罪と罰のレビュー・感想・評価
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ポップな罪と罰
アキ・カウリスマキのデビュー作とのことですが、アキ・カウリスマキの世界観が完全に仕上がっていました。音楽といいカメラといいポップでかっこ良かったです。
罪を認め罰を受けるのが道理ですが、世の中そんな道徳的ではありませんし基本的には不条理ですよね。人が理由なく死ぬことは普通ですから。でも主人公が罰を受け入れるのも実に人間的でした。私はクリスチャンではないので、信仰が背景にある部分を理屈でしか理解出来なかったです。
フィンランドで映画化ですって!へ!へ!
原作既読。
これは面白い!言わずとしれた「罪と罰」ですが、アキ・カウリスマキ監督が独自の解釈で映像化、物語の構成も大幅に変更されていながらも全く別物というわけでもなく、「罪と罰」におけるダメ人間と良心との戦いがうっすら(ここ大事!)見えてきます。
前半、これは「罪と罰」というよりカミュの「異邦人」では…?と思ってしまうほど主人公の行動原理に共感できず、不安な状態が続きますが、ヒロインとの絡みにより徐々に主人公の内面が明かされていきます。しかしながら、原作のように主人公の心理描写を深掘りするようなことはなく、始終冷たい空気が漂い、無機質な印象すら受けます。多くを語らず、観客に考える余地を与えているかのようでもあります。
「罪と罰」はキリスト教や聖書と深く関わる作品ですが、「汝は塵に過ぎぬ塵に帰るのだ」という一節を口にするシーンは凄く印象的。そして自首するシーンを見て、やっぱりこれは「罪と罰」だった!と納得出来ました。原作ほどの希望は感じられなかったものの、主人公の諦めのような覚悟は人生の不条理を語りかけてくるようで、原作と違った魅力を感じました。
手塚治虫先生の罪と罰も♥
『汝は塵にすぎぬ。塵に帰るのだ』
『俺はどうでも良い男を殺した。虫けらを殺して、自分が虫けらになった。虫けらは虫けらとして残る。だが、それも良い。俺が殺したかったのは”道理”だ。人じゃない。人殺しは誤りだった』
『俺は孤独には慣れている。いつも孤独だった。君は自分の人生を生きろ。どうせ死ぬんだ。死んでも天国はない。』 彼女は問う『何があるの』
『きっとクモかなにかだ。知らない』
Pedro's Heavy Gentlemen
の『セレナーデ』で締めくくる。
ドストエフスキーの『罪と罰』を短くまとめて、凄く分かりやすく描いてくれていると思う。と結論づけるが、手塚治虫先生の『罪と罰』はもっとすごい。短編なのだ。一度は手塚治虫先生の『罪と罰』も味わって貰いたい。
"白夜のラスコーリニコフ"
もちろん、ドストエフスキーの小説を読んでいる訳もなくロベール・ブレッソンの監督作は一本も観たことはない、ジャン=ピエール・レオ主演で撮った『コントラクト・キラー』のような犯罪映画、アキ・カウリスマキ流フィルム・ノワールは言い過ぎか、ジャン=ピエール・メルヴィルの『サムライ』のようでコレまた言い過ぎか、序盤から殺し屋の物語かと、殺しの動機は?個人的な復讐から後悔の念、警察を翻弄させながら自分で自分の罪を罰する、いや、エヴァとの出会いで心変わりが?
いつでも唐突に出会う男女、男はいつでも無感情で頼りなく地味ながらも積極的なのは女で逞しいのも女、電車に轢かれてしまう『枯れ葉』を思い出す描写が本作ではしっかりと描かれて意味も無く笑ってしまった、アキ・カウリスマキのデビュー作にマッティ・ペロンパーが最初から登場する安心感、主人公が禿げているから何となくジョン・カザール主演でコッポラとかでハリウッドで撮られていても面白かったような『カンバセーション...盗聴...』みたいな雰囲気で、違うか!?
道理を殺したかった
罪を犯しても裁かれない人もいる。そんな人に対しては世の中の道理を殺すしかない。しかし、この世の中で罪とされることを犯せば罰が与えられる。この世の中は不条理なのだ。
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