ネイバーズ(1981)のレビュー・感想・評価
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希少な体のベルーシ
ベルーシとエイクロイドがいるなら、はちゃめちゃをやるのはベルーシであり、まじめな幕下となるのがエイクロイド──のはずである。エイクロイドが単独ならば、エイクロイドは堅も柔も演じるが、コンビ的にふたりいるなら位相は決まっている。
──はずなんだが、この映画では逆になっている。
個人的によく憶えている映画だが、ロッキーのアビルドセン監督なのに、地味でテンションが下がりっぱなしの笑いで、おそらく興行も評価も失敗している。(と思われる。)
わたしは昔VHSのレンタルで見て、なぜかとても気に入って、ダビングして繰り返し見た。ことを憶えている。
上述のごとく、ここでははちゃめちゃなのがエイクロイドで、ベルーシは真人間のサラリーマンなのだが、口数のすくない堅物な男をベルーシが演ると、いつもの(SNLやアニマルハウスなどの)ベルーシらしくなくて、妙にジワる──のである。
「おかしな隣人もの」というハリウッド映画のいちジャンルがある──と思う。
タイトルは同じなものの(おそらく)まったく関係がないが、セスローゲンとザックエフロンのネイバーズ1・2や、ゲームナイトやカジノハウスなど、隣人を巻き込んで(あるいは巻き込まれて)はちゃめちゃをやる映画は、ひとかどの需要をもっている──はずである。たぶんそれをはじめて認識した映画だった。わたしの中ではカルトである。
ところで、ここに出てくるエイクロイドの妻が、Cathy Moriartyという女優で、妖艶な魅力があり、お堅い(設定の)ベルーシを幻惑する──のだが、その当時Cathy Moriartyは「珍しいVamp型」と評されていた──のを憶えている。
昔かじった知識だがVampは、すごく古いハリウッドの呼称で、吸血鬼(Vampire)からのもじりで、男を誘惑し食い物にするタイプの女優に冠されるあだ名だった。
要はセックスシンボルなわけだが、ありがたい呼び名──というわけでもなく、蓮っ葉な気配のある、スラッティーで、B級な女優がVampと呼ばれた。イギリスのDiana Dorsみたいな感じの女優が合致する──と思う。
とうぜんVampは知的ではない感じが望ましいため、近代になって消えてしまった。(おそらく70年代には既に無かった。)
つまり、ある程度のおバカ気配がありセクシーな女性──となれば、近現代のコンプライアンスに批准しないのであり、消滅せざるを得ないキャラクターだった──わけである。逆に言えばとても希少な存在だったわけで、だからこそ「珍しいVamp型」と呼ばれたのだが、それもあって、わたしはネイバーズのベルーシとエイクロイドとCathy Moriartyを、わりと鮮明に記憶している。のです。
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