「許してくれ」天空の城ラピュタ 弁明発射記録さんの映画レビュー(感想・評価)
許してくれ
さよなら丸の内東映で今作品を上映してくれて感謝。
日曜午後とはいえ。約40年前のアニメ映画で劇場がほぼ満席になるそのすごさ。そして客層が広く若い人も多い。凄すぎるよな。
この映画に満点つけるのは許してくれよ。
自分に言い聞かせている。
何回も観てる作品だが今回大きなスクリーンで観て気付いたこと。
序盤からパズーの説明を絵と動きでやっている。
落ちてくるシータの元に駆け寄る場面でわざわざ足場が悪い場所でコケそうになりつつ踏ん張る、という動きを入れている。これで彼が日常的に働いている環境、彼が足場が悪い場所でも踏ん張る力があることを示している。
さらに飛行石の光が消えると重力が戻る表現をシータの身体を落としそうになるパズーで示し。なんとか女の子を支えて寝かせるパズーが自分の上着をかけてあげる表現を入れてパズーの紳士っぷりを強調する。
親方に空から女の子が落ちてきたことを説明しようとするもボイラーの蒸気で声がかき消されるやり取りが2回ある。あのやり取りで親方にとってら目の前の仕事が大事であること、パズーが機械いじりできるヤツでかつよく働いているナイスガイであることが分かる。だけでなく。
直前の「残業かい?」で今日のパズーの仕事は残業になりそうなことを示していたにも関わらず、エレベーターで登ってきた炭鉱夫達は何もとれなかったと落胆する。親方も「残業はなしだ」と言ってとっとと帰ってしまう。
このやり取りがあることで親方が無理なくさっさと帰ることに説得力があり、パズーが落ちてきた女の子のことを知らせる間もないまま女の子と2人っきりになる状況を違和感なく作り上げている。
この導入がうますぎる。
意図的に上下の構図をよく作っていて空から落ちる、空へのぼる、というのを小さい空間でも繰り返してる。
例えばペンダント借りたパズーが屋根突き抜けて落ちる場面。ペンダント効果の説明、パズーの頑丈さの表現になっているのはもちろん、あそこで落ちた場所が父さんのラピュタ写真がある部屋で。わざわざ屋根からあの下の部屋まで上下移動している。
という感じで傑作は序盤からうますぎる。
ドーラ一家がオートモービルで追いかけてくる展開もさ。わざわざ狭い車内に乗りきらない息子達が車体にしがみつく絵を描いてる。車をデカくしたり乗る人数減らせばもっと作画が楽なのにそれをしない。
でもこれをやるから絵的なインパクトがあるしドーラと息子達の関係性も視覚的に理解できるようになっている。
そういう連続なんだよな、この映画は。
あらためて観てもこの内容で124分でまとめてるのは偉大すぎる。