ディア・ハンターのレビュー・感想・評価
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自分が見てきた映画の中でもベスト1クラス。見終わった後もずっと心を...
自分が見てきた映画の中でもベスト1クラス。見終わった後もずっと心を持っていかれていました。BGMの美しさも印象に残ります。
重たく辛いシーンも多いですが、古いと敬遠せずにぜひ見てほしいですね。
圧巻のロシアンルーレット
この映画はベトナム戦争を描いたものだが、戦闘シーンは5分も無い。しかし、前半の戦争に行く前のエピソードと後半の帰ってからのエピソードを加えることで戦争を経験した人間はどう言うものになるかということを描いている。そして、この映画の目玉であるロシアンルーレットは緊張感があり、かなりの名シーンだ。
ロシアンルーレットのシーンは圧巻
ストーリーはシンプル。
前半は結婚式。平和な日常が描かれる。必要以上に長いが、後半との対比のためにあえての長さだろう。
中盤は戦場。戦争映画とはいえ、戦闘シーンは殆どない。
捕虜同士のロシアンルーレットと、脱出。
(この映画を最初に見たのは、25〜30年程前だが、このロシアンルーレットのシーンほど緊張感があり背筋が寒くなるシーンは誇張ではなく、本当に見たことがない。この間、千本以上の映画を見てるが、このシーンを超える映画は無かった)
後半は戦争後。これが本題。
戦争が3人の男たちをどう変えてしまったかが、が描かれる。
身体的に壊れた男(スティーブン)
精神的に壊れた男(ニック)
一見、変わらないように見えても、自分だけが無事だったことに後ろめたさを感じ、恥じている男(マイク)
批判的なコメントが多いが、捕虜同士のロシアンルーレットが実際にあったか否かは重要ではないし、上映時間が長いのも理由がある。
セリフが少なく、主人公の表情や仕草から、主人公に共感できるか否かで、本作の評価が正反対になるのだろう。
名作、って言いたい作品なのだが
名作、って言いたい作品なのだが、やっぱり長尺にしている全体の構成がいただけない。
もちろん長尺が成立する名作ってあるが、これ、どう見ても序盤の結婚式あたりが薄い。その後も、画に力もなく抜けている場面がちょくちょくみられる。ゴッドファーザー、ワンスアポン~、なんでもいいが長尺な名作ってやっぱり、作品力が抜けるような場面てほとんどない。
て、好きな作風なぶん、残念なところを先に。
しかし、打って変わって舞台をベトナムに映すと、濃密で魅力溢れる場面がたくさんある。捕虜でロシアンルーレットの場面なんて失禁ものの緊迫感がある。人で溢れる雑踏を撮った画もすばらしい。当時の現地の野蛮な活気が感じられて映像に迫力がある。そのあたりだけでも名作と言いたいぐらいなのだが。。
あと、でずっぱりのデニーロより、なぜかウォーケンの印象が強く残る映画。
戦争により無情に変化してしまう人間模様、切なさ募り胸突き刺さる
アカデミー賞作品賞、主演男優賞など5部門受賞、ゴールデングローブ賞監督賞を受賞した社会派ドラマ
親友同士だった関係が、戦争によって激変してしまう過程がじっくり描かれ、人物各々の現状から抜け出したい想いで行動起こす姿切なく、胸に突き刺さった
戦争の悲惨さや、戦地で戦った兵士が受ける精神的傷跡の深さを考えさせられた
前半が長い
結婚式を含む日常生活で1/3過ぎてからが、地獄の始まり
そこにいたら正気を失いそうな展開(ロシアンルーレット)がいきなり始まる。
ベトナム戦争のシーンは少ないが、助かり方1つで1人の人間が壊れるほどのショックを与える戦闘は理由があってもすべきではない。
地元に残った友人たちからすれば、英雄扱いだったマイケル、1人だけヘリで先に帰還して仲間を捨てた気分になったニック、両足を失ったスティーブン…三人の対照的なその後はいたたまれない。
壮絶・・・
これまた壮絶なドラマ・・・。
序盤の陽気な結婚式のシーンや鹿狩りのシーンが嘘ののように思えるほどの壮絶な中盤から終盤にかけての展開。テンションや明暗のギャップがありすぎてなんだかとてつもないものを見た気がします・・・。
ロシアンルーレットが怖すぎ
戦争に行く前はどんちゃん騒ぎで楽しんでた男達が帰ってきたら変わってしまう苦悩の話。
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この3時間という長さの内訳は1時間は戦争行く前のパーティーの様子、次の1時間は戦争の様子、最後の1時間は戦争から帰ってきた様子の3時間。
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最初の1時間はほとんど男達がバカ騒ぎしてるだけだから何を見せられてるんだ感があるけどたぶんこれを1時間分やることで後の戦争の場面、帰ってきてからのギャップを際立たせてるんだろうな。
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何より、この映画の肝はロシアンルーレット。銃押す時の緊張感もうずっとハラハラする。
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初めの時は怖くておせなかったニックが最後にあの死に方をするのはほんとに皮肉。
鷹
肌に合わぬアメリカの精神性が終始映されているが、ここぞという場面ではギリシャ悲劇の高みに近づく。
この機を逃したからこそ、今日の銃声がある。
何十年経っても虚しく映るという意味では永遠の作品といえる。
タイトルなし
結婚式などの、前半一時間半部分をもう少し短くできないのか...
仕事終わりに疲れた体で見るには長過ぎました。
地元シーンでの、酒盛り&どんちゃん騒ぎも多くて見てて疲れました。
戦争云々よりロシアンルーレットの緊張感をみせる映画という感じが強かった。
若かりし日のメリル・ストリープが美しすぎ!
トランプ支持者の源流
猟師さんへ(Dear hunter)だと思っていた無知なわたし。全然違った!鹿!馬鹿!でもこれは傑作だった。
一緒に育ち、共に働き、鹿狩りをする。今だったらトランプを支持してそうな彼ら。アメリカは彼らをずっとないがしろにしてきたし、それはベトナム戦争のときも。トランプに投票した多くの地方の年配者もこの映画と同じような経験をしてきたのだろう。
戦争がなければ続いていたはずの彼らの青春、日常が失われた哀しみ。必ず連れて帰ってくれって言ってたもんね。
何度もホモフォビアなセリフが出てくるが彼らに漂うホモソーシャル、そして時にはセクシャルな視線に時代を感じる。リンダはマイクにとってニックの媒介でしかない。
長い結婚式のシーンは、フォークダンス!きっと子供の頃から踊ってきただろうダンスに共同体の強固さを感じる。余談だけどこういうのダサいって思ってロックとか生まれたんだなーと。
ロシアンルーレットが出てくると知って、怖いのであらかじめあらすじ読んでから鑑賞。残酷なのは全部外国人ってことになってるのはまあ、当時ではしょうがないのかな。
デニーロの軍服姿カッコいい。でもそれ普段着にするの?!アメリカでは軍人はすごく尊敬されるらしいが、それもまた彼らの哀しみを増すのだろう。
マイクはなんであんなに肝が座ってるのか。憧れる。
デ・ニーロの男気に心を打たれる。
冒頭から、哀愁漂うギターソロにグッときます。映画自体は声高に反戦を叫ぶのではなく、テーマ曲同様に静かに淡々と描かれているのが、かえって胸が締めつけられます。今にして再度観直してみると、色々と気付かせられる所が多い映画ですが、親友を連れ帰るために命がけで単身サイゴンに乗りこむデ・ニーロの姿には、改めて感動しました。
町、山、ベトナムの連関構造
結婚式に始まり葬式で終わる
物語の場面は、以下のように変化する。つまり、町、山、ベトナムの連関構造である。
町(結婚式)、山、ベトナム、町、山、ベトナム、町
舞台となるのはアメリカ、ペンシルバニアの田舎町。町には製鉄所があり、主人公の男たちは皆、同じ職場の仲間だ。
男たちは仕事が終われば酒場に集う。町の近くには豊かな自然があり、週末には山で狩りを楽しむ。
そして彼らはロシア系移民だ(教会のシーンが登場するがロシア正教である)。贅沢ではないが、平穏な生活がそこにはある。
しかし、時代はベトナム戦争のさなか。町の暮らし、山での狩りは穏やかだが、上に書いた展開の通り、そこに入り込むベトナム戦争がすべてを狂わせる。
町から3人の男がベトナムに赴く。うち、1人は死に、1人は両足を失う。
冒頭から映し出される田舎町での暮らし。始めは結婚式のシーンが、その準備から式後のパーティまで、たっぷりと描かれる。
主人公マイケルはベトナムから生還する。彼が戻った町は、一見、今までと変わらないように見える。しかし、狩りの名人だった彼は鹿を仕留めることが出来ない。そう、すべては無残にも変わってしまった。友は死に、葬式のシーンで本作は幕を下ろす。
本作のヒロインであるメリル・ストリープ演じるリンダが「こんな人生のはずではなかった」と語るシーンには胸が締めつけられる。
仲間の葬式の後、誰彼ともなく歌うのはGod bless America。映画の中で、出演者たちが歌うシーンとしては「ベスト・フレンズ・ウェディング」でのI say a little prayerと匹敵する名場面だと思った。
ベトナムでのシークエンスでは、激しい戦争のシーンが描かれるわけではない。しかし、戦争の狂気を存分に描いていて、そこから、声を上げて逃げ出したいと思うほどだ。
派手な表現、声高なメッセージはここにはない。しかし、内臓にずしりと来るような重いものを残す。そういう映画である。
悲惨なベトナム戦争が生んだ…傑作。
素晴らしい作品でした。人物描写を淡々と描き続ける事によって、饒舌なセリフが無くとも、登場人物達の深い思いが伝わってきます。
ベトナム徴兵前の鹿狩りで、「人に頼るな」と仲間を突き放したマイケルは、けれども戦場で仲間を決して見放しません。
演じるデニーロは、タクシードライバーとこの作品で、アメリカ映画史に残る名優の一人となりました。
対するメリルストリープも、本当素晴らしい!初々しく若かりし頃の彼女の演技も必見です。
かつて、ロシアンルーレットの真偽について、本多勝一氏等に盛んに議論された事があったのだけれども、その真偽の是非に拘わらず、この作品が傑作である事は間違い有りません。
マイケルとリンダは、この後結婚するのだろうか?それともニックへの思いが、それを躊躇わせるのだろうか?そんな事まで考えてしまいました。
とても深い余韻に溢れた名作です。
上映終了後、お客さん同士が揉めていました。少し、悲しい気持ちになりました…。
Cavatina
或る意味、“モンド映画”の側面も織込んでいる、名画の分類に入る作品である。なにせ出演者が、ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープ、クリストファー・ウォーケン等々、名優の数々が演じているのだから間違いはない。
それ以上に、自分が今作を観たいと思った最大の欲求は、主題歌である。この主題歌の曲は本当に切ない。そして綺麗なメロディラインである。この曲が流れると、瞬間に南ヨーロッパに連れて行かれる。余りにもメロディが完成されているので没頭感が半端無いのだ。
そんな完璧な曲がイントロで流れる本作では、もう一つ自分が愛してやまない『君の瞳に恋している』も挿入歌で使われる。これもまた、古き良きアメリカを表現したワクワクする曲である。
ベトナム戦争という地獄を体現した若者達が、救いを求めて行動を起こすプロットは、アメリカという大国の影を正面から捉えた内容として当然ながら思い入れを以て鑑賞できる。前半の悪ふざけが長すぎるのも、後半の狂気のゲームとの対比を強調させるための重要なファクターなのであろう。何よりもロシア系移民が、皮肉にもアメリカの為に自分を差し出す事実は、唯々悲しみを禁じ得ない。PTSDという言葉が無かった時代にこれ程の表現を演出したことも凄いと感じる。
人間は、美しい曲も書ければ、馬鹿な戦争も起こす。なんたる矛盾に満ちた生物なのだろうか・・・
怨歌としての「ゴッド・ブレス・アメリカ」
1960年代末の米国ペンシルベニア州の田舎町。
町の主力産業は鉄鋼業。
男たちの多くはそこで働いている。
そして、この町はロシアからの移民で成り立っている・・・
というところから始まる物語で、 ベトナム出征するマイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スティーヴン(ジョン・サヴェージ)の三人と、町に残るスタンリー(ジョン・カザール)、ジョン(ジョージ・ズンザ)、アクセル(チャック・アスペグレン)の男三人に、ニックの恋人リンダ(メリル・ストリープ)の物語。
映画は大きく分けて3部構成。
第1部は、出征前に彼らの暮らし。
スティーヴンの結婚式とパーティを中心にして、冗長ともいえるほどゆったりした演出で魅せていく。
見せ場はふたつあり、ひとつは、結婚式からパーティで、ロシア正教会での式とダンスの喧騒。
もうひとつは、男たちの鹿狩り。
前者では、花嫁の純白のウェディングドレスに赤い葡萄酒が二滴りし、その後の悲劇を予感させ、後者では、マイケルが鹿を仕留める際は一発(ワンショット)だ、とクライマックスに繋がる台詞が登場する。
第2部は、マイケル、ニック、スティーヴンが参加したベトナム戦争。
三人は捕虜となり、ベトコンたちの余興のロシアンルーレット賭博の材料にされそうになる。
いずれも生命は助かるのだが、それぞれに傷を負う。
スティーヴンは肉体を失い、ニックは精神を失う。
マイケルは一見、何も喪っていないようにみえるが、彼がもっとも精神を失っている。
ロシアンルーレットからの脱出劇は、マイケルの冷静な判断にも見えるが、脱出方法は狂気の沙汰だった・・・
第3部は、三人の帰還後の物語。
故郷は、変わらないようにみえるが、着実に、何かに蝕まれている。
肉体を失って帰還したスティーヴンは、町から離れて退役陸軍人病院にいるが、町の者は彼のことを口端にも上げない。
帰還したマイケルは常に軍服を着ているが、それは彼にとっての鎧であり、失った精神を包み隠している。
軍服を脱ぎ、鹿狩りに出かけても、彼は以前のように撃てないし、ベトナムに残ったニックの救出にしても、またしても、常軌を逸したロシアンルーレットでの対決になってしまう。
エピローグとして、ニックの葬儀とその後のささやかな集いが描かれる。
マイケルたちが、ニックへ捧げるために歌う「ゴッド・ブレス・アメリカ」。
これは、アメリカ合衆国への怨歌であり、恨歌だ。
それも、ロシアから移民たちの子どもたちが歌うところに、監督としての痛烈な批判が込めれている。
エンドクレジットでは、主要人物たちの平和な時代の表情とともに、ウェディングパーティの一場面が映し出されるが、それがアメリカという国がベトナム戦争を通して奪っていったものだ。
第1部が冗長なほどの長さがあったのは、この意味を際立たせる意味だったのだ、と観終わって思いました。
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