「初井言榮さんと寺田農氏!」天空の城ラピュタ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
初井言榮さんと寺田農氏!
声、セリフの言い回しがいい。
ドーラのキップと包容力。決して良いママなんかではない。息子たちの尻を叩きながら、常に先頭を突っ走る(息子がちゃんとついてこれているか、確認する場面もあり)。お局様だ、もう年だからなんて言葉が鼻白むほど、格好いい。
「女は50からだね。」って、感じ。
「ママみたいになっちゃうの?」なんてセリフ。本当の女の格好良さがわかっていないな。なんて、高笑いしたくなるほど。
こういう女の魅力がわからない輩が増えてきたことこそが嘆かわしい。
それを、初井さんがきちっと決めてくださる。普段の役も、結構男前の多かった女優さん。素晴らしい。
ムスカの乾いた声。それが上ずり興奮してきて、あの有名なセリフ。
なんて、役者だ。
常田さんは『にっぽんむかしばなし』でも見せた安定感。
地下で広がるあの空間。もちろんアニメーションの力でもあるのだけれども、常田さんのセリフで、ぱぁっと宇宙が見える。
さすがだ。
物語は冒険物語。
ムスカにすべてを握られてからの展開が速い。
「バルス」その言葉の潔さ・強さ。
断捨離、生き方に迷いがない。子どもなのに?いや、子どもだから?
二人とも天涯孤独だからの決断?と思えてしまうところも切ない。
それでいて、その後の展開。この頃のアニメファンの心の機微が解っていらっしゃる。
と、すばらしいのだが、
『未来少年コナン』の大大大ファンとしては、
パズーがコナンに、
シータがラナに、
ムスカがレプカに見えてしょうがない。
そのうち、ジムシー・モンスリー・ダイスも出てくるんじゃないかと期待してしまう。
物語の大筋も同じ。
細かい設定違うけど、
コナン・ラナより、バズー・シータの方がより思春期になっていて、ザボーイ・ミーツ・ザガールになっていて、その表現力には喝采を送るけれど…。
同じ監督の作品だからいいんだけどね。
というところで満点にはならない。
私にとっての金字塔は『未来少年コナン』。連続物でたっぷりと描き切った大作。
そちらに比べると、こちらの映画は124分で凝縮してよくまとめたと思う。
でも、Wikiには監督が長年温めてきた話が基とはあるものの、
『未来少年コナン』がなかったら、『カリオストロの城』も、この映画も、このような演出・編集で制作されていないと思う。
『未来少年コナン』の進化系ともいえるけれど、やっぱり私にとっては、未来にどちらを残すかと言われたら、『未来少年コナン』だな。