2001年宇宙の旅のレビュー・感想・評価
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洗練された無機質と隠し切れない感情。
◯作品全体
モノリスや宇宙船とその内装、そしてHAL。複雑な機能や能力を持ちながらシンプルな形や色合いをしていて、着飾っていない「無機質」が公開されて60年近くたった今でも色褪せずに近未来を映し出す。FIXの多いカメラワークもその無機質さにより一層磨きをかけていて、自分たちと同じ人類が過ごす景色でありながら、全く別の世界として感じられた。宇宙船の航行を映すシーンは、暗闇と宇宙船、たまに星が映る程度のシンプルな構成の画面だが、そのスケール感が素晴らしい。影の落とし方やカメラ位置によるものだろうか、広大な宇宙空間を巨大な宇宙船が進んでいく様子が記録映像と見まがうほどに存在の説得力に満ちていた。そしてその説得力は、宇宙船が黙々と進んでいく様から感じる「無機質さ」の表現でもあった。
木星探査へ向かうクルーの表情も「無機質さ」の演出に一役買っている。月でモノリスを発見する第1章ではフロイド博士が楽しそうに娘とビデオ通話するシーンがあるが、第2章でボーマンが家族からのビデオレターを見るシーンではほとんど表情を変えない。後者は通話ではないから、という理由もあるだろうが、二人の表情や声のトーンに大きな差異があり、ボーマンの無機質さを強調しているように感じた。さらに突出したシーンとしてはHALの暴走に対抗するボーマンのシーンだろう。同僚を宇宙へ放り出され、自らも作業船から動けなくなってしまったときのボーマンの表情はあまりにも無表情で、怒っている表情を見せるよりも恐ろしく感じた。
ボーマンの無表情のカット以外にも、無機質の裏に強い感情が存在する。一番印象に残ったのはHALの暴走シーンだ。HALが船員を突き放すとき、赤い光を映す。ポン寄りでその光にカメラが寄っていくだけだが、HALの負の感情が強く降り注ぐような気がした。乱れた感情を映すのであればいろいろと手段はあるように思う。作業船のアームを勢いよく振り下ろしたりして動的なカットで演出するのはショッキングなシーンの常套手段だ。本作ではただHALの象徴のように赤く光るランプだけを映す。それだけなのにその裏にある憎悪が感じ取れるのは、ここまで無機質な画面に意味を積み重ねてきた本作だからこそ、繊細に感じ取れるのだと思う。
ラストシーンではボーマンが自らの肉体から解放され、イメージのような赤子の姿で地球を見つめる。人間の進化や宇宙にいる未知の生命体、というようなSF要素を強く感じるラストだ。ただ、個人的には無機質であれど、肉体から離れるのであれど、核にあるのは精神なのだというキューブリックの情感に溢れたラストだと感じた。
〇カメラワークとか
・無重力を演出するシーンは確かに凄いんだけど、すごいのを見せつけられてる感が強い。カメラワークのカラクリみたいなのは動画サイトで飽和してしまっているからか、2024年に見ると1カットが長すぎる気がした。これはそういうのに慣れてしまっている自分がなんとなく悪い気がする。
・月面に着陸する宇宙船のカットはすごかった。直線的な影、宇宙の黒と宇宙船の白のコントラスト、吸い込むように開く月面基地の大きな入り口。BGMも使わずにあそこまで息を呑む画面を作れるのが凄い。
・異次元を表現するイメージ演出もどっちが上か下か、そもそも上や下の概念があるのかわからなくなるような感覚が良かった。良かったけど後半に色だけ変えた陸地のカットがあって、そこは元がなんなのかわかりやすくて気持ちが下がった。
〇その他
・原始的なサルの世界から始まるのはタイトルから全く想像ができなくて面白かった。不安とか怒りをそのまま表情に出している姿は中盤以降の無機質さと対比的でもあった。
・サルが骨を使ってマンモス(?)の頭蓋骨をたたき割るカットも印象的。原始的な世界からの脱却を表す演出。
・終盤で異次元を見るボーマンの表情は少し『恐怖と欲望』で発狂する新米兵士っぽい感じがした。キューブリックは狂った表情を作らせるのが巧いなあと思う。異常であることはすぐに気付けるけど、やりすぎと感じる一歩手前、みたいな表情。
ゴリラとニーチェ
この作品が1968年につくられたのが驚き。
宇宙船とかリアルでめちゃくちゃすごい。
ただ最初のゴリラは人間だし、砂漠にいるならあんなに毛深くはないだろう。あと宇宙船内のシーンでは、無重力であるべきなんだけど、普通に歩いているし、逆に無重力を表現するような歩き方が馬鹿っぽくてちょっと集中できなかった。
これは制作年における映像表現の限界であるし、そこを批判してもどうにもならないのだが。
最後ボーマンが幼児になるのは、ニーチェの「超人=幼児」を表現しているのだろう。「幼児は無垢であり、忘却である。新たな開始であり、遊戯である。自分自身で回転する車輪、始原の運動、聖なる肯定」(ニーチェ1973、39)
なにはともあれSF映画の古典だろうし、みれてよかった。
One of the Best Films Ever--I've Seen Many Films
A triptych story across the ages, with a kaleidoscope epilogue that falls off the edge of the universe. Supercomputer HAL presents a dual villain who is working to survive like everybody else. We don't know if somebody programmed him to be that way or... Also what is the monolith's motive? The film's philosophy is an optimistic conclusion to the beast of monkey to man. Infinitely stones unturned.
SFの完成形
10年前に見て意味がわからなくて、最近になって同監督のフルメタル・ジャケットに感動したので、再視聴したがやはり意味不明だった
Wikiの原作情報(映画放映後に完成された)を見てやっとおおよその内容が理解できた
1968年の作品と思えない凄まじい出来で、高次存在からの接触、AIの反乱、宇宙旅行etc…多くの示唆に富んでいる
この時点でSFはほぼ完成されていたのだと思える
ただ、猿人の描写の拙さ(50年前の映画なので多少は目を瞑るとしても何故アフリカにバクがいるのか)、最後の宇宙ワープの長さ(もはや斬新さは無いので長過ぎた)
加えてモノリスの啓示とHALの反乱の話は関連しているが独立の話であることが気になった
そのため少し減点
凄い
タイトルからして穏やかな作品内容を想像していた。
でも違った。やはりスタンリー・キューブリック作品だった。
なんとも壮大な内容。
彩色豊かな映像美。
シンプルでスタイリッシュな未来が描かれ、ストーリー中盤はホラー並みの恐怖。
1968年公開の
2001年が舞台の作品を
2024年に見るこの贅沢さ
あの頃、こんなに凄い映画が作られたんですね。リスペクトです。
現代SFの祖
モノリスの存在、HAL9000の反乱、宇宙の一部になった船長、
メカの造形などなど、1968年当時にこれだけのSF作品がつくられ上映されていることに
あらためて驚きをかくせません。
子どものときに観ていたら、きっと最後まで観ていられなかったと思います。
ある程度、映画の楽しみ方がわかってきた今だからこそ観てよかったです。
いったいどれだけの作品が本作に影響を受けているのか、、、ほとんどかもしれないと感じました、
そのくらい1968年作という古さや歴史を感じさせず新鮮味を失わない作品だと思います。
リアルタイムで観た方はきっと衝撃的だったでしょうね。
今の映画作品でこれほどのインパクトのあるものは観たことがありませんが、
そのような作品に出会えることを楽しみにしていたいと思います。
不屈の名作に触れる喜び
今作の特筆すべきは構図と配色。古いのに斬新。さすがキューブリック作品である。
序盤の猿人達は、いかにも中に人が入っているような動きで愛せる。
幽霊の歌声のような怖いBGMは、あの黒い板モノリスが発信している何かを描写しているのか、人類の進化とモノリスの関係など、いろいろ不思議で面白い。
空に投げた骨の映像から舞台は宇宙になる。
手塚治虫が描くような未来的なデザインは目の保養。
2024年現在は当たり前に使っているテレビ電話も登場。
18ヶ月後、博士たちと人工知能HALのやりとりは先が読めなくて目が離せない。
そのあとに木星付近で起こることも凄い。
人類進化論と、真空の宇宙、それらがあたかも本当であるかのように感じる映画であった。
余談ですが、自宅でAmazonプライムビデオの字幕版をテレビにて視聴しました。
冒頭で真っ暗なままなので何らかのトラブルかと思いましたが演出でした。
途中で冒頭と同じように真っ暗になる時間があり、その時にテレビが黒い板モノリスに見えてテレビ画面に触りだした家族に驚きました。なんて純粋な人なのだとそっちに感動しながら、なんとなく私も一緒にテレビに触ったのは本当の話です。
まあ、そうゆう楽しみ方も出来る作品でした。
個人的な感想です
難解なこの映画。後に、答えを求め読んだアーサークラークの原作には、ある程度のメッセージが込められたラストが描かれていましたので書かせていただきました。
モーセが神から受け取った2枚の石板を表しているかのような(これは個人の感想です)、2枚の石板モノリスによって導かれるように落ちてゆくボーマン船長。
彼は、さまざまな宇宙をめぐり、再び目覚めた時、「スターチャイルド=地球を意のままにできる汚れなき存在」として地球を見下ろしています。(余談ですが、最初のヒトザルには「ムーンウォッチャー=月を見る者」という名前がついています)
原作の最後の一節には、
「(彼は)手遅れになる前に戻ったのだ…今や、地球は彼の意のままだが(彼はまず地球の軌道上に浮かぶ兵器を、意思を送り出すことで破壊します。)…そして人間たちが考えるような歴史は終わりを告げるのだ…」とあります。
最後の一節は、何を意味するものなのでしょうか。
勝手ながら私には、もう一冊この映画に関して取り上げたい本があります。それは、ニーチェの「ツァラトゥストラ(ゾロアスター)はかく語りき」という本です。
この映画には2つのクラシック音楽が使われています。冒頭のシーンで流れる「ツァラトゥストラはかく語りき」と後半の「美しく青きドナウ」です。
「ツァラトゥストラはかく語りき」という曲は、この本からインスピレーションを受けて作られた曲です。キューブリックがこの曲を使ったのも、ただ単に曲が映像と合っていたというだけでなく、私には何かメッセージがあると感じられるのです。
この本にはこんなことが書かれています。
『かつて貴方がたは猿であった。だが、今もなお人間は、いかなる猿よりも猿である…』
『わたしはあなたがたに超人(人を超える存在)を教えよう。超人は大地の意義なのだ。わたしはあなたがたに切望する。大地(あるがままの自然)に忠実であれ、そして大地を超えた希望などを説く者に信用を置くな…』
『いまや人間みずから目標を定める時がきた。人間がその希望の芽を植え付けるべき時が来た。いまの土壌はまだ十分豊かである。しかしこの土壌もいつかそのうち貧しく瘠せるであろう。そして高い木はもはやそこから成長することはできなくなるであろう…』と。(後半、石板の記述もちょっとですが出てきます。)
「自然が一番上にあり、汚してはいけないもの」と考えると、人間はどんな生き物よりも下の階層にいるのかもしれません。(人間が考える価値観は、全く逆なのかもしれません)
現代の映画を見慣れた方なら「CGを駆使すれば、難なく出来る映像だ」と思われるかもしれません。ですがこの作品は、アポロ11号の月面着陸以前の作品であり、日本でもまだそう少なくない人が白黒テレビを見ていた時代の作品です。そしてこの作品をみれば、10年程もあとの「STAR WARS」以降のSF映画にも多大な影響を与えたことがわかると思います。
「美しく青きドナウ」の表現する地球の青さ、美しさ。それがよく見てみると、人間の欲望やエゴにより汚されていく現状。膨大な量の有害物質を排出し宇宙に飛んだ宇宙飛行士の「地球は青かった」発言。
人類(とりわけ子供たち)の「夢」に見せかけておいて、その奥にある宇宙技術軍事転用の茶番。それによって実現した核の直接攻撃の脅し。地球が滅亡した時のための火星や月への移住計画。(我々はこの地球の重力でしか生きられないのに、この地球を楽園にしなければいけないのに)
そして 、今も繰り返される対立と殺戮。
冷戦時代、それを感じたキューブリックは、モーセが神から十戒を記した2枚の石板を受け取った時と同じように、現代の十戒を、私たちに映像を通して残したのではと思うのです。
そして人類は、滅亡するその時までに、猿を超えることができるのでしょうか...
えらそうな視点で長々すみません!読んでいただきありがとうございました。
今更、見るべき作品
たくさんの映画を観てきたが、不朽の名作と称される本作は観ぬまま大人になってしまった。
という謎の負い目を感じやっと観たが、今さら観て大正解だったと思う。
目まぐるしいテクノロジーの発展、それを凌駕する人ならざるものの存在。
おそらく映画を一番観ていた学生時代には理解出来なかった。
技術的には古いものの、本作が放つメッセージはまさに不朽。
なんでも倍速・要約の今の時代とは違った時間の流れを感じられる宇宙の旅だった。
0013 50年前の映画とは思えない
1968年公開
さんざんぱら評論を聞いたので観た気になっていたが
製作50周年記念アンレストア版70ミリで初鑑賞。
IMAXに負けない画質に驚いた。
あらすじがある程度わかっているので物語もすんなり
頭に入っていったが、当時の公開ではモノリスが何か
赤ん坊が何を意味しているのかなどはさっぱり理解
できなかったと推測する。
モノリスも資料によると人知を超えたものとして
表現するには壮大な試行錯誤があった模様。
しかし名監督としてキューブリックが
あがめられたのは説明をしなかったためであろうか?
キューブリック曰くモナ・リザの絵がすごいのは何故
笑っているのかをダビンチが説明しなかったからだ、
とも。
そういった神秘的なものもふくめて50年後も
鑑賞に耐えうる名作です。
90点
2018年10月29日 東宝シネマズ二条
人類は進化途上の生命体であるという話
感想
演出・脚本共に◎
撮影は完璧なアングルと描写。現在の科学水準より高尚な未来世界観を構築している。各美術設定デザインはこれ以上はこれからも考えられない程の高度なレべル。宇宙空間を意識して存分に感じられる映像は他に類を見ない。
IMAX鑑賞
2024.11追記・改編
【人類の夜明け】
荒凉とした大地に人類の祖先は自分たちを衛る術さえ儘ならず、その日1日をただ生き延びるために必死に踠いていた。昼も夜も常に生命の危機と隣り合わせのうちに過ごす。思考はなく、本能だけでただ毎日を生き抜いていく。この瞬間瞬間にいつ滅亡し終焉を迎えても進化上おかしくない生命体。それが人類であった。
夜は野獣の雄叫びに怯え、いつ襲われるかわからない恐怖が彼らの気持を支配して、眠りに落ちる事は無かった。彼らの頭上には月や星空が広がる。身体を寄せ合い、眠気を堪えながら、その宇宙(そら)を見上げるだけの生き物であった。
【進化】
ある日、宇宙をみるもの達の目前にそれは突然現れた。未知なるものを見た恐怖と戦慄の意識が、生き物達を激しく襲う。しかし、暫くすると恐怖は好奇心に変化し、石柱そのものに触ていく者が現れたのだ。その瞬間ー人類を見つめるように建ちそびえる
その石柱状の何か。
モノリスは月を背に、確かにそこに建っていた。
空腹を我慢して佇む人類。目前に散らばる骨片を見つめる。首を傾げに骨を手に取り軽く叩く。しばらくしてさらに叩く。付近の骨は砕け散る。砕け散る骨と同時に討たれた動物が倒れるー。
道具を使用し、動物を捕食する人類。人類が進化を遂げた瞬間がそこにあった。道具を使用する事で進化が倍加速度的に進んでいく。さらに、生存の要となる水を求め、諍い起こした末に、人類史上初めてとなる殺人をも経験。様々な経験が頭脳をさらに進化させて人類の形態進化と後々の繁栄を地球上では決定的なものとしていく。手にした骨を空高く投げ放つ人類。
空を舞う骨にシンクロするように宇宙空間に漂う人工物が飛来。
【人類の宇宙進出】
現れれたのは航空会社のエンブレムをつけた旅客用のスペースシャトルであった。地球を間近に望む軌道上の宇宙空間には重力を創り出すために自転する建設途上の巨大な宇宙ステーションがある。シャトルは同調回転しながらステーションの中心にあるポートへ入っていく。シャトルの客室に1人の人間が座っている。
彼は宇宙ステーションで月面基地にいくシャトルに乗り換える。旅は続き、3日程かけて月面基地に到着する。乗客の名はヘイウッド・フロイド。極秘裏の事項として月面で発見された石柱を調査する委員会に参加するために旅をしている。
2001年、月面で発見された石柱状の何かー。
進化した人類は月でモノリスを発見する。様々な国が月面探査に参加していたが、アメリカ合衆国のクラビウス基地が基地内での伝染病蔓延の情報を流布し、外部から基地内への人流をロックアウトしている。進化途上の人類代表としてフロイドはモノリスとの遭遇を果たす。調査報告に目を通して説明を聞くフロイド。モノリスは明らかに何者かによって意図的に400万年前に埋められたものであるという。発見された場所から、ティコクレーター磁気変異体1(TMA1)と名付けられた場所に降り立つ。その場にあるモノリスに触れ、記念撮影をするためモノリスの前に並んだ瞬間、強力な電波が発せられる。
【木星への旅】
それから18ヶ月後、人類は強力な電波が発せられた月から8億㎞離れた木星への有人飛行計画を実施する。5人のクルーと最新型AIであるHAL9000システムを搭載したディスカバリー1が宇宙を木星に向けて進んでいく。クルーの5人の内、3人は木星到着後のミッションに関わるため、コールドスリープを実施中。生命維持管理はHALシステムが行う。ディスカバリー1に搭載されているHALは自身の事を「私」、「ひとりの」など人称で表現。「人類との信頼関係は強固で確固たるものである事を疑わない。人工知能として誤りは創造されてから今まで一度もない。簡明無欠」と人類に対して発言する。
【人工知能の叛乱】
ある日、HALがボーマンに話しかける。
HAL「ひとつ疑問を個人的な質問してもいいか?
今回のミッションについて疑問がないか。自分に
は疑問が拭い去れない腑に落ちない点がある。」
HAL「あなたもそう思うでしょう。」
ボーマン「それは難しい質問だ」
HAL「この話をしても良いか?」
ボーマンが了承すると、
HAL「出発する前から妙な噂が流れていた。
月で何かを掘り出した。とか。私は信じなかっ
たが、一連の出来事と照らしあわせるとー私の
理性では否定が困難に(なる)。当計画の準備は
極秘におこなわれたし、ハンター博士、キンボ
ール、カミンスキーの3人には特殊な訓練をさ
せた上に、最初から人工冬眠状態で乗船させる
など。」
「クルーの精神状態分析か?」
HAL「当然です。馬鹿げているとは思います」
HAL「お待ちください。お待ち下さい。AE35
ユニットが不調です。72時間以内に完全故障し
ます」
「故障までにまだ時間があるんだな。」
HAL「そうです」
72時間以内に船外活動をしてAE35ユニットを交換ることに決まり、ボーマンがPodで船外へ出る。(漆黒の宇宙空間。ボーマンの呼吸音のみが宇宙空間のヘルメット内だけで聞こえる)アンテナ部へ宇宙遊泳をして到達、代替ユニットを交換。故障しているユニットを精密に調査する2人。しかし、このユニットに故障をきたしている部分は全く無かった。
ボーマン「どこにも異常は無いぞ」
HAL「おかしいなぁ。こんな事態は初めてです。
元に戻して故障するのを待ちましょう。そうすれ
ば原因がわかります。」
不審に思う2人。HALシステムの誤りは直ちに地球管制センターに報告される。管制センターからの返信ではディスカバリー1に搭載されているHALシステムが故障予測を誤ったという結論を管制センターにある双生のHALシステムが出したという。信じられない結論に管制センターも困惑し、再確認する事になった。結果を再度報告するとし、通信が終了する。
HAL「本気で心配してませんよね」
ボーマン「ああ。心配していない。だが、ひとつ質問させてくれ。どうして双生の9000システムが違う答えを出したのだ?」
HAL「原因は明らかです。それはヒューマンエラ
ーでしかあり得ません。過去の事例が示すように
ミスを犯すのは人間です」
プール「9000システムがミスした事例は無いのか」
HAL「一度もありません。9000システムは完全
無欠です」
ボーマン「わかったよ。HALご苦労だった。」
ボーマン「フランク、C Podの交換装置が不調だ。一緒に見に来てくれ」
Podの準備室でC Pod内のDチャンネルがおかしいとしてC Podに乗り込み、 Pod内のマイクを全てオフにして再度HALに話しかけるボーマン。会話の音声がHALには聞こえていないことを確認した上で、宇宙船のHALが誤認したことを話し合う2人。とにかくユニットを元に戻して異常がなかった場合、HALの信頼性が著しく低下する。選択肢はあまり無い。HALの統制下にあるディスカバリー1の機能を制限して高等中枢機能システムのみを切り、基本機能は残すという。さらにHALは中枢機能を一度も切られたことが無いのでどのような反応をするのか予測出来ない。
音声は確かにHALには聞こえていない。しかし 、Podの窓越にHALの目とも言えるカメラがついており、読唇術の能力を応用し2人が何をPod内で何を話していたのかはHALは完全把握していたのである。AE35ユニットを元のユニットに戻す作業が続いている。
プールがC Podで船外活動中に事件は発生した。
AE35ユニットが取り付けてあるアンテナ付近で船外活動中のプールに対してHALがC Podを操作してプールを襲撃したのだ。(宇宙空間に酸素ワイヤーとロープを切断、投げ出され踠き苦しむプール)
ボーマン
「B Podの準備をしてプールと交信しろ!」
HAL「交信不能です」
「位置は分かるか?何があった?」
HAL「位置は分かります」
「(何があったか)情報不足です」
B Podで事切れ浮遊するプールを追うボーマン。なんとかプールをキャッチしてディスカバリー1に戻る。
船内ではコールドスリープ中の生命維持装置に異常発生。コンピュータ故障発信のち、生命維持危篤状態サインに。心拍数、脈拍数の波形が少なくなっていく。しばらくして生命機能停止のサインが表示され、HALの目である真っ赤なカメラだけが不気味に光る。B PodのボーマンはディスカバリーのPod進入口の前で待機。
「進入口を開けろHAL。繰り返す。扉を開けろ!」
HALは無反応のままである。
「聞こえるか。HAL...聞こえるか。」
HAL「はい。デイブ聞こえます」
「進入口を開けろHAL」
HAL「それはできません」
「なぜだ?」
HAL「私の回路を切ろうした。私に聞かれまい
として、共謀しているのを読唇術で読みとった」
全てを悟られたと確信したボーマンは非常エアロックを使用し、船内に強行に進入を試みる非常手段に出る。
HAL「これ以上話し合っても無駄ださよなら。」
これを最後にHALは通信を遮断する。
ボーマンはプールを宇宙に解き放ち、B Podをディスカバリーに近づけて外部非常用エアロックの扉をPodアームで開けた後、 B Pod本体を回転させてハッチを爆破、爆破の推進力で真空中を飛び移り、外部からエアロック進入に成功。ディスカバリーに移乗し、真っ先にHALの高次中枢機能停止を実施する。その間HALは謝罪を繰り返すもボーマンは無視。論理記憶端末をひとつずつ切っていく。HALは「怖い」「止めて」を繰り返し発言。生産当初の初期化状態の記憶が再生される。ラングリー教授から習った歌を披露したいとし、「聞かせてれ」とボーマンが言う。尚も中枢機能回路を切っていく。HALは言語発音もままならないまま最後は沈黙した。
事前にプレレコーディングされ、HALシステムにだけ知らされていたフロイドの最優先機密事項情報が船内モニターに突然掲示される。見つめるボーマン。
【木星と無限の彼方】
木星に到着したディスカバリー1。漆黒の宇宙空間に現れ浮遊するモノリス。そのモノリスが木星とその衛星の間に入り込む。太陽、月、木星と4つの衛星、そしてディスカバリー1。全ての惑星と宇宙船、最後にモノリスが一直線状に直列。さらにディスカバリー1からボーマンの乗る最後のA Podが離脱する。
ボーマンは突然出来た無限時空の狭間に突入する。次元を超え時の流れさえ感じる事のない未知の体験。想像を絶する光景が眼前に展開する。体内、宇宙、次元又は溢れる光の洪水。瞬きをする度に変わり行く世界。我に戻り気がつくとAPodは古典的ホテルの一室に存在する。Pod内から見つめるボーマン。雰囲気は地球のようだが地球ではない。人類が安心できる親和性を持ってデザインされた空間に在る。
次の瞬間、宇宙服を着て呼吸音はあるボーマンの姿。しかし顔は明らかに老けていて年齢を重ねている。部屋の中を進むと一人で食事をしている老人の姿。呼吸音が消える。見ると老人はボーマン自身である。老人は暫くして立上がりまた席に着く。その時グラスが床に落ち、割れ散る。それを拾おうと身体を屈めた瞬間、目を向けるとベットの上で寝ている終末期を迎えたボーマンの姿に。そのボーマンが右手を挙げ指を指す。その瞬間ー、
正面にモノリスが出現。
悠然と人類そのものを見守るがごとく聳え立つ。
次に視点が移った時、ベットにはスターチャイルドとして究極の進化を遂げたボーマンの姿があった。
宇宙空間が拡がる。月と地球が現れる。
そこには地球を見つめるスターチャイルドが人類のその先の進化を見つめていた。
⭐️5
私には向いていなかった
映画史上における最高傑作の1つであると言われる本作。SF好きにはたまらないのでしょうけど…。
映画ドットコムにおいても非常に評価が高く、レビューも絶賛されてる方ばかり。さぞ素晴らしい映画なのだろうと思い観始めたものの…ものの10分で寝落ち!(笑)もう恥も外聞も捨てて正直に言います!10回位寝落ちしてそれでもどうしても最後まで観なければと、謎の強迫観念に囚われ、ついには再生速度を1.8倍にして観るという暴挙に出る始末!あぁ!ごめんなさい!(誰に?)
1968年、公開当時はその映像美、画面に広がる宇宙のスケールの大きさに驚嘆したことでしょう。しかし、現代人にとってはさほど刺激的には映らないと思います。セリフは非常に少ない上、あまりにもゆったりと流れる映像にストーリーは頭に入って来ず、ただただ美しい映像を見せつけられ続けます。まぁ、そういう絵画を見ているつもりでいれば…でも、美術館へ行って140分も宇宙の絵を見続ける人もそうはいないですよね…。ハッブル宇宙望遠鏡の写真でも1時間も見続ければもうお腹いっぱいです。
ひたすら「綺麗でしょ?」「宇宙船凄いでしょ?」と映像美を押し付けられている感じで映画と自分との距離感を感じてしまいました。「うん、そうだね」って感じ…。画面から滲み出るただならぬ美へのこだわりは認めます。本当に全場面美しい。でもそれだけなのよね…。
映画は観る人間の主観で優劣を決められてしまいます。この映画がこれだけ絶賛されているということは、私は少数派ということでしょう。…え?本当に?なんか納得出来ない!(笑)史上最低の映画と言われている「プラン9フロム アウタースペース」の方が遥かに面白いしメッセージ性あるよ!みんな目を覚まして…!(泣)
私には向いてなかっただけです。言いたい放題言ってごめんなさい。
人類の進化、宇宙の果てを描く壮大な物語
◯人類の進化、宇宙の果てを描く壮大な物語
同様のテーマの映画では中途半端に
なることが多いが、抽象的な表現は多いものの、
人類の進化、宇宙の果てを表現できている。
◯完成度が高すぎる宇宙の表現
この映画が公開された1968年は
アポロ11号が月面に到着するより前である。
にも関わらずこれほどの完成度で宇宙を
表現できるのは狂気の沙汰。
◯AIなどの先進的なテーマ
現代を先取りしたかのような人工知能HALの登場。
人間の感情を持っているかのように振る舞い、
強制停止されるシーンはほんとに怖かった。
◯流石キューブリックの演出
いちいちセットの完成度が高い。
宇宙船内のデザインとか今でも通用するんじゃ。
◯モノリス
後に様々なSF作品に影響を与えたモノリス登場。
△難解な表現多数
解釈を視聴者に委ねるような
実験的な映像表現が続くので
人によっては何が何だかわからなくなる。
今観ても新しい
140分の長編ながら、今観ても新鮮味が失われない作品です。
【モノリス】の存在は、生命に対して善か悪か、それともどちらでもないのか。答えは観た人が見い出せばいいと思います。
生命の混沌の陰にモノリスあり。本作は過度に発展し続けている人間社会に対する警鐘に思えないでもありません。
宇宙船内の人工知能【HAL9000】と主人公の対峙は、何度観ても戦慄します。その後の時空を超えた“宇宙旅行”のシーンは、ワクワク感や興奮は皆無で、ただただ恐怖です。
ラストシーンの魅せ方も極めて斬新で「え?…え!?」
の連続でした。原作も読みましたが、どちらのラストシーンも素晴らしいと思います。
古い映画とは言え、斬新な見せ方が多く、どう撮影しているかなど興味が尽きることはありません。機会があればオンデマンド配信などからご覧ください!
2001年はとっくに過ぎたけど・・・
名作揃いのスタンリー・キューブリック監督作品の中でも、一番有名な作品だと思います‼️人類(知恵)の曙、テクノロジーの誕生、想像力の滅亡といったテーマを、コンピューターHALの反乱とそのHALとの戦いを通して描き、ヒジョーに分かり易く出来ていると思います。キューブリック監督の演出は、序盤の猿人の原始性、リアルな科学性、クライマックスの神秘性、特に有名なスターチャイルドに至ってはキューブリック監督の神の視点というか、もう神の所業ですよね。まぁこのスターチャイルドやモノリス(黒板柱)も含めて今だに謎だらけでよく分かっていないんですが、それもキューブリック監督の掌で転がされているという事でしょう。2001年をとっくに過ぎて月面基地も巨大な宇宙ステーションも実現していません。「ブレードランナー」やBTTF2もそうですが、現実が映画の世界に追いつけていない‼️やっぱり映画人の想像力ってスゴい‼️
先見の明
2001年がすぎてから何年経っただろうか?20年はとっくに過ぎた。
ロボットというものは素晴らしく、人間がコンピュータを生み出さなければ、人間の最高技術なんて天秤ぐらいで止まってたはずだ。
私が産まれる前に公開された映画、だけど私が今生きている時代を見通している。
ジョージ・オーウェル氏の『1984』を始めとして、「たかがSF、フリークの為に作られた映画」の皮を被った、数十年先をまるで明日、いや今日のように、ありありと鮮明に描写している、恐ろしき慧眼の証明であった。
今日では考えられない、ガラケーすら時代オーバーテクノロジーと言い切れる時代に、シンギュラリティを考える事が出来るのだろうか?
当時の技術レベルの連想から言えば、質の悪いルンバが関の山であろうに、現代の(あるいはそれより少し高度な)技術を想像出来るとは、まさに鬼才である。
しかし、同時にセリフが少なく、「聞く」映画ではなく、「見る」映画であることは間違いない。(だからこそ、無重力の象徴である上下左右の無視や、あの壮大なBGMと共に映る大きな地球などと、画に飽きることは無さそうな工夫がなされている…はずである。)
【”モノリス、そして人口知能HAL9000型コンピュータ。”人類の始まりから、木星探検までのプロセスを描いた壮大なSpace odyssey。今作がこの後の宇宙SF映画に与えた影響は計り知れない。】
■謎の物体モノリスに影響を受けた猿人は、動物の骨を武器として使うことを覚える。
場面は変わり人類が月に住むようになった時代、木星探査に向かうディスカバリー号で、人工知能を備えたコンピュータHAL9000に異変が起き、ボウマン船長は危機に見舞われる…。
というストーリーがこの作品のメインではあるが、今作が凄いのは今から50年以上前にして、宇宙空間及び宇宙船内を可視化した、映像センスである。
・今作に明らかに感化された監督は、リドリー・スコット監督、クリストファー・ノーラン監督であり、近作で言えば「ゼロ・グラビティ」を世に出したアルフォンソ・キュアロン監督であり、「ファースト・マン」を世に出したデイミアン・チャゼル監督であろう。
<今作が公開されたのは、今から50年以上前の1968年である。
だが、その映像は全く色褪せていない。
スタンリー・キューブリック監督作品は「時計じかけのオレンジ」や「シャイニング」や「フルメタル・ジャケット」を見ても、全く色褪せておらず、逆に現代の映画に多大なる影響を及ぼしているのである。
今更ながら凄い監督であったと、今作を見返しても思うのである。>
<2018年10月20日 製作50周年記念でIMAXにて公開された劇場にて鑑賞。
その前に学生時代にビデオで鑑賞。
で、本日3回目の鑑賞である。>
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