「近未来アクションの古典、名作」ニューヨーク1997 LSさんの映画レビュー(感想・評価)
近未来アクションの古典、名作
大昔、近所の大学の学園祭でかかっていたのをたまたま見て、かっこよさに打たれた。その後テレビやレンタルでは何度も観るも、劇場で観るのは初めてだったが、素晴らしかった。
今では短めな99分でストーリーも見せ場もぎっしり詰まっている。スネークはもちろんだが、ホーク所長の有能さ、抜け目のなさもよい。常に都合のいい場所に現れるアーネスト・ボーグナイン(好き)のタクシーを除けば、話の流れに違和感を感じる暇もなく引っ張られる。
特に世界観がいい(自分の制服治安機関への嗜好はこの作品のUSPFと「未知との遭遇」の米軍とで形成されたと思える。「スターシップ・トルーパーズ」も好みだが戯画化され過ぎか)。「島へ渡りたくない者はこの場での処刑・火葬を選択できる」とのアナウンスに痺れる。島内の退廃感、ビザールさは今見るとむしろおとなしめだが、昔のすさんだ都市スラムの延長線上という感じでよく作られている。塀の中と外、どちらもディストピア感に溢れている。
戦時下の政府が警察国家で、大統領拉致を計画したのが極左革命組織とか、スネークが従軍で名誉勲章を二度も受けながら銀行を襲って逮捕というのは、ポスト・ベトナムの時代背景を反映しているのだろう。
気づいたのは、今までラストシーンは世界を救うことなどどうでもよいとのスネークのニヒリズムだと思っていたのだが、考えてみると、テープは核融合(字幕では核の共有となっていたが、nuclear fusionの実現でエネルギーをめぐる世界の対立を解決するという意味か)に関わる理論や技術データそのものではなく、科学者?が説明する音声の録音に過ぎないので、あくまで、自分を救助する過程で死んだ者たちを省みない大統領に一泡ふかせて一矢報いた、ということなのかと。スネーク、意外に常識人だな。