劇場公開日 1989年12月16日

「郷愁と共に謳い上げる人世讃歌。間違いなく名作です。」ニュー・シネマ・パラダイス Marikoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0郷愁と共に謳い上げる人世讃歌。間違いなく名作です。

2020年6月1日
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ほぼ全ての映画館が再オープンした今、名作のリバイバル上映で久しぶりに観てあらためて感動した。

1989年のイタリア映画の名作。当時映画館で確か続けて2回観て、映画雑誌スクリーンに感想を送ったほど感動した記憶が。

その後ビデオでも何度か観て、ご無沙汰してました。
やっぱり大画面はいいですね〜

古き良き映写機の時代。舞台はシチリア島。
映写技師アルフレッドに弟子入りしたいたずらっ子トトの物語。
2人は親子のような関係を結ぶも、時の流れとともに街も変わり、戦争もあり、人も変わり、恋に敗れ、若き青年の旅立ちの時がやってくる。
「故郷を振り返るな。手紙も送るな。おまえはローマで大きくなれ。羽ばたけ」と突き放して送り出すアルフレッド。

何度も観たはずなのに、動き出す列車から見るアルフレッドの背中がどんどん小さくなり、涙で霞む。
昔よりも、映画の中身をより味わえている自分がいました。軽い驚きでした。
それだけ私も経験や年を重ねたということ。

この映画でも、そう。

ローマで出世して30年ぶりに帰郷したトトと同じ目線で眺める故郷の町、懐かしい人々。
すっかり古びた廃墟の映画館。

時の流れには誰も抗えない。
必ず年老いて、死んでいく。

短い一生の中で、精一杯生きること。
愛をみつけること。
『自分のすることを愛せ』と
遺言のようなアルフレッドの言葉と共に、
トトに遺した形見のフィルムの映像は、涙なしでは観られません。
どんな思いでこのフィルムを繋いだのか…

シチリアの、名もなき映写技師の人生は平凡ですが、トトの人生にどれほどの影響を与えたことか。
人とは、小さくも大きなものですね。

映画愛と人生愛が溢れている、素晴らしい映画。
音楽も大好きです。心にジーンと染み入ります。

Mariko
Marikoさんのコメント
2020年6月4日

きりんさん、ほんとですね!
嬉しいです!

Mariko
きりんさんのコメント
2020年6月3日

映画館再開を受けて、真っ先にこのフイルムをかけてくれた映画館の皆さんの心意気に、僕もじーんとなりますよ。
😢

きりん