ナイト・オン・ザ・プラネットのレビュー・感想・評価
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地球の縁をタクシーが廻る
時差のある五ヶ国でのタクシーの運転手と乗客の絶妙なやり取りが楽しい一夜だけのタクシー夜話で、ジャームッシュ作品の中では、一番好きで愛おしくなる作品でした。言葉も立場も人種も違うけど、いまもこの星のどこかでみんなが同じように抱えている孤独感や疎外感が、束の間の車内でのやり取りで癒されて、心がほっこりします。改めて、ジャームッシュの才気と温かさが感じられ、うまいなぁって思いました。最後のヘルシンキ篇で夜が明けて美しい朝日が昇って終わるのも、起承転結としてきれいなエンディングでした。エピソードでは、ウィノナ・ライダーとジーナ・ローランズの掛け合いが魅力的なロスアンゼルス篇と、ニューヨーク篇、ヘルシンキ篇がお気に入り。
ウィノナライダーの一話目が見ごたえありすぎて、二話目以降が霞んでし...
1992年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️✨
『JIM JARMUSCH Retrospective 2021』にて鑑賞(初見)。
何が幸せで不幸かなんて人それぞれ…
だいたい自分の事しか普通は見えていないもんですよねぇ…。
とても幸せな2時間でした!💖✨
*盲目の女性を演じていたのは、『屋敷女』(フランス版)であの殺人鬼を演じていた女優だと初めて知りました!…ショック‼️笑
【旅⑤/旅をするのは…】
ジム・ジャームッシュのデビュー作から6番めまでの作品は、全て旅がモチーフだと思う。
出会い/集い、良し悪しではなく、その成り行きを見つめているのだ。
そして、出会い/集い、旅するのは、僕達のことではないのか。
(※ これら6作品のレビューは書き出しが同じです。すみません。)
書き出しを最初の6作品とも旅を巡る物語と一緒にしているが、この「ナイト・オン・ザ・プラネット」のオムニバスの物語は旅自体がモチーフじゃないし、5つの都市のタクシーを巡る5つの物語でしょという方がいそうなのは分かる。
でも、考えて欲しい。
ロスアンゼルスから始まって、並んだ時計の針が動いて、他の4つの都市を巡るのだ。
僕達が、旅をしているのだ。
僕達は海外旅行をすると、その街でタクシーをよく利用するではないか。
タクシーは身近な移動手段だ。
そして、タクシー運転手とは、一定の密な時間を狭い空間で過ごすじゃないか。
僕は、この5つの都市のほとんどでタクシーを利用したことがあるけれども、国内でも、どこかでタクシーを利用したことがあれば、その土地土地の雰囲気が理解できることは想像できるし、僕達は、この「ナイト・オン・ザ・プラネット」で、それぞれの都市ならではのタクシーを巡る物語を目撃する旅をしているのだ。
(以下ネタバレ)
(ロサンゼルス)世界に誇るエンタメシティで、その業界で働く人は、世界を意のままに出来るかのように振る舞うが、どんなに個性的でキュートでも、着実に我が道を生きて行こうする人はいるというアイロニーだ。ウィノナ・ライダーがやっぱりかわいい。
(ニューヨーク)ほとんどのタクシードライバーは移民のように思う。東ドイツからの移民って、オートマ運転出来ないんだってみたいな、意地悪もあるが、ブルックリンの黒人が明るくて、率直で、そして親切で良い。
(パリ)パリも移民のタクシードライバーは多いし、黒人も多い都市だ。盲目のパリジェンヌのお客は、プライドが高くて、予想通りなのだが、目が見えるかのように感じ取るだけじゃなく、近い未来も予言できちゃう気がする。僕達は実は色んなことが見えていないのかもしらない。ほくそ笑むの姿が面白い。
(ローマ)多くのカテドラルと、バチカン市国を抱え、うっるさいイタリア人と厳粛な宗教が混在する都市だ。
神父は自分の命と引き換えにしても、懺悔を聞かないといけないのかというアイロニーだ。
ところで、僕はイタリア人の友人がいるが、とにかくよくしゃべるし身振り手振りもデカイ。「ダウン・バイ・ロー」のロベルトや、「ミステリー・トレイン」のルイーザも、そうだったが、あのまんまだ。ここで、これを記すことができて、なんか嬉しい。
(ヘルシンキ)高福祉国家では、幸福じゃなくて不幸話を競うのだろうかという皮肉だ。
僕は、2月のヘルシンキに行ったことがあるが、本当に極寒で、歩くなんて考えられないくらいだ。ヘルシンキ湾の島にも、凍った海をバスで渡ったりする。
まあ、僕のレビューでは、その都市ならではの物語を見た気にはならないと思うけど、僕は、旅した気になってます。
面白かった。
ウィノナ・ライダー編は面白いが
ウィノナ・ライダー編がいちばん面白くて星4つ、他は星2つか3つ位。ロベルト・ベニーニはコメディアンのような運転手だったが、何のことをしゃべっていたのか記憶にない。その2人以外はどんな運転手だったのかさえ記憶にない。
オムニバス映画はどのエピソードが面白いか、いくつあったかで評価が分かれると思う。正直この映画で見る価値があったのは、ウィノナ・ライダーのエピソードのみ。ただ、この中のウィノナ・ライダー演じるキャラクターはすごく魅力的だった。お客として乗ったプロデューサーみたいな中年の女性が彼女を気に入るのも納得できる。日本のタクシー運転手はスーツにネクタイのおっさんばっかしで、画一的で面白味はないが、ウィノナ・ライダーみたいな運転手がいたら乗ってみたいね。
<その他>
今まで自分が乗って驚いたタクシー
・イギリスで、運転手がラフな服装で長髪の若い男性だった
・タイで、助手席に自分の彼女を乗せていた
・中国で、急いでって言ったら、センターラインをオーバーして何十台も追い越していき、死ぬ思いをした事
・中国で、いま家に帰るところで、そっちは反対方向なのでと言って乗車拒否された
昔観たのに、覚えていなかった...(苦笑)
5話になっていて、そのどれもが面白くて粒揃いな良作品。中でも良かっ...
5話になっていて、そのどれもが面白くて粒揃いな良作品。中でも良かったのは1話目のロサンゼルスの生き様みたいな話と、4話目のローマの死ぬやつ。観ているだけだから笑ってられるが、実際にこんな運転手さんにあってキモい話を延々と聞かされたら死ぬかもしれないな、と思った。
タクシーあるある、かしら。
一言「掘り出し物!」。
オムニバス(本でいう短編集)形式で、プラネット?宇宙物?。
全然違いました。
タクシーの中には、運転手とお客のみ。外は真っ暗闇の中。
そんな2人(組)の、密室での会話劇。
広い世界の片隅で、いろんな人が生きている。
その30分ほどの間だけ、狭い世界を共有する。
運転手がそれぞれ個性的。
・デカいタクシーを乗り回す、へービースモーカー(ウィノナ・ライダー!)。
・ベラベラ1人で喋り、お客が神父さんと知って車内で懺悔し始める(ロベルト・ベニーニ!)。
・アメリカに来たばかりで、言葉も運転もイマイチな移民。
心温まる話もあれば、クスッと笑っちゃう皮肉な話もあり。
タクシーの中って、いろんな人生模様が詰まってるなあと。
今回wowow の「ミニシアターに愛を込めて」(by斎藤工さん)で特集されていて。
そうそう、ミニシアターの小さな箱で見ると。
より味わい深かったかもね。
予備知識ゼロで見たので。1991年、今から30年前の作品となるとこんな人も。
ジーナ・ローランズ!。
ピンヒールにシュッとしたスーツ。できる仕事人役が、惚れ惚れカッケー!。
ウイノア・ライダーとの共演。最高でした。
5編で2時間ちょっと。気楽に見れる「ポップコーン映画」に認定🍿。
5都市のタクシーの運ちゃん
ロスはウィノナ・ライダーのタクシーにジーナ・ローランズが乗ってくる。
NYは不慣れな運ちゃんの代わりに客が運転する。
パリでは盲目の客ベアトリス・ダルが一枚上手。
ローマでは喋り続けるロベルト・ベニーニのタクシーに乗った神父さんは運が悪い。
ヘルシンキで乗ってきた不幸な客が運ちゃんの不幸に負ける。
面白いオムニバスだ。
タクシーの思い出、 いくつもいくつも思い出されてきました・・
Tom Waitsのしわがれた歌がタイトルバックに流れて、夜通し働いたタクシー運転手たちの 泥のように疲れた体をいたわってくれているようだ。
思い出せばいろんなタクシーに乗ったな。
誰にとはなしにポツリポツリ喋る運転手さんもいるし、喋りたくないオーラの運転手もいる。乗せてもらうこちらも同じくその時その時だ。
・お金ないとき、メーターを早めに倒してくれた運転手さん。感涙。
・ぶちキレられて急ブレーキを踏まれたこともあるし、
・お互い初めての街で一緒にカーナビを見ながら超遠回り。歩いたほうが早かった。
済まなさそうに「お金もらえません」と 東北から山梨に昨日来たばかりの運転手さんだった。なに言ってんですか不安なのは僕も一緒。握手して別れた。HAGしたかった。
「タクシーの車内」という狭い空間を、そのいっとき たまたま共有する。あすこは一期一会の地球(プラネット)の縮図なのだ。
日本の深夜労働者は600万人だと聞いたことがある。
Tom Waitsのドラムビートは労働歌。日本でならヨイトマケの唄か岡林信康の山谷ブルースが流れそうなエンディングってところだろうか。
「深夜食堂」冒頭の新宿の大ガードのシーンが大好きな僕。タクシーがたくさん映ります。
・・若者の軽快なタクシー乗車なら宇多田ヒカルの「トラベリング」なのでしょうが、やっぱり白眉は吉田拓郎が由紀さおりに歌わせた「ルームライト」です。
これ以上の夜のタクシーの唄はありませんね。
・・・・・・・・・・・・
《おまけ、付記》
人間をお客として乗せるわけではないが、夜通し走るトラック運転手の僕としては、本作品は言葉不要のシンパシー、=仲間意識に満たされる5つのオムニバスであった。
12月24日、クリスマスイブにも、当然 夕方から朝までのお仕事な訳で。
10トントラック一杯の荷物を積み下ろししながら、僕は同僚たちと笑ったものだ
・ケーキ食べたいね
・サンタさんってさ、深夜労働者なんだよなー
・奥さん今夜もお家でひとりぼっちなんだね
・辛いけど頑張ってるよな年寄りなのにね
・俺たちとおんなじ運送業やろ?サンタさんって仲間だし、なんかさぁ“友だち”って感じするよなァ
タクシーの運転手さんたち、
どうぞ心も体も壊さないで下さいね、
ご安全に。
・・・・・・・・・・・・
あぁ、、もう!
こんなん作っちゃうジャームッシュ超可愛い。
ロサンゼルスに女優を断る女の子がいて、NYに口は悪いけど心優しい青年がいて(ちょっとぼんやりおとぼけの老人がいて)、パリに失礼で身勝手でコンプレックスバリバリのブラックと目が見えてる人よりわかっている勝気な盲人パリジェンヌがいて、ローマに自分語りに一生懸命で神父が死んでいることに気づけない陽気で変態ちっくなナイスガイがいて、ヘルシンキに内向的だけど心優しいパパさんたちがいて、、、
同時刻の各都市で起こっているワンシーン。
旅行に行きたくなるなあ。日本が加わるとしたらどんなストーリーになるんだろうな。
京都の仕事終わりの舞妓さんとかが乗ってくれたらいいな。
タクシー
ロサンジェルス。タクシードライバーのウィノナ・ライダーは空港でジーナ・ローランズを乗せる。キャスティング・エージェントをやっていて新人発掘が専門なので、タバコを吸いつづけるライダーの個性を気に入り女優の道を進めるが、彼女はタクシードライバーの後整備工になるというしっかりとしたビジョンを持っていた・・・面白くない。
NY。なかなかタクシーを捕まえられない男の前に止まったタクシーは、東ドイツからやってきたほとんど素人の運転手。ブルックリンがわからず、運転も下手なので、男が代わりに運転することになった。オチもわかりそうなものだけど、かなり笑える。
パリ。カメルーン大使に会う二人の客に腹を立てた運転手は二人を降ろす。継ぎに拾ったのは盲目の女性。目が見えないとはどういうことなのか、ちょっとだけ考えさせられる。
ローマ。運転手はロベルト・ベニーニ。神父を乗せたことから懺悔を始めるが、羊ローラとセックスした話、義姉とやってしまった話。心臓の悪い神父はそのまま死んでしまう・・・ベニーニの一人芝居っぽい演技には毎度感心させられるが、かなりブラックなのでそれほど面白くもないかなぁ。
ヘルシンキ。三人の酔っ払いを乗せたミカ。クビになったことなど不幸な話をするが、ミカの話を聞いてしんみり。不景気・不況、失業問題なども深刻なのかもしれない。
ジム・ジャームッシュの魔法
古びれない
ジャームッシュの作品の中で一番好きだったので、約30年弱振りに改めて鑑賞しました。やっぱり今観てもかっこいいし、全然古びれていないのが凄いですね。この時のジーナ・ローランズが60歳超えているなんてびっくり!年齢の事を言うのは良くないですが、それにしてもカッコ良すぎです。ハイヒールいいなあ。
女優よりも整備工になりたい人がいて、目が見える人よりも目が見えない人の方が見えていて、タクシー運転手を横に乗せて代わりにタクシーを運転する人がいて。夜の街で出会う人間模様が、ユーモア有り優しさ有りで、出会いってやっぱりいいなあと思ってしまいました。ジャームッシュは、こういうちょっとした会話劇が上手いですよね。コロナが落ち着いたら、私もふらりと旅に行こう。
【ジム・ジャームッシュが描く、地球上の5つの都市の5人のタクシードライバーがほぼ同時刻に乗せた乗客との遣り取りを描く”粋”で”面白き”5つの物語】
■<Caution! 以下、内容に思いっきり触れています!>
<オープニング>
宇宙の中に浮かぶ美しき地球。
トム・ウェイツの”バック・イン・ザ・グッド・ワールド”が流れ始める。
スクリーン上の画はどんどん地球に近づいていき、自転する地球上の地形を映し出しながら、アメリカ西海岸に至るところでトムの歌は終わり、暗転。
5つの時計が映し出される。左から、ロサンゼルス、NY、パリ、ローマ、ヘルシンキの時刻を刻んでいる。
<ロサンゼルス:7:07PM>
・タクシードライバー コーキー(ウィノナ・ライダー) ガムを噛みながら、煙草を吸いながらハンドルを抱えるように運転している。小柄なのだ。
ロッカーを空港に降ろした後、乗せたのは映画キャスティング・エージェント(会話の途中で分かる)ヴィクトリア(ジーナ・ローランズ!)。
二人は煙草を吸いながら、会話を交わす。
目的地に到着した後、ヴィクトリアはコーキーに映画出演を持ち掛けるが、コーキーは”整備工になりたいから!”ときっぱりと断る・・。
ヴィクトリアもスッパリ諦め、挨拶を交わし車を後にする・・。
物語はほぼタクシーの中での気鋭の新人女優とベテラン女優の会話のみ。けれど、これが”粋”で良いのだなあ。
個人的には、ロサンゼルス編が一番好きなのだが、この後も
<ニューヨーク:10:07PM>
<パリ: 4:07AM>
<ローマ: 4:07AM>
・タクシードライバー ジーノ(ロベルト・ベニーニ)
・客 神父(パオロ・ボナッチェリ!)
の面白き遣り取り。
ローマ編は2番目に好みである。
<ヘルシンキ: 5:07AM>
の各都市のタクシーの中で面白き物語が繰り広げられる・・・。
<1992年5月5日 劇場にて鑑賞>
<その後も、ジム・ジャームッシュ監督作品が観たくなると、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」「ダウン・バイ・ロー」などと一緒にブルーレイにて鑑賞。
いつ見ても、面白い作品群である。>
<2021年3月23日 追記>
・ジム・ジャームッシュ監督作のお気に入り作品として、その後「パターソン」が加わった。ゴルシフテ・ファラハニが奥さん役なんて、羨ましいぞ!アダム・ドライバー!
"GoodOldWorld"
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