「故郷との関係を断つ必要性はあったのか」ニュー・シネマ・パラダイス 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
故郷との関係を断つ必要性はあったのか
父親代わりのアルフレードが、サルヴァトーレに村を出て故郷との関係を断つよう勧めたのも、彼女と別れた方がいいと考えたのも、全てはサルヴァトーレの仕事における成功を真剣に考えてのことだという意図は分かる。しかし、そこまで徹底しなければいけない理由についての説明が不足していて、説得力に欠ける。故郷の人々との関係の継続と、仕事における成功は両立できるものだろう。また、本気の熱愛に発展する恋人を見つけるのは珍しいだろうし、実際サルヴァトーレも彼女のことを想い続けていた。そのような相手との関係を断ってまで仕事に打ち込むことは、人生の充実感の喪失につながり、幸せから遠のくと思う。それでも故郷とのつながりを断った方がいいと思わせるような、説得力のある説明が聞きたかった。
しかし、全体的には温かみのある良い映画だった。狭い映画館でみんなでワイワイと映画を観るのは気が散りそうだと思った。だが、それが細かいことを気にしない、社会全体の他者への寛容さや距離の近さの表れであって、今作全体の温かさに寄与しているように感じた。
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りかさんのコメント
2024年11月2日
共感ありがとうございます😊
なるほどおっしゃる通りですね。彼女との別れは、お互いの気持ちの変化もあるので何とも言えませんが、30年も故郷から離れる、
必要性は、背水の陣の気持ちととっていましたが、母親にも会わないというのもおかしいですね。でも仕送りはしていたのでしょうね。家が新しく改築されて、
でも、見にも来なくて。なるほど。