劇場公開日 1989年12月16日

「私のナンバーワン映画」ニュー・シネマ・パラダイス かいくんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0私のナンバーワン映画

2024年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

幼いころに父母や年上の人の言動から影響を受け、その後の人格の形成や将来の生き方を左右するに至るほどの強い感情や悟りを得ることがある。そういう貴重な経験は年齢を重ねてもずっと覚えているもので、良し悪しにつけその人の財産である。

シチリア島の片田舎に住む小学生のトトは感受性が豊かで、戦争に赴いて帰ってこない夫を待つ母と小さな妹との3人の貧しい生活を送っている。トトは無類の映画好きで、村に唯一ある映画館に行くことが楽しみで小遣いを貯めては頻繁に映画館に足を運んでいた。映画館には近所に住むアルフレッドというおじさんが映写技師として働いていた。映画好きなトトは邪魔だから来るなというアルフレッドを上手くあしらいながら映写室に忍び込んでは交流を重ね、次第に仲良しになっていく。幼かったトトは少年から青年と成長するなかで映画を通してアルフレッドから.人生とは何かを学んでいく。トトが独り立ちを決心して故郷シチリアから離れる際にもう帰ってくるな、ただお前が成功したといううわさを聞きたいと告げてアルフレッドは突き放す。年月が経ち映画監督として成功者となったトトのもとにアルフレッドの訃報が届く。

私が20歳代の遠い昔の頃、きっちりとスーツを着込み、仕事中に飛び込んだ新宿の映画館。
良い映画とは知っていたが、観る機会がなくリバイバル上映の際、時間つぶしのつもりで・・・。
始まりから涙・・。嗚咽が漏れ、最初は恥ずかしかったが、号泣しても全く気にならなくなり、見終わった後は泣きすぎて頭が痛いくらい。

映画全体が感傷と郷愁、映画への愛情が描かれていてノスタルジーでいっぱい。私事ではあるが自分を可愛がってくれた叔父とだぶり、また号泣。
アルフレッドとトトの絆と数々の会話、別離の場面でトトを見送るアルフレッドの言葉と態度、成功者として帰省し、葬式で交わした昔の知人らとトト、そして最高に有名なラストのシーン。全てに涙。・・・そう、完璧なラストシーンと涙を誘うBGM。

作曲家のエンニオ・モリコーネは残念だが昨年逝去してしまったが2004年に来日した東京フォーラムで彼が指揮したコンサートへは行くことができたのは幸運。この映画のテーマ曲の演奏ではまたまた涙が・・・。私のナンバーワンの映画です。

かいくん