「おまえの噂が聞きたい」ニュー・シネマ・パラダイス ユージーンさんの映画レビュー(感想・評価)
おまえの噂が聞きたい
クリックして本文を読む
夢も希望もなにもない町で、唯一の娯楽である映画に魅了された少年、トトと、映写技師であるアルフレードの、親子のような友情が胸にしみる今作。
学がなく、映写技師になるほかに道のなかったアルフレードの、トトに対する、親心のようなものに、心打たれました。
彼は、自分と同じ映写技師となったトトに、強く、厳しく、町を出るよう促します。それは、彼が、トトの抱く夢に気づいていたからでしょうし、また、自分と同じような、孤独で退屈な仕事をするだけの人生を歩んでほしくない、という気持ちもあったからに違いありません。
「俺はおまえに会いたくない。おまえの噂が聞きたい」というセリフが、なんとも父親らしく、心に遺りました。
映画のラストで、アルフレードがトトに遺した遺品。
ただの茶目っ気たっぷりな洒落た贈り物、というだけでなく、もしかしたら、彼もまた、トトと同じ夢を抱いていたのかもしれないと思うと、よりいっそう、彼を愛おしく感じました。
コメントする