「眼帯ヘビがキメるぜ!」ニューヨーク1997 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
眼帯ヘビがキメるぜ!
近未来1997年!
…時代は25年も過ぎ、劇中のような“監獄ニューヨーク”にはならず。
某国の軍事侵攻は現実だが…。
ジョン・カーペンター監督1981年の作品。
アメリカの犯罪率が上がり、NYマンハッタン島が丸々凶悪犯専用の“巨大刑務所島”に。大統領専用機がテロリストにハイジャックされ、同島に墜落。大統領が囚われてしまう。政府は、収監予定だった元特殊部隊の男スネークに大統領救出を命じる…。
この時すでに代表作『ハロウィン』を大ヒットさせ、“その筋”では人気監督になっていたカーペンター。手腕を存分に発揮。
これぞ王道B級活劇!
無法地帯、ビジュアル立ってる悪党ども、そしてクールな主人公…。
近未来NYを舞台に、カーペンターが『マッドマックス2』路線を狙った…?(奇しくも両作共、1981年作)
いや寧ろ、その後の作品にも影響。見てたら、『新感染半島 ファイナル・ステージ』はゾンビだが、舞台設定なんか非常にクリソツと思った。
この手のジャンルの立派な名作!
カート・ラッセルの当たり役、片目眼帯の漢スネークがやはりカッコいい。クールでニヒル。THEアウトロー!
たった一人で乗り込む。…って言うか、たった一人!? 援護部隊とかナシなの!?
一応、現地に協力者。アーネスト・ボーグナイン演じるタクシー運転手はナイスキャラ。が、ハリー・ディーン・スタントン演じるブレインは100%信用出来ない。
アイザック・ヘイズ演じるNYを牛耳るボス、デュークは拉致した大統領を射撃の的にする鬼畜!
が、本当の鬼畜はリー・ヴァン・クリーフ演じる警察本部長かもしれない。
スネークに大統領救出を課した張本人で、スネークの身体に超小型爆弾チップを仕込む。タイムリミットは24時間…。
もし、過ぎれば…。
スネークの方がまともに見えるくらい。「戻ってきたらお前を殺す」…スネークがそう言うのも無理はない。
銃撃戦や肉弾戦。
囚人観衆が盛り上がる中、リングの上でザ○ギ○フみたいな奴とデスバトル。
何とか大統領を救出。が、それで任務終了ではない。ブリッジを超え脱出するまで仕込まれた爆弾のカウントダウンは続く。もう目前…!
命の危機と敵襲撃。
低予算故、時々所々チープではあるが、アクションの見せ場はふんだんに。
一種の“限定空間アクション”として、カーペンターの隠れた傑作の一つ『要塞警察』をも彷彿。
名曲と誉れ高いカーペンター自身が手掛けるシンセ音楽もクール!
脱出成功。任務を終えたスネークは大統領に問う。
あなたを救出する為に死んでいった者に対し、どう思うか…?
尊い犠牲だ、と大統領。
民主国のトップの言葉ではない。独裁者の言葉だ。
演じるはドナルド・プレザンスだもの、一癖はあるわな…。
警察本部長に大統領…こんな偽善者奴らの為に、犠牲になった者がいて、自分も血を流した。
死と隣り合わせで何の為に闘ったのか…? 殺す元気も無い。
が、殺しはしなくとも、重要な“ある物”をもみくちゃに。
吸っていた煙草を投げ捨てると等しく。
最後の最後にキメたぜ、スネーク!