「映画スターとしてのレッドフォードの代表作」ナチュラル 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
映画スターとしてのレッドフォードの代表作
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18歳から30代までの主人公(しかも野球選手)を、当時40代後半だったレッドフォードが演じる、という時点で、かなりの吉永小百合感というか、さすがは映画スター!と皮肉なしに感嘆してしまうのは、これがまごうことなきスター映画、レッドフォード映画だから。
中年ルーキーがプロ野球界でカムバックを果たすおとぎ話のようなメロドラマコメディなわけだが、どこまで作り手が野球と真面目に向き合っているのかはイマイチわからない。というのも、主人公は血の滲むような努力をしたのだろうが、その辺は一切描かれず、ほとんど神話か魔法のように活躍し、そして女性をあげまんさげまんとして扱う占いレベルの理論によって、キャリアが浮いたり沈んだりするのである。
いわばこの映画の野球はスポーツというより信仰みたいなもので、選手の運命は神の恩寵を受けられるかどうかにかかっている。それを大真面目に、愉快に、そしてロマンチックに撮っていて、映画なんだからと雷が落ちてきたりする映像がみごとにオモロ美しく仕上がっているのは、なんだかスピルバーグ映画のヘンテコさを思い出したりする。
レッドフォード主演作でもっと名作はいっぱいあると思うが、「レッドフォード映画」というスターにしか許されないジャンルがあるとすれば、これが一番の「レッドフォード映画」かもしれない。
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