椿三十郎(1962)のレビュー・感想・評価
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痛快なアクション時代劇の傑作だ。
ある藩で、上役の不正をただそうと立ち上がった9人の若侍が、悪者たちの策略にはまるところを、偶然知り合って聞きつけた浪人が、剣の腕前と持ち前の知略で、彼らに助太刀し、窮地を救う姿を、豪快に描いた痛快時代劇。
黒澤明監督では、「七人の侍」や「用心棒」あたりに比べると、よりストレートで一直線な作品だね。それだけに、ともすると退屈になりかねないストーリーを、ダイナミックかつ、ユーモアにあふれた展開で、十分に楽しませてくれる。
主演の三船敏郎の存在感がすごいし、悪役側の剣豪を演じた仲代達矢も良い。若侍側のリーダー格が、加山雄三。小林桂樹が、滑稽な見張りの侍・木村役で出てくる。田中邦衛など、他の面々にも注目。
正義と悪が互いに騙しあって、なかなかよく練られた駆け引きと、スリリングな展開で、最後まで魅せてくれる。その一方で、ちょっと間の抜けた、ユーモラスな登場人物が出てきたりして、ほっこりさせられる。
浪人は、権力争いに疎く、お坊ちゃん育ちな若者たちを、機転を利かせて救いながら、最後の対決まで、人間味あふれるその姿を、一気に見せてくれる。これは痛快なアクション時代劇として、最高レベルの傑作だ。
私の名は椿三十郎。もうそろそろ四十郎ですが。
感想
深夜、寺社殿の中で合議を持っている侍達。井坂伊
織以下、八名の若き侍達は自藩の藩主出府中に次席
家老と国許用人の汚職が発覚した事を井坂の伯父で
城代家老を務める睦田弥兵衛に意見書を付け上申し
たことを話し合っていた。
井坂は他の侍達に語りかける。
井坂「兎に角伯父は判っていない。」
「(睦田)これでもわしは城代家老だ。お前たち
に言われなくともそんな事は既に判っている。」
「それでは汚職を知りながら何故今日まで見逃
してしまったのだ?と訊ねると」
「(睦田はニヤニヤ笑って)おい。俺がその汚職
の黒幕かも知れないぞ。お前たちはこの俺を薄
鈍のお人好と思い案山子代りに担ぎ出すつもり
らしいが、人は御影に拠らないよ。危ない。
危ない。第一、いちばん悪い奴はとんでもない
所にいる。危ない、危ない。」
そう言うと意見書をビリビリと破り捨ててしまった
という。
井坂の話は続く。
井坂「俺は伯父にははっきり見切りを付け、打合せ
の通り、話を大目付の菊井さんの処に持ち込ん
だ。菊井さんはやっぱり話が解る。初めのうち
は困った顔をして御城代とお話の上でと逃げを
打っていたが、城代にもこの話をしたと言うと
吃驚して、暫く考え込んでいたが、よろしい。
この際若い貴方たちと立ちましょう。次は一遍
貴方達と話し合いたい。早急に仲間を集めてほ
しい。」
井坂の話に喜ぶ侍達。
「やはり菊井さんはすごい。」「薄鈍の案山子代
りとは話が違う。」
と談笑していると、奥の間から呆れた感の大欠伸が
聞こえる。侍達は急に立ち上がり、奥の暗闇に一同
目を向ける。中から浪人、三十郎が現れる。
「おめえ達の話を聞いていると、まったく。」
守島「何!話を聞いていた?!」
と、次の瞬間、刀に手を掛け抜刀しようとする。
「馬鹿野郎。逃げるつもりなら最初から出てくる
つもりはないわ。」
井坂「しかし、お前なんだってこんなところに?」
「此処だと旅籠賃は取られねえからな。ところで
おい!盗み聴きって言うのはいいものだぜ。傍目
八目、話している奴より話がよく解る。」
躙り寄る九人の侍達。
「まぁ聞きな。俺に言わせりゃ城代家老が本物でそ
の大目付の菊井って奴は眉唾だぜ。」
保川「無礼を申すと唯では置かぬぞ!」
「まぁ、そうとんがるな。俺は其奴ら二人の面を知
らねえ。知らねえから見かけで惑わされる心配がねえ。なぁ。城代はつまらない顔してんだろ。」と、
侍達を見廻す三十郎。
「そうらしいな。しかしな、話から察すると城代は
中々の魂だぜ。手前が馬鹿だと思われているのを気
にしないだけでも大物だ!ところで大目付の菊井だ
か、お前たちはやっぱり話せるやっぱり本物だなん
て言う処を見ると、此奴はまず御影分には申し分は
ねえらしいな。しかし人は御影に依らねえよ。危ね
え、危ねえだぜ!」
保川「黙れっ!素浪人の分際で何を言う!」
「待ちな。それは城代の台詞だぜ。いいか。城代は
もっとはっきりと言っている。一番危ない奴はと
んでもない処にいる。危ねえ、危ねえ。早い話が
よ。大目付の菊井が黒幕かも知れねえぜ。」
侍達「ふざけるな!」
「熱くならねえで聞きな。大目付の役目はなんだ。
は?ゴタゴタを収めるのが役目じやねえか。それ
をよ、お前達を焚き付けやがって。変だと思わね
えのか!」
三十郎の話を聞き届け渋々座り出す侍達。
「それから、お前達と至急話し合いたいから集まれ
というのもおかしい。黒幕だったら集めといて一網
打尽と来らぁ。兎に角この話は乗らないで様子をみ
ておくんだな。」
井坂「大目付と今宵此処で会うと約束したのです」
「なぁぬにい?」
咄嗟に社殿の四方の節穴隙間から外を見る三十郎。
「傍目八目、ずばりだ。見てみな。」
外には大人数の武装した集団が音を立てずに近寄っ
てのが判る。
「ハハハ。見事に取り巻きやがった。蟻の這い出る
隙間もねーや。」
臨戦態勢をとる九人の侍。
「この上まだ馬鹿な真似をしたいのが。刀をしまい
な。戦をやってる場合じゃないぜ。」
関口「五月蝿い。お前の指図は受けん!」
「じゃあ、勝手にしろ。皆くたばってせいぜい菊井
を喜ばせるこったぁ。」
井坂「しかし、こう取り巻かれては、、、」
「まっ。俺に任しな。」
寺社殿の正面に近づく多くの武装した侍の大集団
集団を率いる人物が
「大目付菊井殿の手の者だ、神妙にしろ。表は固め
ておる。手向かうと為にならぬぞ。」
中から一人出てくる三十郎。「五月蝿いな。なんだ」
様子を確認しようと傾れ込む侍達。
「やいやい。いい加減にしろ。人の寝所に土足で踏
み込む奴がいるか。」と罵声を浴びせ腕っ節強く一
気に三人ずつを交互に瞬時に倒し蹴散らす三十郎。
瞬く間に十人程が階下に蹴散らされ押し出される。
「面白え。やる気か。だが気を付けな。俺は寝入り
端を起こされて機嫌が悪いんだ!」と言った途端
二、三人の脇に鞘を差し込み叩き付けて次から次
へと薙倒していく。外に出ても勢いは収まらず大
太刀廻りを繰り返しあっという間に二十人以上を
倒す三十郎。そこへ、
室戸「引け。引けい。手立ては他にある道草を食っ
ている場合ではない。」
と、太刀廻りを制止する一人の侍の声。三十郎を睨
みながら近づいて来る。
室戸「それにこの男を片付けるためには大分手間が
掛かるぞ。貴公、なかなか出来るな。仕官の
望あるなら大目付の役宅に俺を訪ねてこい!
俺の名は室戸半兵衛。」
と名乗り翻し去って行くと他の侍達も追随しその場
を去っていった。
「もういいぜ。出て来な。」
床板を捲り出でてくる九人の若侍。
三十郎に丁寧にお辞儀をする九人の若侍達。
井坂「何と礼を言って良いか、、、」 間髪入れず、
「礼なんかいらねから少し金をくれないか。」
この一言に驚く若侍達。
「このところほとんど水腹でな。なぁーに一杯飲っ
て飯が食えればいい。」
井坂が自分の財布を怪訝に差し出す。三十郎は必要
分の銭だけを取り、
「これだけもらうぜ。じゃあ、あばよ。」
とその場を去ろうとする。それを最敬礼で見送る九
人の侍達。その一礼をあらためて見つめる三十郎。
「しかしお前達これからどうする気だ?」
井坂「貴方の話で目が覚めました。早速城代家老
の伯父の処に戻り、不義を詫びその指図に従う
つもりです」
「なかなか聞き分けが良いな。いい子だ。」と子供扱
の三十郎。
「待てよ。いけねえ。こうなるとその城代家老が危
ないぞ。俺がもし菊井なら城代を捕まえるね。
一番悪い奴はどんでもない処に居るなんて図星刺さ
れちゃ放って置けねえ。」
急ぎ立ち上がり去ろうとする井坂と侍達。
「何処に行くんだ。」
井坂「伯父の家に。」
「捕まりに行くのか。お前は正体が暴露ている。
うっかり面みせたらそれっきりだぞ」
井坂「しかしみんな私から、私の間抜けでこんな
事に。」
寺田「お前だけの責任ではない。ひとりの勝手な
行動は許さん」
守島「こうなったら死ぬも生きるも我々九人。」
「十人だ!手前らのやる事は危なっかしくて見ちゃ
いられねぇ!」
こうして三十郎を含めた十人の侍達が睦田邸を密か
に訪ねると三十郎の言う通り、菊井の手の者により
睦田弥兵衛は拉致され別場所に匿われている事がわ
かる。最初に居場所が判明した睦田夫人(奥方)と
許嫁の千鳥を助け出し、弥兵衛拘束の口上を確認、
城代家老に罪をなすり付け、詰め腹を切らす算段で
ある事が判明。城代を無事救出すれば、悪事は白日
の元にさらされ、城代の名誉は回復すると確信。汚
職の黒幕の一味である次席家老黒藤邸の隣に屋敷を
構える九人の侍の一人、寺田文治の邸宅を避難場所
とし活動を開始する。
黒藤、菊井ら汚職一味は大目付の役職を利用して城
代家老不穏の嘘の高札を立て、各方面に囮を出して
井坂達の捕縛を狙うが、罠である事が井坂達に判る
ことになり危く難を逃れる。
藩の世論は菊井達に傾き、策が尽き掛けた時に三十
郎は菊井邸に行ってくると言い残して九人の前から
居なくなる。残された九人は三十郎を信じる者疑う
者に其々別れる。寺田の提案により、公平を期する
ため信疑者其々二人に任せて三十郎の後を追う。
菊井邸の室戸半兵衛を訪ねた三十郎は室戸の藩乗っ
取りの野望を聞かされる。室戸は菊井に三十郎を
引き合わせようとして黒藤邸に出かける。その時、
三十郎を追ってきた井坂達に遭遇。三十郎の計画
は崩れ、四人は捕縛される。四人助け出すために
室戸が不在の時に屋敷に残る手勢を全員切り倒す。
室戸が黒藤邸から帰ってきた時に捕縛されたまま残
された三十郎を発見する。室戸には菊井に推挙は出
来ないと言われその場を去る。
ある日寺田邸の庭で千鳥が黒藤邸から流れてきたと
思われる、かつて井坂達が睦田に渡した意見書の紙
片を発見する。それは黒藤邸の蔵に監禁されている
睦田が隙を見て破った紙片を小川に流したものであ
った。
三十郎は自ら黒藤邸に乗り込み、自身が街外れにあ
る光明寺の山門で寝ていると多勢で黒藤邸に乗り込
む侍達を見たと嘘を吹聴し、応戦の為黒藤の軍勢が
光明寺に向かっている間に囚われの睦田を救出する
策を考え実行する。九人の黒藤邸への斬込み救出の
合図は椿御殿と呼ばれる程に咲いている庭の椿を寺
田邸に繋がる小川へ流す事とする。
三十郎は大目付菊井、国許竹林、次席家老黒藤そし
て室戸が揃う黒藤邸へ。室戸に光明寺の山門の話を
伝えた。その頃寺田邸では捕虜の立場にある木村が
光明寺には山門が無い事に気づく。三十郎の報を信
じた菊井は光明寺へ自ら軍勢と共に向う。
同じ頃竹林も光明寺には山門が無い事を気づき嘘で
ある事が明るみになる。室戸は庭に三十郎を縛り付
け、光明寺へ。三十郎は黒藤達にカマをかけ、合図
の椿を川に流す事に成功。寺田邸より井坂達が乱入
する。菊井、室戸が大軍勢と黒藤邸に戻った時は蔵
の中に黒藤と竹林が押し込められ、睦田と三十郎は
立ち去っていた。室戸は菊井に「これまでですな。」
と声を掛けその場を立ち去る。
睦田は解放後、職務に復帰して今回の事件の処断を
行う。黒藤、高井は家名断絶、お家追放となった。
菊井は自ら切腹し果てた。室戸は浪人となったが同
じく藩を飛び出してきた三十郎と街外れで果し合い
となる。そこに三十郎を追ってきた井坂達九人の侍
の眼の前で切られた瞬間大量の血を吹き出し倒れる
室戸とその返り血を浴びた三十郎を目撃する。驚愕
し立ち尽くす九人。
三十郎は井坂達に
「気を付けろ。俺は機嫌がわるいんだ。」
そして室戸の遺骸を見つめて、
「此奴は俺にそっくりだ。抜き身だ。此奴も俺も鞘
に入ってない刀だ。あの奥方が言った通り本当に良
い刀は鞘に入っている。おい!お前達も大人しく鞘
に入ってろよ。」
そう言い残し三十郎は去って行く。
追う井坂達。「来るな!追いて来たら叩き斬るぞ!」
土下座し御礼をして見送る井坂達。その姿を見て
一言。「あばよ!」
立ち去る三十郎。終
山本周五郎原作の「日々平安」からキャラクターを
全く新しく入れ替えた形で菊島隆三、小國英雄と
黒澤自身が脚本を書き上げ、定石の三船、当時東宝
の一推し新人加山をフィーチャーしたベテラン人気
俳優と新人スター夢の共演であり、一大娯楽作品に
仕上がっている。三船の貫禄が映えるまさに抜き身
のままの剣捌きと狼の様な殺陣、睦田夫人との掛合
いに代表されるユーモラス且つ侍の人柄が滲み出る
元々あった獰猛さを借りてきた猫のように抑えてし
まう人間心理の会話の妙と活躍に拍手喝采と笑いが
溢れる。最後は映画史に残るそれまであった時代劇
のシチュエーションを大変革させたと言われる伝説
の決闘シーンが展開する。個人的に黒澤時代劇の最
高峰と感じ入る作品。
生涯ベストスリー作品。
⭐️5
シンプルで最高に楽しめる時代劇
黒澤明の作品はまだ数作品しか観ていませんが、他の作品同様とにかくキャラクターの作り方が素晴らしいです。この人はこういう性格で、この人はこういう立ち位置で…という人間関係が非常に分かりやすい上に、それがストーリーに見事にハマる。役者の名演もあって非常に見応えのある作品となっています。
ところどころ挟み込まれるユーモアに富んだ笑えるシーンが面白い!三船敏郎があの渋い顔でお茶目なセリフや演技(やり過ぎず、本当に自然にさりげなく)を観せてくれます。若侍達とのやり取りは時にコントのようなおかしさがありますが、それでいて決して緊張感を崩すことはなく、このバランス感覚が素晴らしいです。
なんと言ってもラストシーン!度肝抜かれます。日本映画史に残る名シーンですね。しかし、後に物議を醸したこのシーン。黒澤明のその後の作品にも影響を及ぼすほどのものだったとか。私は「映画なんだから、このくらいド派手に、大袈裟なくらいの方が…」と思うのですが、だめなん?(・ิω・ิ)
分かりやすいストーリー、個性豊かなキャラクター達、随所に散りばめられたユーモアセンス溢れる演出、圧巻のラストシーン。これぞエンターテイメント映画!
まさに一騎当千。頼りになるとはこうゆうこと
圧倒的な兵力の差がありながら、椿三十郎がほぼ一人で圧勝するストーリーなのだが、途中は大きなピンチもあり、それを打開する策が面白かった。兵力差があるので、知力で上回る必要があり、相手の出方を読んで策を図るところがいくつかあるのだが、それぞれ「なるほど。頼りになるとはこうゆうこと」と感心した。特にヤマ場の椿の花の合図のシーンはよくできていて、うならせる。
加山雄三、田中邦衛らの若侍は、道化役なんでしょう。椿三十郎の知力、剣の技を際立たせる役目を果たしていて、間抜けで浅はか。漫才のボケのように椿三十郎に突っ込まれるのがひとつの型になっているようで面白い。彼らがいることでストーリーがわかりやすくなっていて、映画全体を楽しみやすくしていると思った。
ラスボス役の仲代達也は、目つきが鋭く機敏で、ただ物ではないと一目でわかるのがすごい。最後の一騎打ちの相手としてふさわしい。もしかすると椿三十郎が負けるかもと思わせる迫力がある。
城代家老の奥方がいい味を出していて、意外に魅力的なキャラクター。危機にも落ち着いている器の大きさがあり、本質を突いたことを言う知恵を持っている。
1点減点したのは、主人公の椿三十郎が完璧すぎるところで、いきずりで知り合っただけなのに若侍たちに加担する気質の正しさや、ほとんど褒賞を求めない潔癖さを含め、こんな人はいないだろうと感じてしまう。
説得力があった椿三十郎
三船敏郎扮する浪人椿三十郎は、加山雄三扮する井坂伊織ら若手侍らが話しているところへ出て来て諭す様に話し始めた。
今回で3回目くらいかな。素浪人の言う事ながら皆に対し説得力があったんだね。その上を行く城代家老夫人。品の良さで荒れた心まで癒すのは大したもの。椿の花を流して知らせるなんて粋だね。
ハン・ソロの原型は「椿三十郎」だわ!
「用心棒」でキャラが確立した三船敏朗演じる凄腕の浪人三十郎が
今度はちょっと頼りない若者たちを導きながら悪と戦う話!
いやあ〜〜楽しい〜〜
めっちゃ笑えるし〜〜
流石の殺陣シーンは変わらぬ見事さに加えて
思慮が足りない若者達の右往左往ぶりを
側から眺めてる三十郎の目線が、悪態をつきながらも
結構暖かく清濁併せ呑む人物の大きさが伝わってきて
男が惚れる男!!感が半端ない!!
こんな先輩がいてほしいなあ〜〜
月に8本ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
たまたま、テレビでスターウオーズ4(第1作)を観たら
ああ、この映画のハン・ソロはまるで「椿三十郎」だわ!!
世間知らずで正義感だけで突っ走る若きルーク・スカイウオーカーを
危なっかしくて観ていられねえ〜〜と
悪態をつきながらもなんやかんやで助けてくれるハン・ソロ!
ほとんど「椿三十郎」の三船だ〜〜
ダース・ベーダーの威圧感は「天国と地獄」の権藤を演じる三船。
冷静にルークを導くオビ・ワン・ケノービーは「赤ひげ」の三船。
J・ルーカスがオビ・ワンやダース・ベーダーを
三船氏にオファーしたのは有名な話だけど
本当にJ・ルーカスはどんだけ三船が好きなんだ(笑)
「用心棒」と「椿三十郎」を入り口に是非是非
世界で絶賛される三船敏朗氏を堪能してみてください。
@もう一度観るなら?
「定期的に映画館で観たい!」
『いい刀はサヤに入って入る。お前たちもサヤに入ってろよ』
『いい刀はサヤに入って入る。お前たちもサヤに入ってろよ』
娯楽作だが、明治維新後の維新政治に対するアイロニーなのかなぁ?と思った。
士農工商の封建主義が崩れ、まるで、士族の地位か崩れ、自由な身分社会になった。しかし、身分制度は名前を変えただけ、相変わらず、旧士族は残るが、幕府がなくなり、士族の思うまま、維新後、士族の暴走のまま、大日本帝国は二つの戦争を経験する事になる。この映画はそれをアイロニーで語っている。やはり、傑作だ。
イデオロギーを抜きに見ても面白い。まぁ、途中から脚本は暴走するが、許せる範囲。
拝啓椿三十郎、いやもうちょっとで四十郎様‼️
黒澤明監督が「隠し砦の三悪人」「用心棒」に続いて映画の本当の面白さを満喫させてくれる娯楽時代劇の決定版。まず冒頭、9人の若侍たちの会話で藩で起きてる不祥事を観客に完璧に把握させてくれる話術の妙(次作の「天国と地獄」では会社の株主の在り方を説明してくれる)、三十郎が追っ手を見事に追い払い、捕まっていた奥方と姫を三十郎が踏み台(三船さんの苦痛顔)になって助け出し、敵方侍の小林桂樹がちょこちょこ押入れから顔を出し、捕まった若侍たちを助け出すための三十郎圧巻の30人斬り、水の流れに乗った白と赤の椿たち、一瞬でキマる三十郎対室戸半兵衛まで、1時間36分がアッという間‼️本当に面白い‼️黒澤明監督にはあと数作娯楽時代劇を作って欲しかった・・・
【”本当に、良き刀は鞘に入っている・・。”謎の男、椿三十郎が、城代家老を救おうとした9人の若侍に示した、武士の矜持を描く作品。】
■森の中の社殿で、9人の若侍たちが密談していた。
次席家老の汚職を城代家老・睦田に告げるも相手にされず、ただし大目付・菊井の賛同を得られたらしい。
しかし、突如現れた浪人(三船敏郎)が「菊井こそが黒幕だ」と言う。
案の定、菊井の手勢が社殿を取り囲み…。
◆感想
・原作の山本周五郎の短編をアレンジメントして、黒澤明監督が、見事な一品に仕立て挙げた作品。
・頼りない城代家老の、朗らかな奥方と娘の個性が光る。
・故、三船敏郎氏の飯の食い方が、格好良い。
ー ”粗にして、野だが、非ではない”という言葉を思い出す。-
・更に言えば、腰を据えた酒の飲み方が格好良い。
ー "俺は、酒を呑むと頭が冴えるんだ!”-
<ラストの三船と仲代達也の一瞬の一騎討ちは壮絶である。
数々の黒澤監督の作品の中では、重さはないが見応える逸品である。>
痛快娯楽時代劇
1962年。黒澤明監督作品。
1961年作の「用心棒」の続編的映画とされる。
実に面白い。
主人公の侍が名前を訊ねられて、庭を見廻し咲く椿の花を見て、
「椿三十郎もうすぐ四十郎だか・・・」と呟く。
この台詞は「用心棒」の浪人が名を聞かれ、目の前の桑畑に目をやり、
「桑畑三十郎・・・もうすぐ四十郎だが・・・」とそっくり同じだ。
桑畑三十郎も椿三十郎も汚い髭面に汚れた着物、いつも腹を空かしていて、
大飯食らい、いつもは、だらしなく腕枕で寝ている。
神社の社殿で造反の相談をしている若侍が九人。
それを盗み聞きした浪人(三船敏朗)は、若侍たちに知恵と力を
貸すことになる。
それが御家騒動の大顛末を招く。
桑畑三十郎がより進化したキャラクターになっている。
より人間味が増し、ユーモアと知略が冴え渡る。
映画史に残る様々な名シーン。
四十秒で三十人を叩き斬るシーン。
(実際には撮影技術の関係で四十六人を斬ったと言う)
そして、合図の椿の花を池に流すシーン。
赤は「攻めろ」、白は「中止」
これは三十郎の真っ赤な嘘。
そしてラストの仲代達矢との果し合い。
たった一斬り。
ポンプで放出した噴き出す血潮の派手なこと、派手なこと。
黒澤明はあまりにその後に真似をされて、後悔を感じて以降このような派手な殺戮シーンを封印してしまった(非常に残念です・・・)
1961年の興行収益邦画第一位。
映画館で観たかった映画のひとつですね。
過去鑑賞
三十郎 on 将棋盤(笑)。 !(≧▽≦)!
笑った。笑った。
なんなんだ、この構図。
しかも、単なるおかしみを誘うだけでなく、椿と若者の関係性の変化を一目で見せてくれる。
随所に、そんなおかしみを誘う場面があふれている。
他にも、
モグラたたきのモグラ?緊迫する場面からの一息。
ひよこ、ぴょこぴょこ、三ぴょこぴょこ。あわせて、ぴょこぴょこ、六ぴょこぴょこ、もひとつついでに、三ぴょこぴょこ。随所に現れる若侍たちのひよこっぷりがかわいくもおかしい。
その若侍も右往左往で部屋の中を歩き回っているが、老練悪だくみ組も、同じように狭い茶室をうろうろうろうろ。シンクロする。
ついでに、若者チームの本陣と、老練悪だくみ組の本丸の位置関係。そこかあ…。
家老の奥方・娘。 時間稼ぎに飯を所望すれば、女中に、自分のテンポを崩される椿。そのやりとり・間合い。
押入れの侍。物語が進んでいくための情報提供者なのだが、その間合いややり方が可笑しすぎて…。
可笑しいだけではない、クライマックスの作戦遂行合図の優雅なこと!
そんな遊び感覚。
配役が絶妙。
抜き身の刀に例えられる椿に三船氏。室戸に仲代氏。
老練悪だくみ組に、ベテランの志村氏、藤原氏とくれば、もう一人は千秋氏かと思えば、清水氏。
そんな灰汁の強い配役に対しての若侍。優等生なのだけれど、人の好いお坊ちゃん感満載の加山氏。熱血なのだけれど、早合点しすぎる唐変木の田中氏。生真面目すぎてスキを見せるのは(『ゴジラ』の)平田氏…。物語にボケの間ができる。
そこに、おおらかな品を振りまき椿を戸惑わせる奥方に入江さん。娘に団さん。ほんわかさをだしながらも、だらしないのではない娘・女中の立ち振る舞いも見事。主筋とはずれた感性が物語に深みを持たせる妙。
押入れの侍に小林氏。
そして、悪役設定ではないのにラスボス感あふれる伊藤氏。彼の登場で、なんだかんだ言って、すべて彼の手の平の中で踊らされていたような、不思議な大円団を迎える。その貫禄。
このバランス感覚のすばらしさ。
最高級のエンターテイメントに昇華する。
だからと言って、コメディ映画ではない。
物語はよくある上司の不正暴き。
いきなり、クライマックスから始まる。ぐだぐだ、チーム9人編成ストーリー・不正を怪しむ場面や、圧政に苦しむ様など描かない。
さあ、この窮地をいかに脱して、大転換を図るか。
相手は知略に通じた大胆不敵な切れ者。
対して、経験値の少なすぎる若者9人。
圧倒的に不利。
そこに現れた、経験値豊富な素浪人。
物語が動き出す。
とはいえ、敵対する人々の間を行き来する椿。若者侍に加担すると冒頭で表明しているものの、室戸とは似た者同士、妙に気に入られ、立身出世の道をちらつかされる。蝙蝠の如く、あっちに行ったり、こっちに行ったり。
心変わりするのかしないのか、いつ室戸達に計略がばれるのか、短慮な若者たちが椿を信じられずに計略が破城するのか、ハラハラドキドキさせられる。
かつ、それぞれが知略を尽くして、お互いを出し抜き、解決を図ろうとするのだが、その掛け合いがアンサンブルになっており、個々のエピソードがそうきたかと面白い。
その間に挟まれる緊迫したシーン。大立ち回り。殺陣。
この塩梅が見事。
そして、ほのぼのとした後の、有名なラスト。
緊張感にあふれた果し合い。
似た者同士ゆえの、互いへの想い。その結末。
切なすぎる。
緩急緩急緩急。なんという映画だ。
基本は、西部劇・講談。
風来坊がやってきて、その街の弱きを助け、もしくは秩序を正し、去っていく。
銃撃戦の代わりに、殺陣という違いはあるが。
だから、世界各国でも受け入れられやすいのだろう。社会の仕組みの違いというのはあっても。
でも、脚本・演出・映像・演技・音楽で、完成度が全く違ってしまう。
少しでも手を抜いたら面白くなくなる、技量が問われるジャンル・筋。
映画を知り尽くした制作陣の余裕を感じる。
俳句のように、遊び心を取り入れながらも、無駄をそぎ落として真髄のみを表現した作品。
文句なしの、誰でも楽しめる、エンターテイメント中のエンターテイメント。
(原作未読)
『用心棒』の続編の如く。けれども。
三十郎の格好よさを残しながらも、違う人物造形。
『用心棒』では、人助けというより、引っ掻き回して楽しんでいる感じ。東野氏演じる居酒屋のおやじに諫められ心配される悪戯っ子。
『椿三十郎』では、初めから人助けのために動く。敵の情勢を探るために”蝙蝠”的に動くけれど、その、四方八方への目配りが緊張感を高める。ここで、椿を諫める役が、女性(家老の奥方)というのが心憎い。
好敵手役(敵役とは書きたくないなあ)は、ギラギラした雰囲気を残しつつも、違う人物造形。
『用心棒』の卯之吉は、切れ者なれど、新しい武器を手に入れて、己の力を過信してしまった、三男坊の甘ちゃん。三十郎へは、傾倒する兄弟を尻目に、決して三十郎に心を開かない。その上での、家族・その街での立ち位置を失っての対決。
『椿三十郎』の室戸は、己の知略を駆使して、出世街道を上り詰めようとしている中間管理職。四方八方への目配りに忙しい。そんな苦労して掴んだ地位・夢や寄せた信頼をつぶされての対決。
ラスト。難題は解決したものの、狂気を見せる『用心棒』。大円団の『椿三十郎』
これだけ違うテイストがありながらも「あばよ」のすがすがしさは変わらない。
その才能に唸るしかない。
見始めたら最後、面白くて最後まで一気に見てしまう
用心棒(1961年)、椿三十郎(1962年)を一気に見た。208分が全く飽きることなくあっという間に過ぎ去った。文句なしの傑作である。日本のすべての時代劇の中でもベストの不朽の名作である。いわゆる東映の舞踊的立ち回りのチャンバラ映画に対抗してリアルさを追求した良質の時代劇である。この作品がこれ以降の時代劇に与えた影響は計り知れない。製作田中友幸・菊島隆三、脚本黒澤明・菊島隆三・小国英雄(椿三十郎のみ)、音楽佐藤勝、主演三船敏郎・仲代達矢らのチームを得て、黒澤明がいろいろな面で最も充実していたであろう時に作られたのでアイデア満載の傑作に仕上がっている。もともと、黒澤明はジョンフォードに傾倒しており、何とか西部劇的な映画をつくれないかと思索して放ったのが七人の侍(1954年)、用心棒(1961年)、椿三十郎(1962年)であった。それ故、用心棒(1961年)が、荒野の用心棒(1964年)に、さらに暗黒街映画ラストマン・スタンディング(1996年)にリメイクされたのも当然の成り行きであった。椿三十郎(1962年)はリメイクされなかったが、それ以上に、斬った時の音や、最後の、西部劇の決闘シーンを居合の決闘に翻案した決闘シーンで血潮が噴き出るシーンは内外の映画作家に強烈な影響を与えた。映画館で椿三十郎(1962年)の決闘シーンを見てショックを受けたサム・ペキンパー監督は、銃弾が当たると血が飛び散る手法を初めて採用しワイルドバンチ(1969年)という傑作をものにした。以後、ハリウッド映画では、銃弾が当たると血が飛び散る手法が普通に採用されることとなった。ただ、この三十郎、「用心棒」のやくざならまだしも「椿三十郎」では四人の若侍を助けるために罪のない侍たちを問答無用でめったやたらに斬り殺す点はどうかと思うが、所詮絵空事の時代劇なのだから批判するのは野暮というものかもしれない。この「三十郎」キャラ、時代劇においては大変魅力的な人物像であり、三船敏郎も気に入っていたのだろう、質的には黒澤明作品には及ぶべくもないが、岡本喜八監督作「座頭市と用心棒」(1970年)、稲垣浩監督作「待ち伏せ」(1970年)に続いていく。これらを含めて、「三十郎」四部作ということができる。佐藤勝の音楽も、これなしでは黒澤作品は成立しないくらいいつも素晴らしいのだが、これらの作品でも、荒野の用心棒(1964年)でセルジオ・レオーネがエンニオ・モリコーネに真似をさせたくらい画面と一体化しており快調である。60年前の作品だが、黒澤明が絶好調のときに作った作品ゆえに、今でも、見始めたら最後、面白くて最後まで一気に見てしまう、心地よい余韻の残る良質の作品である。これらを超える作品はいまだ無い。蛇足だが、監督が違うとこうも異なるものか、同じ脚本を使った森田芳光監督の椿三十郎(2007年)は見る必要のない駄作である。
仲代達矢の鋭い目つきがやばすぎる
何度観たか忘れたが朝ドラ『カムカムエヴリバディ』に登場したので久々に観たくなった
原作未読
原作は『赤ひげ』『どですかでん』『雨あがる』『どら平太』『かあちゃん』『海は見ていた』『さぶ』の山本周五郎
監督と脚本は『酔いどれ天使』『野良犬』『生きる』『醜聞』『羅生門』『隠し砦の三悪人』『用心棒』『赤ひげ』の黒澤明
共同脚本は『男ありて』『日本誕生』『用心棒』『兵隊ヤクザ』『竹取物語』の菊島隆三と『宇宙人、東京に現る』『待ち伏せ』『乱』の小国英雄
黒澤映画でも五本指に入る傑作
あっという間の96分
「椿三十郎」と名乗る浪人がひょんなことから藩の不正を正すために立ち上がった9人の若い侍を助ける話
剣の腕前は超一流レベルの剣豪
椿は口は悪いがユーモアがあり頭が切れる戦略家
飛び入りの外様だが9人に加わり次々と適切な指示でリーダーシップを発揮する
三船敏郎で1番好きなキャラ
若い侍のなかに加山雄三と田中邦衛という若大将シリーズの名コンビ
珍しく悪役を志村喬が演じている
ラストの室戸との対決は1番の名場面
あのピリピリとした間がドキドキしてとても良い
鞘に収まる刀になれない椿三十郎は城勤めを断り9人の若き侍に別れを告げあてのない旅に出る
三船敏郎がめちゃかっこいい
おかしさの中の現代社会との対比。
黒澤監督の映画は大好きだが、何度みても、この映画は大笑いで、侍の世界を描いているはずだが、縦社会で現在と似たようなところがあり、日本の伝統が垣間見(かいまみ)えるので面白い。それに、金魚のフン的思想も。
特に好きなところは、若者侍の団体は優秀な血筋に属するようだから、これらの若侍と、椿三十郎(三船敏郎)の対比が愉快だ。結局はどこの馬の骨かわからない、椿三十郎の考えや知恵や経験や、腕前に敬服して、平伏すわけだが。。。そこへ辿るまでの若侍の成長をおもしろ、おかしく描いているのが大好きだ。階級や身分の方が大事で、実力のある人間がし上がるのには時間がかかるようだ。 はっきり言って、実力のある侍(浪人)は狭い体制の中で胡坐をかいて(あぐら)いるのは向かないのかもしてない。一匹狼が好きだとおもう。江戸時代で政権が落ち着くと身分の高い侍が刀を振り回すのは稽古だけになるようだからね。侍で実力のある知恵者と人数だけ多いボンボンとではどちらが大事なんだと思わず言わせているようでおかしい。
その階級の武家社会の中でも、判断を誤らない、賢い人々もいる。井坂伊織(加山雄三)の叔父で城代家老タヌキ(伊藤雄之助)と、大奥様(入江たか子)と言われる妻である。似たもの夫婦でお互いに信じ合っているところがいい。タヌキの妻、大奥様が刀を鞘に入れていない三十郎をよく見抜いてる。 そして、この大奥様と娘という女の存在が、武家社会の男女の役割の違いを見せている。これも、まだ現在社会でも男が稼ぎ、女は家庭を守るものという思想が変わりにくいのもこの映画から察せられる。
現代社会とこの映画を対比して、クラスで話し合うのも面白いなあと思った。
椿三十郎
映像が本当に本当にかっこいい。私の中で1番かもしれない。三船敏郎さんたまらん。
ストーリーはシンプル。悪よのーを退治する話。
最後、仲代達矢さんと三船敏郎さんの決闘の間、決着までの速さ、作中唯一の派手な血しぶき。短いけれども濃いシーンだった。
一時間半で簡潔爽快でありひたすらにかっこいい。傑作。
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