「【"Kiss Kiss Kiss the Movie!"映画を通して成長するトト少年の姿を、数多くの映画を愛する人々の姿を絡ませて描き出した作品。映画を大スクリーンで観る時間は、何物にも変え難い。】」ニュー・シネマ・パラダイス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"Kiss Kiss Kiss the Movie!"映画を通して成長するトト少年の姿を、数多くの映画を愛する人々の姿を絡ませて描き出した作品。映画を大スクリーンで観る時間は、何物にも変え難い。】
ー これだけの名作であるので、久方ぶりに鑑賞した感想を簡潔に記す。
但し一部、ネタバレになっています。-
・シチリアの小さな村。少年・トトは、母の目を盗んで、村唯一の娯楽である映画館・パラダイス座に通い詰めて映写技師・アルフレードと交流を深めて行くシーンの数々。
そして、教会を兼用した映画館に集う人々。映画館は常に満席であり、人々は映画を見て笑い、涙し、司祭によりカットされたキスシーンが観れなくて、憤慨する。
ー 何度観ても良い。
トトが牛乳を買うお金を映画に使ってしまい、母親に叱られるも、アルフレードが機転を利かせて、トトを助けるシーン。
トトの母親もそれを分かりつつ、お礼を言う。
アルフレードの善性と、トトの映画大好きな事が見事に描かれたシーンである。
そして、司祭によりカットされたキスシーン。
伊丹十三のエッセイで、日本でも戦時下、統制により恋人同士のベッドシーンの台詞が”お兄様と久しぶりに寝るわ・・。”と勝手に変えられていたという逸話を思い出す。ー
・1950年代まで、映画のフィルムは可燃性であった。今作でも上映中、映画館に入れない人達のためにアルフレードが、向かいの家の壁に映画を映してあげるシーンで、火災が起こってしまう。
ー けれど、映画館は”ニュー・シネマ・パラダイス”という名で復興され、トトが映写技師として働く。だが、そこにアルフレードがやって来て、火災のために盲目になりながらも一緒に働く、まるで目が見えているかのように・・。映画愛だなあ・・。-
・青年になったトトが、美少女エレナと恋に落ちるシーンも良い。
ー 告解室で、トトがエレナに言った言葉。そして、二人のキスシーンはカットされる事無く、この映画内で何度も、映し出される。ー
・トトに、アルフレードが”若くて、未来があるのだからこの村を出てローマに行け。帰って来てはイケナイ”と諭すシーン。
ー ローマで、トトは映画監督として成功し、アルフレードが亡くなったという連絡を母から受け、30年振りに故郷へ戻る。
久しぶりの故郷の輝くようだった映画館は、TVの普及により解体が決まっていた。
現況下も、似たような状況になっているが、私は映画館特にミニシアターは無くならないと信じている。
TVは、かつての様な面白さを失い、一部のドラマを除いて、グルメ番組やゴシップニュースを流す番組が多くなっているという・・。(私は、TVは殆ど見ないので、伝聞です・・。)
何故なら、客電が落ちた漆黒の闇の中、映画を大スクリーンで観る時間は、何物にも変え難いモノだと思っているからである。ー
<ラスト、トトが会社の試写室で観た、アルフレードが遺した且つてカットしたキスシーンを繋ぎ合わせたフィルムを涙を浮かべて観るシーンは、何度観ても心に沁みるのである。
これは、私の勝手な解釈であるが、亡きアルフレードが天国から、
”もう大人だから、観ても良いよ、トト・・。”と言っているように、私には見えるのである。>
<2013年5月の気候の良き頃 今は無き映画館にて鑑賞>
<その後、様々な媒体で再鑑賞>