「バックミュージックがちんどん屋さんとJAZZのスーバークロスオーバーだ…」ナイト・オン・ザ・プラネット マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
バックミュージックがちんどん屋さんとJAZZのスーバークロスオーバーだ…
公開当時僕はジム・ジャームッシュを知らなかった。
全て、トム・ウェイツの歌から始まる。
『クロージング・タイム』から叔父の影響で聞いていた。だから、レンタルビデオ屋さんで、ウィノナ・ライダーのカワイイ女性のカバーに惹かれて借りたビデオを見て、最初にトム・ウェイツの『Good Old World』が流れ『お~トム・ウェイツじゃないか!』とえらく感動したのを覚えている。実は、当時僕は10本位ビデオを借りるのは当たり前で、必死に見たものだ。だから、見たものをよく覚えていない。この映画も実は最初の音楽とウィノナ・ライダーのカワイイ事とニューヨークの汚い言葉とパリの暗闇の黒人とマシンガントークのローマ野郎と無骨な寒そうなヘルシンキしか頭に残らず、詳細はすっかり忘れていた。一期一会な映画になるはずだった。しかし、見終わった後、カーテンを開けると、雪は降っていなかったが、曇り空の寒そうな朝の冬景色が見えた。なんか、ライブでそのタクシーに乗っていたと感じた。その後、ダウン・バイ・ロー等色々なジム・ジャームッシュの映画を見て、この映画は僕にとって一期一会の映画ではなくなった。ジム・ジャームッシュの味のあるコメディの始まり始まりとなる。アメリカ映画だけど、屁理屈なフランス映画から、屁理屈が無くなった映画と思っている。その後、前述の叔父にこの映画を紹介した。彼は当時タクシー運転手をやっていた。彼は『こんな客いたら、殴ってやる』と言って映画を罵倒していたのを思い出す。その彼はこの映画と一期一会のまま地獄に墜ちた。因みに『タクシードライバー』も大嫌いだった。それには僕も同感だが、この映画はジム・ジャームッシュの中で一番好きな映画かもしれない。まるで『一期一会の宝石箱』のようだ。
追伸 ロベルト・ベニーニのギャグをしもネタには思えない。勿論、そんな真似はしたことないが、彼の語る話は無骨な純愛に思えた。また、司教は死んでいないと思った。