ネットワークのレビュー・感想・評価
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現代から見ればまだまだ可愛い時代だった
アメリカの巨大TVネットワークによる視聴率競争、報道モラルの崩壊、TV番組の低俗化などとともに、株式会社の利潤追求の矛盾と場当たり経営、オイルマネーによる企業買収による弊害などを描いています。
当時のアカデミー賞を4部門で獲っただけあって、それなりに面白い映画だけれど、TVがメディアの専制君主の座から転落した現代から見れば、まだまだ可愛い時代だったと思いました。
今、webを主舞台にしたメディアの状況は、当時を拡大再生産するに留まらず、社会の隅々まで情報操作が蔓延っている訳だから。
ある意味、時代劇を観ているような感覚を覚えました。
ある意味、予言的な映画
前にNHK -BSで「ネットワーク」が放映されており最後の方だけ観ておりました。あの問題のラストシーンでキワモノ映画かと思いきや、
今回、映画館で観て割とシリアスな内容だと理解しました。監督は社会派と呼ばれる
シドニー・ルメット・・・
70年代以前は社会派と呼ばれる実話を元にした映画が結構あったような気がします。
とりあえず暗い・・・同監督の「質屋」😨、
何も解決しない「セルピコ」😓、
「狼たちの午後」は出口なし・・・😱
元々ルメット監督はTV畑出身でその業界を知り尽くしてるはずで脚本家の方もTVで長らく活躍してた人。その2人がタッグを組んだ本作はTV業界の問題点を露わにしている。
視聴率至上主義にあけくれる日々なのに、
ゆるい現場。自分の保身にしか興味のない
上層部。テロリストとも契約書を交わす倫理観の欠如、大株主には逆らえない空気。
これてTV業界だけの話でなく今も、
どこの企業が抱えている問題ですよね。
ピーター・フィンチ演ずるキャスターのハワードが視聴者を煽動(せんどう)する様は
今のドナルド・トランプ旋風と重なるものが
あります。
セリフには感心したけれど……
テレビ報道のあり方と企業による利益追求の相反を風刺したドタバタ劇ではあるが、時代が変わり、手軽さと拡散力でテレビに取って代わったインターネットが人類の意志を撹乱しているという現実…
午前十時の映画祭14にて。
これを名作と言ってよいかどうかは疑問だが、当時としてはセンセーショナルな内容だっただろう。
この映画の公開時、テレビの情報番組で紹介者が〝ネットワーク〟の言葉の意味からはじめてアメリカテレビの3大ネットワークについて説明をしていたのを憶えている。
そんな時代だった。当時私は中学生。
ドナルド・トランプか立花孝志か、、、ハワード・ビール(ピーター・フィンチ)は過激な言葉とパフォーマンスで民衆を扇動する。
あんなもので誘導されてしまうほど人はバカじゃないと思ってはいけない。今年(2024年)の米大統領選や兵庫県知事選の結果が物語っている。
(トランプ次期大統領と立花氏を同一扱いしているわけではないので、誤解なきよう)
とはいえ、ハワード・ビールというキャラクターは常軌を逸した極端な設定で、このような狂気の沙汰を全米ネットでの視聴率競争に明け暮れるメジャー放送局なら生み出しかねないという、皮肉のファンタジーである。
全米ネットワークの一角である架空のテレビ局UBS。
エンターテイメント部門のプロデューサーであるダイアナ・クリステンセン(フェイ・ダナウェイ)は、視聴率のためなら危険な題材を扱うことも厭わず、〝怒れる預言者〟ビールを作り上げていく。
ビールの扱いをめぐって経営と揉めていた報道部門の責任者マックス・シューマッカー(ウィリアム・ホールデン)は、報道部門にも利益を追求する経営方針と対立し、コングロマリットのトップを批難して解雇される。
マックスとダイアナが不倫関係に陥るのは唐突すぎて理解に苦しむが、この関係がないとマックスが報道のショー化に苦言を呈する場がないから、必要なんだろう。
マックスがダイアナとの関係を妻(ベアトリス・ストレイト)に告白して夫婦関係が崩壊すると同時に、物語は不穏な方向に展開していく。
そして、驚愕の“あり得へん”結末が訪れる。
監督のシドニー・ルメットは本作を「風刺ではない、ルポルタージュだ」と言っている。
彼は前年に公開された『狼たちの午後』(’75)でも、テレビ報道に映し出された犯人を見た民衆が熱狂していく様子をドキュメンタリータッチで描いていた。
視聴率競争に躍起になるテレビ局において、この映画のような行き過ぎは起きていない(放送倫理、放送コードで多少は規制が利いている)が、情報化社会は目覚ましい発展を遂げ、当時最大の情報源だったテレビは〝オールドメディア〟となった。
放送倫理に制御されず個社・個人の倫理感に委ねられるインターネット(SNS)に溢れる情報は、真偽不明なだけでなく時には悪意や極端な思想に基づいた過激論調が人々の興味を引くこととなった。
この映画が見せる情報に踊らされる民衆の姿は、現代の刺激的な情報を鵜呑みにして拡散してしまう人々を予見したものかもしれない。
ピーター・フィンチとフェイ・ダナウェイはアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の両方で主演男優・女優賞を受賞した。
ウィリアム・ホールデンから不倫の事実を告白された妻役のベアトリス・ストレイトは、不貞の夫を責めつつ、夫を長年支えてきた主婦の存在意義を訴える1シーンだけでアカデミー賞助演女優賞を受賞した。
約50年前の作品とは思えないほどストーリー・映像共に古さを感じない、現代にも通じるTV業界の闇を徹底的に描ききった衝撃作
午前十時の映画祭14で鑑賞
最大の見どころは本作でアカデミー賞 主演女優賞を受賞したTV局の新鋭プロデューサー・ダイアナを演じるフェイ・ダナウェイさんの演技、とにかく視聴率アップだけを追求し成功のためなら何でもする、という人でなしでなかなかのクズ女をめっちゃくちゃエネルギッシュに演じています、見た目がすごく綺麗な上に野獣のような目つきがとても恐ろしかった(苦笑)
そして同じくアカデミー賞 主演男優賞を受賞したピーター・フィンチさん、落ち目のニュースキャスター・ハワードがさらにどんどん堕ちていき、しまいにゃオンエアまで使って世論を巻き込み狂気の世界に蝕まれ暴走していく様を見事に演じています
尚、フィンチさんは残念ですがオスカーノミネーション直後に心不全で亡くなり死後の受賞だったとのこと
そんなハワードを使って勢いを増すダイアナ達 TV局内の新興勢力の愚行がエスカレートしとんでもない方向に転がり、衝撃のラストに向かっていくストーリー展開がとても秀逸で素晴らしい、グイグイ引き込まれ、あっという間で見応え満点の有意義な2時間でした
これを半世紀前に撮りきっているシドニー・ルメット監督はじめ関係者の手腕に脱帽です
現代にも警鐘を鳴らすシドニー・ルメット監督の力作!
午前十時の映画祭で鑑賞。
つい最近見た「チャイナタウン」に引き続き、偶然だがこの映画にもフェイ・ダナウェイが出演。
社会派シドニー・ルメット監督が視聴率至上主義のテレビ業界を痛烈に皮肉った問題作。
上映前後に町山智浩氏の解説映像があり、当時の時代背景やテレビ業界の裏側にいる株主のことなど、映画理解にとても役立ちました。
テロリストに犯行ビデオを撮らせるとか視聴率さえ取れれば何をやってもいいのかという問題は、現代ではネットやSNSと置き換えるとそのまま共通する問題だと思いました。
いいねや再生回数を稼ぐのに必死な人々。都合の悪い真実は隠され、フェイクニュースに振り回される人々。カリスマの言うことは盲目的に信じ熱狂する人々。
映画のラストはブラックジョークだと思いますが、今の時代は当時よりも人々の倫理観が薄れてると感じられるだけに笑えない怖さがありました。
古い映画ですが、社会問題の本質を鋭く問いかける視点は全く古さを感じさせず、シドニー・ルメット監督らしい力作だと思います。
精神を病んでいくニュースキャスターのハワード・ビールを演じたピーター・フィンチはアカデミー主演男優賞受賞も納得の大熱演だったと思います。
同じく主演女優賞受賞のフェイ・ダナウェイは仕事でも私生活でも全く倫理観のかけらもない人物ダイアナを好演しておりました。
個人的には役柄に一番共感できたマックス役のウィリアム・ホールデンがとても渋くて良い味を出してるなあと思いました。
ハイテンション演技
午前十時の映画祭、シドニー・ルメット監督作「ネットワーク」
ニュースキャスター役のピーター・フィンチがアカデミー賞ノミネート後に急死したのもあり、主演男優賞ピーター・フィンチを始め、主演女優賞フェイ・ダナウェイ、助演女優賞ベアトリス・ストレイト(この人は2シーンしか出演せずアカデミー史上最短出演時間の記録を)と演技賞ほぼ独占する作品らしい(お陰で同年作のタクシードライバーのデ・ニーロは受賞ならず!)
配信、ソフト化されていないこともあり劇場で初鑑賞したが、上記3名に加えロバート・デュバル、ウィリアム・ホールデンの名優並びに会長役のネッド・ビューティーのハイテンション長台詞、軒並み出演者陣、皆「半沢直樹」状態!
話がどんどん大きくなり、出演陣どんどんテンションが上がり、ラストは…
しかし、この頃のフェイ・ダナウェイ、ジュリアン・ムーアを若くして色気百倍にしたくらい、セツクスアピールが半端ない!(相変わらずの細眉!)
そりゃぁ、浮◯して家庭を◯てようと…オワリ!
シドニー・ルメット。最後まで人間の良心を信じた映画監督。
シドニー・ルメットといえば、私にとって最高の作品は、映画監督としてのキャリアの最初となる1957年の「十二人の怒れる男」である。TVドラマのリメイクであり筋の面白さはルメットの功績ではないが全編に人間の良心を信じるヒューマニズムの精神が貫かれている。心洗われる傑作である。
さて約20年後にルメットが撮った本作。ベトナム戦争は終わり、ウォーターゲート事件が起こり、国内の人権闘争も先が見越せないそんな時代。アメリカにおける民主主義に陰りが見えてきていた。本作は、そんな時代に、強力に世論をコントロールしているTVネットワークの実態と限界を見事に暴いてみせた。
この作品で印象的なのは声。ピーター・フィンチ演ずるハワードがスタジオで、舞台で語るスタンドアップも説得力はあるが、TV局の親会社の会長であるアーサー(ネッド・ビーティ)が会議室でハワードに話しかけるシーンがなんとも悪魔的で凄まじい迫力がある。この男によれば国家も民主主義も既に滅んでおり、人類を支配するのは多国籍企業による資本の論理である。実に正確な預言なのである。
この映画は、脚本のパディ・チャイエフスキーのMGMへの持ち込み企画である。すなわちルメットは雇われ監督であり、そのせいか、映画の筋としてはルメットらしくはない。ただルメットの分身ともいえる登場人物が一人いてそれがウィリアム・ホールデン演じるマックスである。彼は筋とは直接関係はしない。しかし主人公であるハワードやフェイ・ダナウェイ演ずるダイアナの周辺にいて自身で間違いも犯すが最後には良心に基づく行動をとる。ルックスや経歴も古い時代のTV人でありルメット自身を反映していると言えるだろう。こういった人物造形に私自身はルメットのヒューマニズムへの揺るぎない信奉を見取るのである。
前から観たかったシドニー・ルメット監督の名作。テレビがメディアの頂...
前から観たかったシドニー・ルメット監督の名作。テレビがメディアの頂点だった時代の話だが、現代社会にも通ずる根深いテーマ。名優たちの演技のぶつかり合いがすごい。特に『ジョーカー』など後の映画に影響を与えたというキレっぷりのピーター・フィンチ、仕事に陶酔し怒涛の早口長台詞を披露したフェイ・ダナウェイ、僅か5分40秒の出演でインパクトを残したベアトリス・ストレイトは、それぞれアカデミー賞主演男優賞(受賞前に亡くなった)、主演女優賞、助演女優賞(出演時間歴代最短)を受賞。仕事と私生活に翻弄されるウィリアム・ホールデンや、助演男優賞ノミネートのネッド・ビーティ(『トイストーリー3』のロッツォの声!)も豹変ぶりが面白かった。パディ・チャイエフスキーの脚本賞と合わせ4部門受賞。
演技バトルが凄まじい
50年前の評判作を初見。当時マスメディアの中心的存在となったテレビネットワークを舞台に、視聴率競争に翻弄される業界人たちの姿を描く。
冷静に考えれば、さすがにそこまで酷いことはないだろうという物語展開だが、シドニー・ルメットのソリッドで緩みない演出で、あり得るかもしれない説得力ある話として引き込まれる。主人公2人の恋愛要素も相当無理があるが、そこはハリウッド映画らしいところか。
とにかく、俳優陣の演技バトルが凄まじい。アカデミー主演賞をとったフェイ・ダナウェイとピーター・フィンチは、長台詞をものともせず、鬼気迫る勢い。出番は少ないものの、ウィリアム・ホールデンの妻役と親会社の会長役も上手いなと思って、後から調べると、2人ともアカデミー助演賞にノミネートされた(妻役のベアトリス・ストレイトは受賞)とのこと。
預言者のようになったテレビキャスターの呼びかけに応じて、視聴者が次々と外に向かって「もう我慢できない」と叫ぶシーンが印象的。今だったらSNSになるのだろう。メディアが変わっても、扇動の具になり得ることを改めて考えさせられる。
視聴率が全て
日本人は偽りに飽きている
I'm as mad as hell, and I'm not going to take this anymore!
午前十時の映画祭にて鑑賞。
高校生の頃にレンタルビデオで鑑賞して以来、40年近くぶりなので内容は勿論うろ覚え。
名作映画は頭の中を上映された時代まで戻すという作法に則り鑑賞。
でないと古さや既視感(こっちが先なんだけど)で正当な評価ができず楽しめなくなるので。
この映画は脚本家のパディ・チャイエフスキー抜きには語れない。
映画会社との交渉やキャストの選抜にも動き、脚本通りに演出しているか確認のためずっと現場にも立ち合うなど徹底的なこだわりを見せ、彼の作品と言われているそう。
時代は70年代中盤のアメリカ。
ベトナム戦争やウォーターゲート事件等で殺伐とした時代の大手放送ネットワークが舞台。
落ち目のニュース番組のアンカーだったハワードを預言者にし、ハイテンションで世の中に怒りをぶちまけさせる過激な内容のエンタメ番組として視聴率を荒稼ぎするが・・・というお話。
犯罪者へのインタビューや会社の舞台裏を赤裸々に明かすなどでニュースをエンタメ化することは当時としては極端な描き方をした笑えないブラックコメディだったが、現在では毎日目にする当たり前のテレビ演出となっており、未来の予言書のような映画へと昇華。
ウイリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、ロバート・デュバルなどの名優に加え、ぶっ飛んだ演技で強烈なインパクトを残したピーター・フィンチ、たった5分の出演でアカデミー助演女優賞を獲得したベアトリス・ストレイトなど俳優たちの気持ちの入った演技を観れるのも良い。
個人的には再会できてホントに良かったと思えた映画でした。
ポンポン
テレビ報道の熾烈な視聴率競争に巻き込まれる人々の波乱、業界の内幕 ピーター・フィンチ、フェイ・ダナウェイの演技が見事!
テレビ報道の熾烈な視聴率競争に巻き込まれる人々の波乱の内幕を描く。
出演が、フェイ・ダナウェイ、ウィリアム・ホールデン、ロバート・デュヴァル、監督が、シドニー・ルメットという豪華な布陣。
低視聴率から降板が決まったニュース・キャスターが、放映中にカメラの前で自殺予告を発表。
その様子はそのまま生放送される。
てっきり、自殺を敢行するかと思いきや、今度はある夜に聞いた「声」のメッセージを視聴者にテレビで訴える。
今すぐ、窓を開けて叫ぼう!
「私は怒ってる!もう耐えられない!」と!
すると、近所の窓から多くの人々が次々に叫び出す。
このシーンが凄い!
感動した!
確かに演じるピーター・フィンチが、アカデミー主演男優賞をとったのもわかる。
アカデミーの主演男女優賞って、わかりやすい熱演がとりがち。
また、ラブ・シーンですらテレビの話しかしない、主演女優賞のフェイ・ダナウェイも見事。
視聴率のためには殺人すら辞さない、誰一人止めようとしない結末が、衝撃的だ。
「これは試聴率の低下のために死んだ「最初の男」の物語」という皮肉なナレーションが効いている。
余談ですが、今回は町山さんの解説付き上映。
町山さんは好きですし、解説は面白くてためになるんですけれど、今回は解説が上映の前後にあって、なるべく情報無しで観たい私としては、上映前にあらすじ(ネットにもある、ほんのさわり程度ではあるんですが、)は聞きたくなかった。
上映前では逃げようがなくて困った。
次回からは耳をふさぐようにします。
ポスト・フィクション
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