「最初から最後まで「トムクルーズと戦闘機」。」トップガン すっかんさんの映画レビュー(感想・評価)
最初から最後まで「トムクルーズと戦闘機」。
○作品全体
トムクルーズと戦闘機。主たる被写体をカッコよく見せたいというシンプルな欲求が魅力的な作品だった。
作品冒頭からF-14の離陸をたっぷりと見せる。空へ飛び立つまでのレッドカーペットを敷くかのように丁寧に、時間をかけて映す時間はまさしくプロモーションビデオのそれだった。飛び立ってからのF-14の映し方もとにかく見栄え重視。ドッグファイトの描写は自由度を優先しているが故に、位置関係や戦闘機の軌道がわかりづらい部分もあったが、それを犠牲にしたことによって得られるアングルも多かった。フレームイン・アウトで演出するドッグファイトのスピード感が一番印象的。水平飛行から機体を傾けフレームアウトしていくだけで、カーチェイスでは表現できない機体のシルエットの変化を高速で味わえうことができる。これが楽しかった。
マーヴェリックの直感重視の性格の原因やチャーリーとの恋の行方、グースの死…必要最低限のみの描写は「トムクルーズと戦闘機」という本作の核の部分を妨げないものになっているのだから、それでいいのだと納得させられてしまった。
グースのドッグタグを投げ、マーヴェリックのなかでグースの死を落とし込んだという描写はあるが、直感重視のスタイルは変わらない。死因がマーヴェリックに起因しないのも含め、グースがもたらすドラマはそれでいいのか?とも思ったけど、それでいいのだ。
トムクルーズが色々な表情を作り出せるエッセンスとなり、F-14の躍動に色をなすものとして機能していればそれでいい。そういう潔さが本作の長所なのだから。
○カメラワークとか
・コックピット内を人物の正面から捉えたカメラはドラマを作る上で必要なんだろうけどこのカットが入ると位置関係が分かりづらくなるのは閉口した。コックピットから見た目の前を飛ぶ僚機のカットはカッコよかった。基本機体を遠くから映すから大きい機体を普段見ないアングルで見るのはインパクトがあった。
○その他
・マーヴェリックがアイスたちとビーチバレーするシーンに結構な時間を割いていて笑った。見せたいものが分かりやすすぎる。でもそこがいい。