「フィンランドで映画化ですって!へ!へ!」罪と罰 どすこいたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
フィンランドで映画化ですって!へ!へ!
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原作既読。
これは面白い!言わずとしれた「罪と罰」ですが、アキ・カウリスマキ監督が独自の解釈で映像化、物語の構成も大幅に変更されていながらも全く別物というわけでもなく、「罪と罰」におけるダメ人間と良心との戦いがうっすら(ここ大事!)見えてきます。
前半、これは「罪と罰」というよりカミュの「異邦人」では…?と思ってしまうほど主人公の行動原理に共感できず、不安な状態が続きますが、ヒロインとの絡みにより徐々に主人公の内面が明かされていきます。しかしながら、原作のように主人公の心理描写を深掘りするようなことはなく、始終冷たい空気が漂い、無機質な印象すら受けます。多くを語らず、観客に考える余地を与えているかのようでもあります。
「罪と罰」はキリスト教や聖書と深く関わる作品ですが、「汝は塵に過ぎぬ塵に帰るのだ」という一節を口にするシーンは凄く印象的。そして自首するシーンを見て、やっぱりこれは「罪と罰」だった!と納得出来ました。原作ほどの希望は感じられなかったものの、主人公の諦めのような覚悟は人生の不条理を語りかけてくるようで、原作と違った魅力を感じました。
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