「アメリカ人魂の源流をスティーブン・キングに見る」チルドレン・オブ・ザ・コーン himabu117さんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ人魂の源流をスティーブン・キングに見る
映画『チルドレン・オブ・ザ・コーン』子供の頃抱いていた、恐怖や残酷さ、そんなものが現実となったらどうなるか。スティーブン・キングの創作の原点は、そこにあるような気がしてならない。そしてキリスト教の教えと文化がまだ色濃く残っていたアメリカ社会。
巨匠スティーブン・キング原作
アメリカでは、1980年代の人気シリーズらしいんですが。
本作は、その記念すべき第一作。
なんだけど、日本未公開とのこと。
となると、おのずと内容に?がつくわけで。
それを確かめるべく、映画館へと。
なるほど、これだと配給会社は、二の足を踏むかな。
「とうもろこしを受け入れよ」ってどこかユーモラスですよね。
なんというか、ホラーの帝王と言われながら、どこか外してくるのがスティーブン・キング流。
そこを理解した上で楽しむということなのかな。
私としては、アメリカの片田舎を舞台とした、保守的色合いの強い地域は、興味しんしんなんですが。
謎解きは、キングの幼少期にあり
幼くして、父親は失踪。
その後は、母親と弟の三人ぐらし。
風呂のない極貧生活。
キングの育った頃は、まだ信仰、教会の力が強かった時代。
そんな、アメリカの保守的キリスト教の影響が、強く感じられる。
副題にある「畝の後ろを歩くもの」という表現。
聖書的には「畝の硬い者」という表現がある。
つまり、キリストをメシアと受け入れない、イスラエル人をさす。
「畝の後ろを歩くもの」とは、異端と捉えればいいのか。
キリスト教保守派にとっては、異端という言葉は、ひっきりなしに出てくる。
保守的、聖書的信仰を持つ自分たちが正当であり、それ以外は異端となる。
保守派の牧師が、メッセージ等でしょっちゅう口にする言葉。
そんな言葉が、キングの脳細胞に刷り込まれても不思議ではない。しょ
牧師のメッセージ「説教」は時としてトラウマになる
これは、幼い子供にとってではあるけど。
キリスト教は、愛の宗教と思われているが。
実は、保守的キリスト教徒にとっては、そんな側面ばかりではない。
例えば、聖書の「ヨハネの黙示録」などは、取り上げ方次第では、子供にとっては、恐怖でしかない。
それは、解き明かす牧師次第なんだけど。
子供の信者を引き寄せるために、わざと恐怖を植え付ける牧師がいないとも言えない。
キングは、そうとう感受性の強い子供だったと想像される。
逆にその感受性の強さが、作家として成功したわけだけど。
『チルドレン・オブ・ザ・コーン』にもいかんなく、キングの幼少期が投影されている。
キングばかりではなく、1960年代のアメリカが色濃く映し出される。
「異端」というキーワードで、この映画を見るといいかもしれない。
保守的キリスト教徒にとっては、「異端」とは、最も忌み嫌うべきもの。
そして、自分は「異端」ではないということが、強迫観念のごとく問われる環境だったということ。
そんな、アメリカの断面を見てみるのも面白い映画だ。