「殺されずに生き残った類人猿」2001年宇宙の旅 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
殺されずに生き残った類人猿
35年ぶりの再鑑賞。
人類の夜明け。
類人猿たち集団が水場で抗争をしている。
ある日、一方の集団が突如として現れた黒石板(モノリス)を発見。
その集団の一匹が、白骨化した動物の骨を握りしめ、それを道具として使い出し、水場で敵対集団の一匹をその骨で殴り殺す。
そして、その骨を空中に放り投げる・・・
といったところから始まる物語は有名なので、いまさら書くこともないのだけれど、とにかく「難解」という言葉がこの映画にはついて回っています。
で、改めて見直して、自分なりに解釈すると・・・
類人猿→人類→スターチャイルドという進化絵巻であることは間違いない。
が、何によって進化するのかが重要。
モノリスを発見した類人猿は、骨を道具とすることを発見し、それが進化をもたらした・・・と思っていたのだけれど、少々違和感を感じました。
「道具を得て進化する」ということならば、月で発見されたモノリスは、人類に何をもたらしたのか?
空中に放り投げられた骨が、宇宙空間を飛ぶスペースシャトルのカットに繋げられているので、骨→スペースシャトルという道具の進化のようにみえるけれど、本当のところは、スペースシャトル船内に漂うペンに繋がっているように思えます。
物理的な道具=骨、理論的な道具=ペン、そして理論的道具として最高峰のコンピュータ。
ただし、道具の進化にモノリスは関わっていない・・・
となると、モノリスが関わっているのは何か?
ディスカバリー号での木星探索な過程で、コンピュータHALが叛乱を起こす、とこれまで思っていたが、叛乱ではなく予め計画された行動ではなかったのか?
と、考えると、コンピュータ=道具であり、これは、道具を使って、人を殺すハナシだけなのではないか・・・そう行き着いた。
人殺しの度に人類は進化するが、進化するのは殺した方ではなく、殺されずに生き残った方(ボウマン船長はHALに殺されずに生き残り、時空間を超え、スターチャイルドとして生まれ変わる)。
進化を促す「人殺し」の度にモノリスは出現し、生き残った方が進化する・・・そう解釈するのは、いかがなものでしょうかしらん。