「個人的にヴェンダースの最高傑作!全作観てないけど。」都会のアリス osmtさんの映画レビュー(感想・評価)
個人的にヴェンダースの最高傑作!全作観てないけど。
うーん、これはイイ!
あの少女ホント良く見つけたよ。
主演のフォグラーと一緒に前作にも出ていたようで、その時すっかりと仲良くなった二人を見て、ヴェンダースはこの企画を考え始めたようだが、このコンビは出逢うべくして出逢った感がある。
ヴェンダースは当初「ペーパームーンと丸かぶりやん!」と思って、後半の脚本を変えたらしいが、100年経って残っているのは、たぶんコッチの方だと思う。
冒頭からラストまでミューラーのカメラワークが本当に冴えてる。
二人が何気なくニューヨークの街中を歩いてるシーンを水平移動で横から撮っているだけでも凄くいい。
アレは本当に映画史上に残る名ショットだと思う。
もう全編を通して素晴らしいショットの連続だった。
16mmの荒い画像が、作品のテイストをより一層リアルに引き立てていた。
孤独感や哀しみを少し乾いたテンダネスとユーモアで包んでいて凄く良かった。
あと、突然のチャック・ベリーのライブは意外だったが、ステージで演奏してた「メンフィス・テネシー」
実はこの曲、この作品のアイデアに影響を与えている。
歌詞の内容を知っている人にとっては、思わずニヤリなのだが、知らない人達にとっては、なぜチャック・ベリーの登場なのか?少し謎だったのでは?
ここは歌詞の字幕は入れなきゃダメだね。
ヴェンダースは『パリス、テキサス』で大好きとなり(主役がライ・クーダーの音楽とも言えたが)、『ベルリン・天使の詩』でイマイチとなってしまい、それ以来ずっと敬遠気味で、ブエナビスタも音楽は素晴らしかったが、映画として特にマジックは無かったし、この間やっと観れた『アメリカの友人』もホッパーを始め役者たち皆んな良かったが、翻案に失敗しちゃってるし、ロードムービーの他2作も未だ観てはいないが…
たぶん、おそらく、この作品がベストのような気がする。
今回のレストア版、傷だらけのフィルムからの修復作業だったらしいが、本当にしっかりと直してくれて、感謝!感謝!大きなスクリーンで観ることが出来て、本当に最高だった。