劇場公開日 1989年12月16日

「トトのラストの表情の意味 〜 あのとき自分が選んだ人生」ニュー・シネマ・パラダイス ヤスさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0トトのラストの表情の意味 〜 あのとき自分が選んだ人生

2019年9月1日
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鑑賞方法:映画館

アルフレードの形見のフィルムが上映されるラストシーンで、トトは何を思っているのか?午前10時の映画祭の映画館上映を鑑賞した後、一日中考えてしまいました。

幸せそうな表情には見えたのですが、幸せなのはアルフレードの愛を感じたからなのか・・・いや、それだけではないのだろうなと考えるようになってきました。

アルフレードの死の連絡を受ける前のトトは、決して幸せだとは思えません。30年を経てどうやら偉くなってはいるものの、故郷に帰ってから過去にエレナを撮影したフィルムを観るシーンからは未練が感じられ、常に異なる女性と関係を持つものの愛のある伴侶には巡り会えていないようですから。

・・・この様々な女性と関係を持つトトの人生って、キスシーンが連続する形見のフィルムみたいですね。そして、そのフィルムを欲しいと申し出たのは、幼少期のトト自身でした。

もしかしたら、良いことも良くないこともあるトトの人生を選んだのはトト自身であるということを、少年時代の回想と形見のフィルムからトトは思い起こせたのではないかと思います。

つまり、トトをラストシーンで癒したものは、あのとき自分が選んだ人生だったのだという納得感なのだと、今、私は考えています。しかも、この人生の選択は、「子供の時、映写室を愛したように」といわれるように心からの愛が起点にある選択です。ですから、それを思い出しさえすれば、幸せな人生だと思うのです。

誰の人生にも良いことと良くないことが共存していると思うのですが、それは過去に自分が心から好きで何かを選択した結果なのだということを思い出せれば、癒されるように思いました。

(そして、さっきから私自身の人生を思い出し始めています。)

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エンニオモリコーネの音楽、良いですね。「お前の話は聞きたくない。お前の噂が聞きたい。」という言葉にもグッときました。帰郷後に取り壊し間近の映画館を目にするシーンでは泣きました。私が観たのは約2時間の短縮版なのですが、約3時間の完全版があるそうですね。いつかそちらも観てみたいです。

ヤス