野良犬のレビュー・感想・評価
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貴重な歴史的資料&黒澤センス溢れる良作
当時の闇市を隠し撮りしたという荒技により
映画では再現出来ない生の当時の人々の生活
風俗が見事に映し出されており、これだけでも
一見の価値ありです。
村上刑事が街中を歩き回るシーンは
人々の服装や表情、動き、お店の看板など
見ているだけでも飽きません。
まだまだ戦後の混沌としたエネルギーの
満ち満ちた世界で、女性が歩きながら
果物をかじったり、アイスキャンデーを舐める姿は
清々しくもエロスに溢れています。
また実際の巨人対南海(ジャイアンツ対ホークス)
戦での川上選手らの姿も貴重。
ベテラン勢の芸達者ぶりと三船敏郎の若さ溢れた
勢いと繊細かつ大胆な演技プランが絶妙。
若手の女優は今ひとつの所はありますが、
当時の女性の今と全く違うスタイルに
戦後の日本がいかに急成長を遂げたか、
食生活の変化が体型までも大きく変えた
事がよく分かります。
とてもよかった
舞台は浅草が多かったのだろうか、当時の繁華街がエネルギッシュでよかった。球場もよかった。5万人もの観衆が集まっていた。まだ戦後の爪痕が生々しい時期が写っている。以前に見たときは闇市の印象があったのだが、特に闇市はなく、喫茶店や劇場など復興の勢いがみなぎる場所が多かった。そんな情景がだらだら描かれているところが楽しかった。
犯人の桶屋の家、凄まじい荒れようで壁がない。そんな家に子沢山。それに比べて志村喬の家はちゃんとしてて子供が三人並んで寝ていて幸せそうだった。彼は警官だからおそらく戦争にも行ってないのだろう。そんなところに引け目があるのかなと思ったが気にしている描写はなかった。
ホテル、電話、高円寺のアパート、雨、ドレス、階段、犯人、ホテルの経営者と従業員の愛人、などが目まぐるしく交錯するクライマックスがスリリングで素晴らしい。
ダラダラ感
ちょっと中途半端な感じ…
プーチンが心配する復員兵によるロシア国内の混乱への想像も…
多分、今は無き銀座並木座で
初めての観た記憶の作品だが、
TV放映を機に何十年ぶりかで鑑賞した。
キネマ旬報ベストテンでは、小津・今井正
作品に次ぐ第3位に選出。
さて、この作品、
よしず越しに太陽が覗くシーンは、
後の「羅生門」の描写への発展過程の映像と
思われて興味深かかったものの、
正直なところ、前半は主人公が復員兵姿で
ピストル屋を探して街を歩き回るシーンを
中心に少し冗長さを感じた。
しかし、後半は、特に、
雷雨とレコードの音を重ねることにより、
電話が行き違いになるシーン以降の
緊迫感溢れる黒澤映像には大変魅了された。
ところで、盛り場や闇市のシーンは
セットかも知れないが、
一方、全く車の通らない未舗装の幅広い道路
の郊外の住宅街等々、
戦後間もない日本の風景には目を見張り、
映画も社会の記録媒体の一翼
であるかのようにも。
面白かったのは、社会の問題として
犯罪者に理解を示すのが新人刑事で、
多数の犠牲者を生む犯罪者は捕まえなくては
ならないと割り切るベテラン刑事という、
刑事の世界だからか、
キャリア差で生じる意識としては
普通とは逆のように感じる設定の印象も。
この作品は、復員兵により混乱する
社会的側面にも触れているように思えたが、
現在のウクライナ侵攻に伴う復員兵による
社会混乱をプーチン大統領は心配している
との報道もあり、
そんな想像も膨らむ鑑賞となった。
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