは全く異なる情景だったが、素朴に生きる市井の人々に対するエールのような作品に思えた。 … 最後に流れる曲が、演歌のように聞こえてしまったのは、二人の幸せな未来をイメージできなかったからだろうか…
この映画は「枯れ葉」の前編だ
映画を観終わったあと、カタルシスを得た。「救い」と言い直してもよいだろう。世界中の多くの人々が、なぜアキ・カウリスマキの映画を観るのかわかるような気がした。 登場人物の二人は、出てくる音楽や、ジュークボックスでわかるように、60年代風。しかし、SONYの最新のビデオ機器などが出てきて、80年代の中頃を背景にしていると知れる。この映画の二人が人を代えて、2020年代に浮遊したのが、「枯れ葉」ではないか。 主人公の二人、ごみ収集が仕事のニカンデル(マッティ・ペロンパー)とスーパーのレジ係イロナ(カティ・オウティネン)は、そのまま「枯れ葉」の二人、飲んだくれの金属工ホラッパ(ユッシ・バタネン)と、スーパーのレジ係をクビになるアンサ(アルマ・ポウスティ)に引き継がれる。この映画に出てきた音楽の中で、一番気になったのは「ともしび」か。ロシアの曲なのに、まるで日本の歌謡曲のようだった。 少し驚いたのは、ニカンデルの妹が精神を病んでいたこと。ニカンデルが、イロナとせっかくデートに漕ぎ着けても、用意した食事は食べてもらえずビンゴに行ったり、せっかく二人になっても話すことが何もなかったりしたことと、共通するのかも知れないと思った。ただ彼は、正式のレストランには足元を見られて入れてもらえず、バーガーを食べた時も、二人でいるだけで満足そうだった。それに比べ、イロナは奔放。 なぜ、この映画を観て、私たちは救われた気持ちになるのだろう。ニカンデルの最後の誘いに、イロナが応じたからに尽きる。ニカンデルは、心の中の思いと外に出る言葉の間に、また自分と相手との間に、とてつもない距離があるから、彼の心からの思いが相手に伝わった時の喜びは、想像に絶するものがある。たとえ、結果としてうまく行かなかったとしても。ただ、ニカンデルを演ずる俳優は、とても酒が強そうには見えなかったことが気になった。
ヘルシンキの街の片隅で・・・‼️
カウリスマキ監督の恋愛映画の秀作‼️同僚の死に落ち込むゴミ収集車の運転手ニカンデルと、スーパーのレジ係の仕事を突如クビになった女イロナ‼️厳しい現実での二人の恋模様が、淡々と情感込めて描かれる‼️例によってセリフは極端に少なく、主演の二人も感情を表に出さず、無表情に演じていて、そこがまたリアル‼️いきなりニカンデルがプロポーズ、フツーに承諾したイロナと船に乗って新婚旅行に出かけるラストシーンが微笑ましい‼️カウリスマキ監督の演出はフィンランドの底辺に生きる人々への愛に溢れてますね‼️
フィンランドの男もつらいよ
アキ・カウリスマキが山田洋次と違うのは、主人公への共感だ。 山田洋次は、寅さんのことをこんな迷惑な男にも一分のいいところがある、と冷静に冷徹に描くが、アキ・カウリスマキは、これはオレだ、と描く。 愛想がなくて、良いところは悪いところないところ、女を喜ばせることなどできない、でも喜ばせたいとは思ってる、という、オレを最大限の共感で描き切る。 彼女が突然会いに来て嬉しい、約束を破って来なくて寂しい、それを無表情だけどしっかり伝わる演技で伝えきる。 観ていると、オレたちは1人じゃない、と思えてしまう。 彼女が来なくてつらい、そのときの顔をきたらもうキュートすぎてたまらないよ!
1986年はソ連の時代。 1994年までソ連軍がまだいた。 そこへ...
1986年はソ連の時代。
1994年までソ連軍がまだいた。
そこへ行く。
さて、この先?
パラダイスを離れ本当のパラダイス♥へ向かう。?
【”君はもう、独りじゃない。この世の全てを君に捧げたい”社会的弱者の男女の恋心の機微を抑制したトーンで描いた作品。】
■ごみ収集車の運転手のニカンデル(マッティ・ペロンパー)は、スーパーのレジ係の仕事をする怪我の手当てをしてくれたイロナ(カティ・オウティネン)に好意を抱く。 ニカンデルはイロナをデートに誘うが、巧く行かずギクシャクした空気が流れる。 ところが、仕事をクビになったイロナがニカンデルのもとを訪れ、彼女と一緒に暮らすことになるが、イロナはスーパーの売上金を入れた小さな金庫を腹いせに盗んでいた。 ◆感想 ・相変わらずの、アキ・カウリスマキ監督節、全開作である。 ・無表情に近い、ごみ収集係のニカンデルとスーパーを首になったイロナとの恋を実に淡々と描いている。 ・ニカンデルが、デートに失敗し、自棄になってしまい刑務所に入れられた時に出会った無職の男に、ニカンデルは、突如亡くなってしまった起業を誓った男の代わりに職を与え、男もニカンデルがデートの際にお金を借りに来ても、すんなりと貸してあげる。 <アキ・カウリスマキ監督の弱者の視点から見た、善性溢れる人間の描き方が好きである。 ニカンデルとイロナの新たなる人生の希望が、仄かに見えるラストが良い作品である。>
不器用ですから、、、
淡々と控え目にシュールな世界観が広がり、無機質に感じる全体的な雰囲気と無表情で無感情に思える男女の恋愛物語、ハッピーエンドのようで危うい余韻を残しながら不思議と微笑ましく映る二人、この先も離れたり戻ったりを繰り返す関係性を想像しながら。 周りの連中も感情を露わにすることはなく全ての生活や事柄を淡々とこなしている印象、口数も少なく不器用に思える生き方から相手を思いやり思われる人間関係が自然発生的に。 仄々として優しさに包まれているようでシビアな方向性を叩き付けながら、何処かしら共感や感情移入が出来るアキ・カウリスマキの世界にハマってしまう心地良さ。
その後の作品群を思わせる作品
街のあかり、過去のない男などの作品群が好きな人は必見の映画 結構原点で頂点に近いかもしれないね 職を得たり失ったりしながら生きていく現代の人を描いてる 時間が短くコンパクトにまとまった物語といえるかも しかし時代かみんなスパスパよくタバコを吸うなぁ アキ監督らしい普通の人々が主人公の映画 私は少しジャームッシュのストレンジャーザンパラダイスみたいなノリを感じた 時代かなぁ? 生きていたのにリアルタイムで知れなかったことが残念
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