「変わり続ける」ニュー・シネマ・パラダイス きのこさんの映画レビュー(感想・評価)
変わり続ける
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とても美しい映画でした。
「一度村を出たら、長い年月帰るな。
年月を経て帰郷すれば、友達や懐かしい土地に再会できる。
人生はお前が見た映画とは違う。
人生はもっと困難なものだ。行け。ローマへ戻れ。」
アルフレードのこの言葉の意味が最初はイマイチわかりませんでした。
でも映画見終わって考えて、なんとなく自分なりに解釈できました。
トトは帰ってきて、変わり果てた街を見て「何も変わってなかった」と言います。
アルフレードは「ここにいると自分が世界の中心だと思っちまう」と言っていて、きっと村に居続けると置いていかれるんやろうな〜と思いました。
世界は変わり続ける。でも、村にいて、自分が世界の中心だと思ったままやと、自分は変われない。世界だけが変わって自分は取り残される。
外に出て、思い出にすがるのではなく、世界とともに自分も変わり続けることができれば、思い出は思い出のまま綺麗に残り続けるんじゃないかなと思いました。
閉館して、ボロボロになったニューシネマパラダイスの中を見ながらトトが昔を思い出すシーンでそう感じました。
見た目は変わっても、思い出はその中に残り続けてる。自分がその思い出の中に取り残されずに、歩み続けていれば振り返ることができる。そう思いました。
映画にしか興味がなかったトトが、映画より恋愛に夢中になることも、名誉を手に入れて大人になることも。変わることってやっぱり何かを失うことでもあって、寂しいけれど、変わることは悪いことではないんだって思わせてくれました。
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