今でこそ二人がコミュニケーションを取る手段には事欠かないと思いますが、会うか電話するかくらいしか方法がなかった当時は、文字だけとはいえ、周囲を気にすることなくコミュニケーションができるパソコン通信は、画期的な通信メディアであったことは、間違いありません。
(パソコン通信はしりの当時は、スマホはおろかガラケーも普及していなかった時代。電話といえば、家族のが共用する、いわゆる黒電話(600型電話機)が、まだ一家に一台だったりした頃。)
そんな中で、少しずつお互いを知り合っていくホシとハルの様子が、ほんわかと心に温かい一本だったと思います評論子は。
そして、走る新幹線の中から、ほんの一瞬だけ「出会う」二人…。
胸にジーンと来たのは、果たして評論子だけだったのでしょうか。
佳作であったと思います。
(追記)
いまは、彼(彼女)の電番をスマホのディスプレイでタップすれば、何ということはなく電話が繋がって話ができますが…。
上記のような評論子の世代では、まだ学校にいるうちから「今日の何時に」と約束しておいて、その時間にかけると、首尾良く彼女が受話器を取ってくれる…。
そんな感じでした。
たまたま彼女の家族が先に受話器を取ってしまったしすると…。
母親が取ったときは「はいはい、娘ですね。少し待ってくださいね」と平和なのですが、間違って父親が取ったりすると「オレの娘に何の用だ?悪い虫がついたか?」みたいな感じで、バツの悪い思いをしたりします。
その困難が、二人の気持ちを育んでいたと考えるのは、単なる評論子の思い過ごしでしょうか。