劇場公開日 1986年8月2日

「分かりやすい面白さを、最高のセンスで具現化」天空の城ラピュタ JIさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0分かりやすい面白さを、最高のセンスで具現化

2018年3月18日
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宮崎さんの作品の内でも、特に明快な作品だと思う。
飛行、強敵の破壊行為、伝説の秘境、健康的で清い少年と少女、純粋に楽しめる要素で構成していると言える。
だが、どんなものを人は面白がるのかという点には、とても鋭く思考されているのだろう。空に浮かぶ巨大な城、分かりやすく面白いが、それを考え出し的確にデザインしているというのは、並みのセンスではないと思う。

私は特に、竜の巣に飛び込んでから、bgm「天空の城ラピュタ」が流れ、ラピュタの全貌が現れるまでのシーンが、最高に好きだ。
竜の巣の中でパズーが父の幻影を見るところは、個人的にジブリでは最も泣ける。私は、アニメの主人公が何かを見てハッとするシーンが好きなのだが、このシーンはその中でもトップ級に気に入っている。

また、空間の表現が良い。上下方向に積極的に動き、ラピュタ、飛行船、パズーの家などの各場所がそれぞれちゃんと一まとまりの立体的な空間として感じられる。実際の建築や土地を撮影してアニメにしたかのような。場所の存在に説得力があるのはすごい。さりげない構図の妙で部屋や通路の位置関係を見せているのだろう。

「未来少年コナン」も最近観て、ラピュタとの類似点が多く見られたが、作画だけではなく、ストーリーの点でも「ラピュタ」の方が好みだと感じた。コナンは主人公補正で無敵過ぎたが、パズーはより能力的に納得しやすい設定になっていると思う。また、ヒロインの存在についても、「ラピュタ」の方がより際立ち、パズーとシータのどちらが主役かと問えば、両方であると言えるバランスになっている。

JI