「クライマックスの自由の女神での伝説的攻防は見応え抜群」逃走迷路 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
クライマックスの自由の女神での伝説的攻防は見応え抜群
アルフレッド・ヒッチコックがアメリカで映画製作を始めたのが1940年。42年公開の本作は、渡米してまだ間もない頃に手がけたサスペンス・アクションとして知られる。何ら理由の分からぬうちに主人公が濡れ衣を着せられたり、あるいは謎の秘密結社に命を狙われたりする流れは従来の通りで、とりわけヒッチコックはこの映画で、英国映画「三十九夜」をアメリカ式に翻案して見せたとも言われる。
ハリウッドの完全分業制に慣れるのに時間がかかったというヒッチコックゆえ、本作の緊張感やユーモア、各シーンの趣向の凝らし方は「三十九夜」には到底及ばない。だが、クライマックスに自由の女神像の頂上へと上り詰めていくシークエンスだけは別格だ。内部の様子も極めて精密に作られ、そこから見下ろす光景も絶品。期待通り、展望台から飛び出し、指先三寸の引っかかりに至るまで神経を張り巡らした作りも完璧である。このシーンだけでも一見に値する。
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