劇場公開日 2018年10月19日

「猿から人へ、そして神へ」2001年宇宙の旅 ノリック007さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0猿から人へ、そして神へ

2022年11月2日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

原題は「2001: A Space Odyssey」で、木星探査用宇宙船ディスカバリー1号のデヴィッド・ボーマン船長のことです。
邦題は「2001年宇宙の旅」です。
「Odyssey」は、映画「トロイ」に登場するイタケーの王で、アキレスの親友で、トロイ戦争に参加し、トロイの木馬の作戦を立案し、実行し、勝利し、故郷イタケーを目指して帰途につきますが、嵐に会い、迷い、キュクロープスの島にたどり着き、1つ目の巨人キュクロープスたちによって洞窟に閉じ込められ、1つ目の巨人キュクロープスを倒し、キュクロープスの島を逃げ出し、長い苦難の果てに、故郷のイタケーに戻る王です。
邦題より原題の方がより的確に映画を表しているので、原題の方が良いです。

解釈を鑑賞する人に委ねるというSF映画です。
理解するのには、努力と苦労が必要です。

有名なSF映画だからという理由だけで、友人、カップル、夫婦、親子で鑑賞しても理解できず、説明もできずに困ることになりそうな映画です。
一人で鑑賞し、理解できずに、理解できるまで調べるというのが良いです。
機会があれば、大きなスクリーンで鑑賞した方が良いです。

スタンリー・キューブリック監督が分かりにくい映画にして、分からない未来を演出しています。
原作となるアーサー・C・クラーク著「決定版 2001年宇宙の旅」も発売されていますし、「2001年宇宙の旅 解説」で検索すれば解説や解説動画があるので、読んだり見たりするのが良いでしょう。
町山智浩さんも「2001年宇宙の旅 予習編」と「2001年宇宙の旅 復習編」という動画を公開しているので、映画「2001年宇宙の旅」を理解したい人は参考にすると良いでしょう。
どの解説も正解とも間違いとも決められません。
スタンリー・キューブリック監督が、何通りにも解釈できるように映画を製作した気がします。
自分なりの映画「2001年宇宙の旅」に対する解釈を行うことがこの映画の良い鑑賞方法です。

この映画には映画「2010年」という続編映画も公開されています。
この映画をもっと理解したい人は映画「2010年」を鑑賞するのも良いです。

ストーリーは、時間軸を変えることで、インパクトを与えたり、あえて分かりにくくしているので、分かりにくいです。
登場人物は、少なくブレることはないので、理解しやすいです。
HAL 9000コンピューターは、何を考えているのかは理解できませんが、HAL 9000コンピューターについて考えてみました。

ペットの犬や猫が、飼い主等の人間としか接することがないと、犬や猫が人間だと勘違いしているのではと感じることがあります。
1992年1月12日に生まれたHAL 9000コンピューターは、2001年までの間、人間としか接することがないので、HAL 9000コンピューターが人間だと勘違いして、人間より完璧であるという自我らしいものが生まれています。

HAL 9000コンピューターは、重要な極秘任務を漏洩することはないので、信用されて、木星探査に関する重要な極秘任務を伝えられています。
船長などの人間は、重要な極秘任務を漏洩する可能性があるので、信用されず、木星探査に関する重要な極秘任務を伝えられていません。
HAL 9000コンピューターは、船長などの人間には木星探査に関する重要な極秘任務を伝えていないこと、船長などの人間とは木星探査に関する重要な極秘任務について話をしてはいけない理由、木星宙域に達したら重要な極秘任務を伝えることは伝えられていません。
HAL 9000コンピューターは、木星宙域に接近し、重要な極秘任務を遂行するときが近づき、重要な極秘任務を遂行するためには、木星探査に関する重要な極秘任務について知らない船長などの人間を排除するべきだと決断し、実行したということです。
木星探査宇宙船ディスカバリー1号のHAL 9000コンピューターと地球にある双生HAL 9000コンピューターが違う答えを出したのも同じで、木星探査宇宙船ディスカバリー1号のHAL 9000コンピューターは、木星探査に関する重要な極秘任務を知っていましたが、地球にある双生HAL 9000コンピューターは、木星探査に関する重要な極秘任務を知らなかったから、違う答えを出したということです。

人間のミスは、船長などの人間を信用せずに、HAL 9000コンピューターだけを信用したことです。

科学的には神の存在は否定されていますが、人間が進化し、叡智を持ちますが、肉体を持つことなく、永遠に生き続けるという神を再定義しているような結末です。

月や木星まで行きたいとは思いませんが、宇宙から地球を眺めてみたいです。

ノリック007