「サラ・コナーになる前のリンダ・ハミルトンの初々しさ」チルドレン・オブ・ザ・コーン regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
サラ・コナーになる前のリンダ・ハミルトンの初々しさ
モダン・ホラー小説の帝王スティーヴン・キングが1978年に発表した短編シリーズ『ナイト・シフト』の映画化で、84年製作ながら今まで日本劇場未公開(ビデオスルー)だったとか。トウモロコシ畑が実る小さな田舎町を舞台に子供達が大人狩りをするというストーリーの作品だと、ジョン・ウィンダムが57年発表のSF小説『呪われた村』の映画版『光る眼』が印象深い。かなり類似点が多く、もしやキングはこれをパクったのかと邪推したくなるが、まぁ明確な祖先が不明なトウモロコシは宇宙から来たという説もあるぐらいだし、超常現象やオカルトものの作劇に適しているのだろう。
当初はキング自身が脚本を書くも、製作サイドに却下されリライトされた事が気に入らなかったらしく、原作クレジットの代わりに高額ギャラを要求。そのせいで予算が大きく削られて全体的にチープな作りに。今回の劇場公開を機に初めて観たけど原作との脚色点が目立つし、特にラストの顛末がトンデモすぎて、純粋な原作ファンは激怒してもやむ無しかも。キング原作の映画化で批評的にも興行的にも成功しているのは数えるほどしかない事を鑑みても、過度な期待を寄せない方がベターだし、同じ原作を2020年に再映画化した『スティーヴン・キング エイジ・オブ・パンデミック』と観比べてみるのもいいかもね。
恐怖度も今の視点で観れば薄いが、冒頭での大人殺戮シーンやカルト集団と化した子供達の不気味さはなかなかのインパクトだし、今では“タフな女性のアイコン”サラ・コナーのイメージがついてしまったリンダ・ハミルトンの、か弱く初々しい演技が見られるのは貴重。多分サラだったら、襲い来る子供達を1人で片づけてしまうだろう。