「事実は小説より、単調です。」マイティ・ハート 愛と絆 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
事実は小説より、単調です。
2002年1月、パキスタンにおいて実際にあった、ウォールストリートジャーナル紙記者の誘拐殺人事件を描いた作品。ブラッド・ピットが製作に携わったことでも話題にもなりました。
9.11以降、テロとの戦いやイスラム世界とアメリカの対立を描いた作品は数多いですが、これもその一つです。しかしながら、戦争ではなく、戦争を報じるジャーナリストが巻き込まれた事件、そして、自身もジャーナリストである誘拐被害者の妻を描いています。その意味では、一般の9.11モノ(と敢えて言いますが)とは、一線を画している作品と言っても良いと思います。
アンジェリーナ・ジョリーが、事件被害者の妻マリアンヌ・パールを演じています。妖艶な雰囲気の演技の多い彼女ですが、この作品ではその妖艶さは封印。夫の誘拐に苦悩する妻、そしてそれにもめげず強く生きる妻を演じています。実在の人物を演じているわけですが、マリエンヌ本人と、映画のアンジーは、非常に良く似ています。実際、アンジーはマリエンヌ本人とも知り合いであるそうで、その事が役作りに役立ったのかもしれませんね。
”事実は小説よりも奇なり”とも俗に言いますが、この映画は逆に、”事実は小説より単調である”と言って良いと思います。映画のシーンのほとんどが、マリエンヌの自宅です。そう言う、シーン転換の無さが画面にちょっとけだるい単調な雰囲気を与えてしまったのは否めないと思います。
実際の出来事を映画にしたので、結末は分かっていますが、改めて映画で見てみると、不幸な出来事と言うのと同時に、何で分かり合えないのだろうか?と言う、疑問が再び頭の中に沸き起こりました。
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