劇場公開日 2018年12月14日

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「感銘した映画です」ディア・ハンター かいくんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0感銘した映画です

2024年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

私が中学2年生の時、映画好きの今は亡き父と観に行った『ディアハンター』。
ラストシーンでは死んだ友の葬儀の後、食卓に集まりコーヒーを配り始める、その友を偲び、皆でゴッドブレスアメリカを歌い出す。映像が一瞬ストップ、暗転し、そしてエンドロールが始まる。ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープ、クリストファー・ウォーケンらの写真とともにあのテーマ曲の『カヴァティーナ』が流れる。
これまで観てきていた映画は終了した際、ひとり、ふたりと少しでも席を立つ人がいるもの、この映画のエンドロールではまったく誰一人席を立たない、話し声や服を着る等の音さえ全く聞こえてこない。
静寂なそして異様ともいえる厳かな雰囲気が劇場を包んでいた。映画から体感した衝撃と感動をきっと、私と父を含めて観客全員が共有していたようだ。

そんな映画であった。

それから3年後、リバイバルで私の街に再び観る機会が訪れた。高校2年生になっていた今度は、まだ観ていない友人らに観に行くことをつよく勧めた。
翌日の教室では『ディアハンター』のことで授業を受けていることを忘れて語り合った。
やはり、観にいった友人が曰く、映画が終わった後は感動して脱力感いっぱいで不思議な気分だったと話していた。

それから10年後、銀座で好きな女性とまたディアハンターを観る機会に恵まれた。共感しあえた。そして私たちの結婚式の入場の曲は『ディアハンター』のテーマ曲『カヴァティーナ』。
そして結婚して20年。単身赴任先の地「仙台」でディアハンターを再び…。この時は休日の冬の夕方、独りの部屋でDVDを借りて観た。やはり鳥肌ものであった。50に近い年齢となり、戦争、友情、恋愛、人生について自分なりの考えを少しは持てるようになっていたがこの映画であらためて自分の人生の軌跡を振り返ることが出来た。やはり私が最も感銘した映画であると実感した。
ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープも若かった。私も若かった。大切な映画だ。

かいくん